第28話
「万能製造機?」
ギルドを出た俺達は、そのままローズの先導に従って戦闘機械…ではない店へと向かっていた。
「何処かで聞いた様な…」
「ヒトデのコアを使う機械なのです!」
「ああ!それか!」
そういえばそんな機械があったな!
「それで、実際にどういう機械なんだ?」
「そうねぇ…ざっくり、材料を入れれば、大体何でも作る機械…で良いんじゃないかしら」
「何でも」
「そう、服からデバイスから武器弾薬まで…食料も、最低限生きられる程度の物は作れるわ」
「ほえー」
本当に万能な訳か。
「それで、修理や宙賊船のニコイチなんかをやるなら、万能製造機はほぼ必須なのよ。
いちいち何処が故障するか予想しながら、部品を溜め込むってことも出来なくはないけど…やっぱり漏れはあるし、材料さえ積んでおけばなんとかなるって安心感は、かなり大きいわよ」
「なるほど………それでお値段は?」
「グレードに寄りけりね…軽く調べたけど、私の頃とは値段とかも違いそうだから…実際に見た方がいいと思ったわけよ」
「それ、ローズがインプラント入れてからの方が良くないか?」
「それねぇ…私も考えたのだけど、やっぱり戦闘機械買う前には買っといた方が良いかなと…」
「なんでまた」
「いやぁ、バトルドローンとかバトルロボットとかを買うなら、実弾兵装は必須じゃない?
…となると、予め万能製造機を買っておけば、それに沿って選びやすいかな…と」
「それなら、先に戦闘機械を買ってから万能製造機を選んだ方が良くないのです?」
「それねぇ…そうなのよねぇ…でもアイツ変体なのよねぇ…訳わかんない製造機にしか対応してないやつを、売り付けられそうで…」
「あのー」
「「なに?(なのです?)」」
「実弾兵機って、いる?」
少なくとも武器屋には売って無かったよな?
「いるに決まってるでしょ!?」
「スキャル、世の中にはエネルギー弾が効かない種族が山程いるのです。
現実を見るのです…」
なんかペトラが遠い目してるな…
「いや、でも武器屋には売って無かったぞ?」
「そりゃあそうよ。
あんなもの人間が撃った日には全身粉砕骨折するわよ」
「なにそれ怖っ!?
いや、そんな強力なやつじゃなくて、人間が撃てる範囲のとか…」
「そんなのでシールドが抜けるわけ無いでしょ?」
「………ぐぅ」
「ぐうの音が出たのです」
パーソナルシールドの謳い文句に《隕石に当たってもへっちゃら!》とか平気で書いてるもんな…ただの銃弾程度なら防げるか…
「うーん、ちょっと予定変更ね」
「先に戦闘機械に行くのです?」
「そうね。
万能製造機は、3人で話して決めようと思ってたのだけど…私とスキャルがダメダメだから…」
「チューも専門外過ぎてわからないのです!」
「…はぁ、癪だけどあの変態に投げちゃいましょ」
「さっきから色々言ってるが…その…生きてるのか?」
「アイツの個人工房が存在してるから生きてるわ」
「弟子とかじゃなく?」
「あの変態に弟子なんてつかないわよ…多分」
「フィノラ研究所…まんまだな」
そこから10分…ゴンドラで移動した俺達は、1つの工房の前に立っていた。
ローズがその扉を勝手に開け放ち、警備用と思われる銃撃を半身で躱す。
「えぇ…」
扉の奥に見えるカウンターには誰も座っておらず…というか今空いてないんじゃ…
「おーい!ロボバカの変態!客が来たわよー!」
ローズが言葉を言い終わる少し前、カウンターの奥から、白い物体が弾丸のように飛び出してくる。
良く見れば、白髪色白に白衣という白まみれな人族の女性で…身長は低いのに、一部分が大きな成長を遂げている。
「だーれがロボバカだ!この船バカが!」
その手には巨大なスパナ(っぽいもの)が握られており、大きく振りかぶったそれが叩きつけられそうなローズは…避ける素振りがない!?
「ちょっ!?うおぉぉぉ!」
手前にいるローズを抱き締めてシールドを起動しつつ、後方に全力ジャンプ!
「ちぇりゃぁ!」
避けられたのを視認しているはずの白衣の人物…フィノラさんは、それでも構わず地面を全力で跳ね上げるように叩く。
『ビィィィン』
「うおっ!?シールドが!?」
「きゅぅ…なのです…」
「ペトラ!?」
なんかこれ見覚えが…あっこれ!トンガリでローズがやったやつ!
「オイコラローズぅ!この500年何処ほっつき歩………あぁ、スマン、見間違えたのだ」
「…へ?いや、このローズは500年コールドスリープされてたらしいから…多分間違えてないと思うぞ?」
「いやいや、フィノが知ってるローズはこんなメスの顔してないのだ。
というか、威圧感強すぎて男寄ってこないのだ」
「だっ、誰がメスの顔よ!」
「あっ、再起動した」
というか…
〔〔男が寄ってこない方は否定しない(のか)(のだ)〕〕
「それに男なんて、添い遂げる1人がいれば良いのよ!」
「そう言って心の安寧を保とうとするの止めるのだ。
どうせ実績や二つ名を知った時点で尻込みされて、悲しくなるのだ」
「ならないもん!彼氏…旦那いるもん!」
なんか知らない間にランクアップを果たしてたらしい。
えーっと、腰のポーチから圧縮タオル出して…頭固定したらナノマシンを…
「おい、そこの男、こいつの二つ名知ってるのだ?」
「後はこのまま安静に…はい?二つ名?」
「ほら、知らないのだ」
「トンガリの行動的に…覇王とか、女帝とか?」
「…何やったのだローズ………あっ!もしかしてステップ星系のトンガリなのだ!?
あのバカ支部長のせいで、政府系の職員が一斉解雇されて世間は今大混乱なのだ!」
「何やってんだよ支部長…」
「それはどうでも良いのだ!あの寄生虫のせいで落ちぶれてたのもあるし、軒並み武装の横流ししてたから妥当な判断なのだ。
それよりも!なに言っても生返事しかしなかったアイツらを、どうやって目覚めさせ…あぁそれよりも脱出ポッドのログ…あぁいやそこの男…
ウガァ!?聞くことが多すぎるのだぁ!」
あっ、爆発した。
「あー、ローズ、たしか近くにファミレスがあったはずだから俺達そっち行っとくわ」
「あー、頭がクラクラするのです…」
「ウガァァァ!」
「話終わったら呼んでくれ」
「…ちょーっとアイツが落ち着くまで待ったりしない?」
「なんか嫌な予感するから止めとく」
「良い直感ね、ああなったアイツは無茶苦茶めんどくさいわ…」
「それじゃ!」
「スキャルぅ」
さっ、後は昔馴染みの御二人でどうぞ!




