第3話
「はーい。
スキャルさんの処置はこれで終わりですからねー。
傭兵、頑張ってくださいねー」
あれから暫く、言語インプラントの導入も終わり、船の想定売却価格と、採掘と傭兵に必要な装備の価格を見比べていたのだが…
ケース採掘:ほぼ生身なパワーアーマーで、小惑星をガリガリ削ろう!宙賊が出たら?君は囮さ!生き残りを神に祈ろう!
ケース傭兵:最低限を下回るニコイチ船でお仕事を受けよう!宙賊が出たら?下っ端の下っ端位なら生き残れるかも?幸運を祈ろう!
という結果が出たので、まだ生き残れそうな傭兵をチョイスした。
「おぉ、操船方法とか、必要なルールが手に取るようにわかる…勉強要らずとは聞いていたけど、凄まじいなこれ…」
そんな、言語インプラントの時にも感じていた凄さを身に染み込ませながら、今日の宿として指定されているホテルへ向かう。
「えー、ここか…見事なまでの箱だな…窓もないし…」
そういいつつ中へ入ると、受け付け用の機械と、その奥にエレベーターらしき何かが目に入る。
「ホテルの中は…無人だな…えー、なになに?チェックイン後は、ゴンドラで部屋までご案内…他の宿泊客と鉢合わせない設計…成る程」
港で渡された端末をピポッと翳し、チェックインを済ませて部屋へ向かう。
「さて…船を決める時間だ!」
やっぱりね…船を決める時はこう…静かな空間で優雅…選択肢は3つ!
1:価格 2000エネ
薄い装甲!薄いシールド!貧弱な武装!その代わり比較的大きい貨物室(誤差)と、比較的強力な足回り(誤差)を持つ快足(笑)輸送船!
2:価格 2200エネ
比較的厚い装甲(誤差)!最低限のシールド!宙賊並みの武装!サイズ比で平均的な貨物室!最低限の足回りを持つ万能(笑)船!
3:価格 1400エネ
薄い装甲!薄いシールド!皆無な貨物室!鈍足な足回り!ただし集束して撃てば小さめの宙賊中型船位ならぶち抜ける主砲(集束機能故障中)(エネルギー食い過ぎて一度撃つ度にシャットダウンするリスクあり)付き戦闘(笑)船!
「まぁ、1かな。
傭兵ギルドの仕事をみる限り、低ランクはほぼ輸送依頼みたいだから、順当に貨物室がでかい方が良いだろうし」
さて、船の売却益入金は明日の朝らしいから、それまでゆっくり過ごすか…
「港で受け答えしてくれたアンドロイドさん曰く、1エネが大体100円位の価値と思っとけば良いらしいから…ざっくり20万円か…」
長命化処理を受けた時に聞いたんだが、この世界の人類は大体500年位は生きるらしくて…売れるかなぁ?あの船…
歴史的価値ワンチャンもなさそうなのがなぁ…
「まぁ、結果は明日か…」
翌日、なんだかゆっくり目に起床をしつつ、朝食として運ばれてきたトーストを食べる。
「…昨日の晩のハンバーグもだけど…なんと言うか…結構な違和感が…世界違うからかなぁ…」
そんな感じに1人ボヤきながら、見た目スマホな端末を確認する。
「売却先は…へぇ、戦争博物館かぁ…で、金額が………1500エネ」
中古船販売ページを開く。
「あっ、1の船売れてる…2は据え置きか…3…3かぁ…」
価格1400エネ…なんなら余程売れてないらしく、おまけで宇宙服を付けたり、値下げ交渉可の表示が付いたりしている。
「嫌だなぁ…けどこれしかないんだよなぁ…」
地雷臭がとんでもない…よく見れば、部屋はコックピットしかないし、ベットは操縦席の後ろに無理矢理設置、これまた無理矢理設置してそうなシャワールームと、明らかに安そうなテーブル…椅子は操縦席のみだ。
因に、ここまで切り詰めて貨物室は無しだ。
水のタンクは辛うじてあるみたいだが、この船の大半の面積を武装が占めている。
「間違いなく地雷だなぁ…」
しかも知識の中にある、宇宙へ飛ばす最低用件の《食料加工機》が設置されてないから、このままだと使えないときている。
「加工機なぁ…安いので50エネからか…」
買えない事はない…が…
「コロニーの停泊料が先払い50エネからだから…場合によっては詰むんだよなぁ…」
うーむ…うーむ…
「よし!吹っ掛けるか!」
交渉ページを開き、コメントを書き込む。
「こういうのは、先に大きめに吹っ掛けといて、徐々に条件を緩和していくのが鉄則…なはず」
今このサイズのスクラップの値段が…500エネね…じゃあ取り敢えず…
「食料加工機を設置した上で800エネなら即決しますがいかがですかっと」
若干喧嘩を売ってそうな文言だが仕方ない…テンプレート利用したらこうなったからな…
『ピコン♪』
「おっ、返信速いな…なになに?『食料加工機をちょっと良いのにするから、900エネにならないか?』…ふむ………買ったぁ!」
その後、浮いたお金で食料や飲料、スターマップ等を購入した俺ことスキャル君は、傭兵ギルドの中でもっとも不人気な依頼を受けて飛び立つのだった。
…なんか知らぬ間に《スキャル》で傭兵登録されてたから…訂正し時を失っちゃった。




