第39話
『トロワ星系、第1コロニーに…ジャンプアウトしました』
あれから20日が経ち、俺達は造船で有名なコロニーへとやってきていた。
「ほえー!これが有名なトロワの造船所なのです!」
その姿は、今まで見たどのコロニーより大きく、円形の本体と、そこから突き出るタワーによって構成されていた。
「なんか見た目イガグリみたいだな」
「あの突き出てるの全部ドックよ。
…私の知ってる頃とは凄い違いね」
『ドッキングリクエストが承認されました』
『こちら第1コロニー管制!丁度良い場所に誘導するから目的を教えてくれ!』
おっと、こんなサービスがあるのか。
「中型船を買う予定だ」
『中型船ね…了解!
じゃあ中型船関連の企業が多いところに設定しとく!他にも使いそうなデータをまとめて送っとくから、ドンドン活用してくれ!』
「わかった。
色々な気遣い感謝する」
『良いってことよ!それじゃあ、良い船選んでくれよな!』
『オートパイロット起動します』
…よし、後は放置だな。
「ふうー、こんなサービスしてくれるんだな」
「そうね。
勿論、どんな目的かのデータが欲しかったりと、裏もあるんでしょうけど…」
「いや、多分もっと切実な理由なのです」
「そう?」
「このコロニーは規模が大きい上に、訪れる人も多いのです。
その状態で順番に停めでもしたら…多分コロニー内交通が麻痺するのです」
「Oh…」
「…確かに、わかる気がするわ」
『まもなく着陸です。
衝撃に注意して下さい』
「…っと、ついたな」
「それじゃあ、先ずは傭兵ギルドに行くのです!」
「給料を確定させるのよね?」
「なのです!大きいコロニーのギルドには、そういうことを専門にした職員が必ず常駐してるのです!
傭兵なら無料で利用できて、問題も起きにくくて、ピッタリの金額を算出してくれるのです!」
「おー!中々便利だな!」
「なのです!資料は先に送っといたのです!後は行くだけなのです!」
さて、幾ら位になるかな?
まぁ…今以上にお金を持ってるタイミングもそうそうないだろうし、遡って精算するには良いタイミングだろう。
「えー、ペトラ様の適正給料ですが、月500エネになります」
「………安くね?」
傭兵ギルドに到着し、スルスルと案内された俺達は、現在担当者さんの説明を受けていた。
「まずですね、ペトラ様の場合、基礎的な給料が2000エネとなります。
そこから、衣住食完備、特に食事の食べ放題と、衣装の作り放題が入りまして、1000エネとなります。
そこに、娯楽設備の設置と個人貸与、使い放題も合わせますと、500エネが適正かと」
「あぁ、なるほど…そういう計算なのか…」
「勿論、成果にあわせて昇給ということも考えられますが…
当方としましては、まず1年はこちらの給与で試していただいて、そこでの成果如何で昇給額を決定…と言う流れが、問題が起きにくく、おすすめ出来る流れとなっております」
「なるほど…ペトラはどう考えてる?」
「良いんじゃないかと思うのです!
傭兵ギルド職員時代は、1500エネから寮代を引かれて保険代に…って感じで結構厳しかったのです!
確実に毎月500エネ貯金出来ると考えれば、悪くない金額だと思うのです!」
「………ちょっと待ってください」
「なのです?」
「傭兵ギルド職員時代の給与が、1500エネ…だったんですか?保険代等諸々抜きで」
「なのです!」
「…後でどの支部か資料を送って下さい。
もしかしたら力になれるかもしれません」
「嬉しいのです!
…けど、不正を擦り付けられた時に、デバイスを取り上げられたのです…
明確な証拠は出せないのです…」
「ええ!大丈夫ですとも!そういう手合いは口座の動きから追えますから!」
「わかったのです!ありがとうなのです!」
「いえいえ、こちらも仕事ですから」
なんだろう…ペトラの不憫要素が増えた気がする…
「…ふぅ。
次はローズ様ですね。
ローズ様の適正給料ですが、100エネが適正かと」
「………安すぎない?」
「まずですね、基礎的な給料が同じく2000エネでして、ペトラ様と同じ流れで500エネとなります」
「フムフム」
「そして、そこからインプラント代の返済に400エネ入りまして、100エネとなります」
「…それかぁ」
「これから中型船や、大型船を購入された際には、宙賊船をニコイチにする等して、販売されることもあるかと存じます。
その場合、売り上げの20%がローズ様のものとなりますので、そこから100エネを給与に追加し、残りを返済に当てられるのが宜しいかと」
「なるほど…」
「勿論、返済額を調整することも可能ですが、給料だけで返済する場合、現状でも20年かかりますからね…」
「そうか…ローズはどう考えてる?」
「そうね…まぁ、こんなものじゃないかしら。
活躍すれば、来年昇給もあるのでしょ?」
「そうだな」
「じゃあこれで良いわ」
「わかった」
うん。なんか円満に終わったな。
「そういえば、給料は%給って聞いてたんだが…」
「それは月1万エネを超える方の話ですね。
大企業から引き抜きを行われた場合等は、そのような給与形態になることもあります」
「ほえー」
「基本的には固定給となりますね。
計算間違えや、休み期間の争いも起きないため、私共といたしましては、こちらを強くおすすめしております」
「あー、なるほど」
休み期間か、確かに%だと言い争いが起きそうだよな…〔俺はもっと稼ぎたい!〕〔いや、これだけ働いたんだから休もうぜ!〕って感じで…
「以上で宜しいでしょうか?
………はい。それでは、ご利用いただきありがとうございました。
ペトラ様、資料の方お待ちしておりますね」
「わかったのです!」
こうして、給与の話し合いを終え、振り込みも終えた俺達は、中型船を見に移動するのだった。




