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旅人は乗り換えの夢を見る  作者: ライスパディ


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20/22

第20話

「よし!飛んだ!スペースジャンプ…は行き先を決めないと…スタートはマズそうな気がするし…あっ、あれだ!シュミレーター売ってる星系!座標貰ってたはず…あった!設定して、出航だ!」


『ファースト星系、第4コロニーへのジャンプ……………開始です』


 星明かりは線となりながらうっすらとフェードアウトし、到着予想時刻へと表示が切り替わる。


「便利ぃ…」


「今までどんな船に乗ってたのです…」


 ふぃーっと息を吐きながら椅子に座り込む。


「取り敢えず、ここまで来ればひと安心だな」


「そうなのです…ふぅ…チュー、安心したらお腹減ってきたのです」


「あー、夕食食べかけだったもんな」


「そうなのです!」


「ところで…さ…ローズっていつ再起動するかな?」


「少なくとも人力では無理なのです。

 逃走中に色々叩いたり揺すったりしたけど、何の反応もなかっ…そう言えば目は動いてたのです」


「なんだろう…本能的に警戒してたとか?」


「そうなのですかね?そう言えば何回か前に出ようとしてやめてたような…」


「なんだったんだろうか…」


 まあ、なにはともあれご飯である。


「倉庫から食料カートリッジ取ってくるから、ペトラはフードプリンター起動しといてくれないか?」


「わかったのです!」


 さーて、ご飯だ!




 あれから10日が経った。


 トンガリが積んでいてくれた30日分の食料のお陰で、結構余裕な生活を送っている。


「後…何日かしら…」


「後…10日だな…」


「「(だぁ)(ねぇ)」」


 ただし、やることはない!


「それ、なに読んでるの?」


「船のマニュアル」


「後で私にも読ませて」


「へーい」


 本当に無い!


「そう言えばこの前言ってた少女漫画は?」


「廃盤になってたわ…買いたければ、旧首都星系のアーカイブまで行けって書かれてたわね」


「あらぁ…」


 前使ってた端末は、流石に壊れてたらしいしな…新しい端末にはまだ何も入れてなかったのか…


「あっ、そう言えば…2人に給料と言うか、おこづかいと言うか、お金渡しとかないとなぁ」


「そう言えば、私の監視でお金出るって話あったじゃない?それどうしたの?」


「それなぁ…レポートを送る先が解散してて…ペトラにもどうすればって聞いてたんだが…お金貰うのは厳しそう」


「一世代変わってるものね…流石に解散するか…」


「あっ、監視の方は法律で決まってるから、完遂しろってさ」


「それって…」


「タダ働きだな…まあ、ローズといるのも楽しいし、良いんだけど…」


「そっ、そう?」


「いや本当、1人だったら何処かで発狂とかしてたかもしれない」


「あぁ、私も病院で何人か見たことあるわ」


「おおこわっ…ローズいてよかったぁ…」


「貴方ねぇ…」


「終わったのです!」


「「お疲れぇ」」


 ペトラ探検隊、俺もついていけば良かったかなぁ…


「調査の結果、この船は最低限を満たしてないことがわかったのです!」


「「…なっ、なんだってぇ!?」」


 暇な俺達の目は輝いた。


 そう、暇潰しの誕生である!




 ペトラからの報告…の前に、この船の構成をザックリと説明しておこう。


 まずブロック数は2つで、前方に居住ブロック、後方に貨物ブロックがついている。


 後方の貨物ブロックは隅っこにデータ輸送用の部屋が設置されており、後は空…食料カートリッジが1日分ずつ積まれているだけだ。


 そして前方の居住ブロックだが、これは6スロット空きがある、少し小さめのブロックだ。


 スロットは、そのまま部屋を入れられる数と考えてくれれば良い。


 ただし、シャワールームやトイレ等、明らかに1スロットも消費しないような設備は、他のとまとめて1スロットだったり、ハーフ・クオータースロットだったりで、1スロットを占有しないものもある。


 勿論、1スロット使うような設備のハーフ化も可能で、実際に我が船の客室はハーフのものを使っている。


 その結果、現在埋まっているスロットは3つ、客室2スロット(4部屋)、その他1スロットである。


 元々は1部屋を普段使いし、もう片方を趣味部屋にする計画だったのだが、ペトラの加入によって流れたという経緯を持っている。


 まぁ何にせよ、真ん中をぶち抜く廊下兼リビングと、それを挟む部屋達という構成である。


「それで、最低限を満たしてないって?」


「それなのです!まずは…あっ、船内地図ありがとうなのです」


 仁王立ちどや顔のペトラが、2箇所に指を向ける。


「まずはトレーニングルームなのです!」


「専門の部屋が有るのね」


「なのです!倉庫で、軍隊式ブートキャンプを2人がやっていた時に気付いたのです!」


「あぁ、スキャルが10分持たなかったあれね」


「あの時に宙賊に襲われてたら、確実に落とされてたな…」


「死にかけの虫みたいな動きしてて怖かったのです」


 取り敢えず航行中は免除して貰えた…航行中は…


「次に、食料カートリッジ保管室なのです!」


「「なにそれ?」」


 船作る時にそんな話聞いた覚えないぞ?ローズもなにも言ってなかったし…


「今はどうやって保管してるのです?」


「どうやってって、送られてきたままだぞ?1日毎に分けられて、やたら厳重に保管されてるやつ」


 カートリッジ自体は、一本バーよりちょっと長めの長方形で小さいんだが…


 梱包が本当に厳重で、1日4食(1食分はおやつ用)保管するのに、俺の腰位の高さの箱に詰められて送られてくる。


 そのせいで、前の船では、買い置きが無茶苦茶難しかった…期限は3年とかあるのに…


「それを解消するのが、食料カートリッジ保管室なのです!

 具体的には、今のデータ輸送室と同じ大きさで、5人が5年生きられる食料が保存できるのです!」


「それは…かなり革命的だな」


「元々は保存期間を延ばそうという試みで作られたから、保存期間も爆伸びなのです!」


 しかし、そんなに凄いものなら、なんでローズもトンガリもおすすめしなかったんだ?


「約400年前に初代が開発されて以降、爆発的なヒットを飛ばし続けているのです!

 …トンガリのは、容量が通常品の5倍ある変わりに、保存期限3日のものか、3食しか保存できない変わりに、ほぼ無期限に保存し続けられるものかで…一瞬で廃盤になったのです」


「Oh…」


 なんだろう…ローズがなにも言わなかった理由も納得だけど…それ以上に、凄くトンガリを感じる…


「次に行くファースト星系の第4コロニーは、突き抜けた製品がない変わりに、平均レベルが高いテックコロニーなのです!

 チューとしては、この2つを買うことをおすすめするのです!」


「そうだな。

 値段次第だが、導入しても良い気がする」


「うそっ、本当にあるじゃない!

 …施設関係も調べ直さないと」


 ビシィッと指を指す仁王立ちペトラに、腕を組んで頷く俺、崩れ落ちるローズと、三者三様の姿を見せつつも、なんとなくの方針を定めた俺達は、少しワクワクしながら船を進める。


 やったー!これで3日は粘るぞー!

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