第41話
ゴンドラが移動し続けること5分。
明らかに展示場の外へと連れてこられた俺達は、その到着を待っていた。
「なんと言うか…この展開に覚えがあるんだよな…」
「なのです?」
「前の時は中古船販売所で、強制ではなかったんだが…」
「なのです!?」
「今回も、思ってた船とは違うのになりそうだなぁ…」
「ちゅ、チューって、外から見るとこう見えてたのです?
…やっぱり働きすぎは駄目なのです…過労と寝不足で、当時何考えてたのかも思い出せないのです」
『ポーン まもなく、トレリスダイナミクスに到着します』
「…やっぱり…トレリスって…そうよね」
「ん?どういう意味なんだ?」
「ローズの目が死んでるのです…
トレリスは、蔦系の植物を絡ませるための道具なのです!」
「ああ、朝顔のポールみたいな」
「よく知ってるのです!それの格子状のやつなのです!」
「へー、そういえば、ローズって俺の地元『到着いたしました』…っと着いたか」
そうして扉が開くと同時、黒い弾丸がローズへと突っ込む。
「またこの展開かよ!」
シールドを起動しつつ手を伸ばしてローズを…やらなくて良い?
「お姉様ぁ!」
そうして飛び出した弾丸、スーツを纏った、黒髪ロングのスタイル抜群美女は、そのクールな風貌等投げ捨てるとばかりに、すがりつく様にローズへと抱きついていた。
「っと、リエール?ちょっと勢いが強いわよ?」
「お姉様!お姉様!お姉様!
リエールは…リエールは信じてました!
トレリスの…仲間の皆が天寿を全うしても…いつか…いつかお姉様は帰ってくるって!」
ああ…ローズの500年前の仲間なんだな…
俺とペトラはアイコンタクトし、出口の側にいる、メイドさんの方へとこっそり移動する。
「ありがとう。
…そう、頑張ったのね」
「はい!………はい!」
あっ、このメイドさんも黒髪だ。
すました姿が如何にもなメイドさんって感じだな…
じゃあ、メイドさんも一緒にこっちへ…いや、ここは2人きりに…いや、お構い無くじゃなくて…こっ、コイツ頑なに動こうとしねぇ!?
「口癖も無くなるくらい…苦労したのね」
「さっ、流石にあれは…子供過ぎると思いまして…」
いや、感動の再開に俺達いちゃ無粋でしょうよ…流れが変わった?社長を弄る材料が手に入りそう?いやいや、こういう感動の場を…ね?
「あら?私は好きだったのだけど…」
「おっ、お姉様が言うなら…いや、しかし…」
ほら、社長さんもなんか葛藤してるし、見ないであげるのも使用人の勤めですから…ほら…ほら…チクショウ!テコでも動かねぇ!
「言ってくれないの?」
「そっ、そんなこと無いの!でも、やっぱり子供っぽい気がするの…」
…おう。美人でクールなお姉様タイプな人だから…中々パワーがあるな…
「キッッツ」
メイドさん!?
「エーデラ!?」
「失礼しました。
どうぞご歓談下さい」
いや、ハンカチ口に当ててますけど、確実に笑ってますよね?口角上がっちゃってますよね?
ほら、これ以上社長さんに迷惑かけられないでしょ?いやいや、ここからが面白い所じゃなくて…
「しかし…大きくなったわね…軍にいた頃はペトラ位の大きさだったのに…」
「ペトラ?…あぁ、あのネズミ獣人の…そうですね…あれくらいでしたね…」
ああなるほど…それくらいな感じなら、その語尾もしっくり来るな。
「長命化処理を1000年のものに延長した時に成長しまして…皆も一目じゃ気付かない位…一目で気付いてたの!?」
「キッッツ」
…ほら、今のは咄嗟に出た感じだから!そっと…そっとしといてあげよう?
「エーデラ…後で覚えておきなさい…」
「しっかり覚えておくの」
「それは忘れて下さい!」
このメイド…強い…
「ふふふっ、良い従者を持ったわね」
「お姉様ぁ…」
「ふふっ、私が気付いた理由なんて簡単よ?
体だけ大きくなっても、貴女動き変わってないじゃない」
「………あっ」
「抱きつく場所も、頭をグリグリ押し付けるところも、話を聞くときの顔も…何一つ変わってないわよ?」
「そっ、それは…お姉様の前だから…」
「そう?なら髪型もあの頃みたいにフワフワのツインテールに…」
「お姉様…」
「キッッツ」
「エーデラ!」
凄いなこのメイド…怒鳴られながら髪型調べてるぞ…何処かでやる気だこれ…
「服装も、ペトラのゴスロリみたいな可愛い系のフワフワドレスに…」
「お姉様!?面白がってませんか!?」
「キッッツ」
「エーデラ!………エーデラ?そのデバイスは何ですか?」
あっ調べてるの気付かれた。
「その可愛いドレスは?いや、〔購入♪〕じゃなくて…着ませんからね!私そんなの…いや、髪型も含めた予想図「キッッツ」…しませんからね!?」
強すぎるだろこのメイド…
「あら?もうあの格好しないの?」
「おっ、お姉様!?」
「リエールと言えばあの格好…というイメージが…」
「からかってますよね!もう!ローズお姉ちゃんなんて嫌いなの!」
「ふふっ、悪かったわねリエール」
「キッッツ」
「エーデラぁ!」
ぶれないなぁ…
そうして、一式わちゃわちゃし終えた俺達は、メイドさんの先導のもと、会議室へと移動するのであった。




