第35話
「おおー、本当に草が生えてる」
料理人生活確定から一夜明け、俺達は宇宙にいた。
…えっ?料理しないのかって?
いやぁ、ローズが〔修理後の確認をして頂戴〕って言うからぁ…
…いやがる傭兵を声も出さずに黙らせた迫力…とんでもなかったです。
「この辺りは、野生化したテラフォーミング植物の群生地なのです!
今回の獲物は、その植物を食べに集まっているのです!」
「ほえー」
この辺りは小惑星帯…一応ハビタブルゾーン内らしいのだが、水なんて見当たらないしな…
「あそこら辺の植物は、水素から水を生成するのです!」
「それに、宇宙空間でも平気で生存するのよね」
「テラフォーミング初期は、たまに磁場が無くなるのです!生きれないと振り出しに戻っちゃうのです!」
…なんと言うか、すごい世界だな。
「今回の貝は、レーダーの探知にかからない事が多いのです。
そこが、更に高級要素を引き上げているのです」
「ほえー」
「一番の要因は小惑星の密度でしょうけどね。
この密度だと、中型所か、小型のハイサイズでも入れないんじゃないかしら」
「なのです!漁獲量の少ない一番の要因はそれなのです!」
「…おっ!あれそうじゃないか?」
「…なのです!ホタテなのです!」
「…巻き貝なんだけど」
「貝ってあれ以外にも形があるのかしら?」
「俺の知ってるホタテは二枚貝なんだよなぁ…先に味の情報知ったのがマズかったか…はじめは違う表記だった気がするのに思い出せない」
「あー、あるあるね」
「なのです?チューは未経験なのです」
「ペトラもそのうちあるわよ。
新しい形のデバイスが出た時とかになりがちね」
「ほえーなのです」
そんなことを話しながら、ゆっくりと船を近付けていく。
「ゆっくり…ぶつけないように…」
生きてる状態だとシールドが弾いちゃうからな…回収ドローンに電撃機付けて仕留めるらしいから、ローズが操作しやすいように、なるべく近めで…
「…なんか、やけに手に馴染むというか…微調整が信じられない程効くというか…」
「なのです?」
「いや、船の調子が異常に良くてな?この感覚に慣れたが最後、二度と元の船で操作できなくなりそうな…あっ」
もしかしてこれって…
「ふっふーん!どうよスキャル!これでも軍の中では評判良かったのよ!」
「えっ!?マジで!?ローズの整備だけでこんなに変わるものなのか!?」
「なのです?そんなに変わってるのです?」
「後でペトラも試してみるか?かなりの驚きだぞ?」
「あっ、今回のはスキャル仕様のチューニングだから…多分ペトラが使っても1段落ちるわよ」
「そうなのか…でも1段なのか…凄いな…」
「ほっ、ほら!さっさとホタテ回収するわよ!」
「あっ、照れたのです」
「だな」
「うっ、うるさい!」
耳を真っ赤にしたローズが、回収ドローンを貝へ向かわせる。
今回のアタッチメントは電撃機…免許と一緒に、ギルドで貸し出された。
丁度良い電撃量に調整してあるんだとか…
「…よし!仕留めたわ!」
高い回収ドローンは凄いな…動きが全然違う…
…前50エネしない位のやつだったし、流石に変わるか…これ1000エネとかするやつだし…
「さあ、次行くわよ!」
「ふいー、大漁だな」
15個満載のホタテを持って帰ること3往復。
初心者にしては中々の戦果であった。
「1個辺り1000エネで売れる高級品なのです!
今日だけで4万5000エネなのです!」
「ひえー!」
「この前のヒトデの倍近くじゃない!?」
「熟練者はこれを10往復以上するのです!
金持ちなのです!」
「ひえー!」
「…その割には、ステーションも小さいし、来てる傭兵も少ない様だけど…」
「稼ぐ傭兵からしたら、微妙な稼ぎではあるのです」
「「…これで!?」」
「なのです。
1日100万エネとか稼ぐ傭兵もいるのです。
ここだと稼げても1日50万エネなのです」
「そう言われれば…そうか…」
「軍の給料が悲しく見えてくるわね…」
「後は、このステーションの情報は、あまり表に出てないのです」
「そんな情報良く手に入ったわね」
「ファースト星系で、傭兵ギルドのお手伝いしてたら教えてくれたのです!」
「そんなことしてたのか…」
「粛正しすぎて人手不足だったのです」
「まあ…そうか…」
「何はともあれ大漁なのです!
スキャル!調理場借りてるから調理してほしいのです!」
「よしきた!」
やっと食べれる!
いざ!バター醤油ホタテ!




