表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅人は乗り換えの夢を見る  作者: ライスパディ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/21

第17話

『帰ってきたな!よしつ『本日の終業時間です。職員は速やかに帰宅してください』グアァァァ!?もうかよ!?』


「づっ、づがれだ…」


 トンガリ造船所の蛍の光的な曲を聴きながら、フラフラと船を降りる。


 チラリと外を見れば、次々に帰投するトンガリ造船所所属の実験船も見える。


「拠点砲の威力はどうだ?」


「宙賊基地の防御力にブレが大きくてなぁ…あーあ、後20か所くらい宙賊基地ねぇかなぁ…」


 耳をすませば研究員の会話も聞こえる…どうやら、ステップ星系に目ぼしい宙賊基地がないらしく、スタート星系にも遠征していたそうだ。


 オンボロ船で2日かかった航路を、1日で往復していて技術格差を感じつつも、フラフラと外へ出て、目的の店を目指す。


「賑やかだなぁ」


 遠目に繁華街が見え、賑やかな光景に目を細める。


 最近、本当にここ5日位で、このステップ星系は尋常でなく治安が改善している。


 宇宙へは宇宙船開発者(変態)宙賊討伐(実験)へ向かい、コロニー内へは陸上武具開発者(変態)宙賊討伐(実験)へ向かう。


 見える範囲に居なくなれば、宙賊の用いる通信方法を即効で解析し、草の根掻き分けてでも、1匹残らず宙賊討伐(有効利用)してやろうと動いた研究員(変態)達の成果(不満の種)によって、この星系は異常に治安が改善している。


 更に訪れた監査官達の働きにより、コロニーの癌が一掃。


 それによって空いた空白に様々な企業が参入し、首都コロニーは今空前の好景気であった。


「おっ、ここだ」


 そんな好景気に沸く町を横目に、たどり着きましたは《快適マート》だ。


 名前そのまま庶民の味方なスーパーマーケットなんだが、ここの特徴はお惣菜!


 大体の食べ物がフードプリンターで出来上がるこの時代において、中々挑戦的な試みなのだが…これが結構美味しいのだ!


 作っているのがフードプリンターなのは変わらず、しかし幾つかのプリンターを経由する事で独特の美味しさを出しているお惣菜!


 最近のマイブームは、これを1品買って持ち帰り、ローズとワイワイ言いながら一緒につつく事である!


「…きゃるぅ」


「ふんふーん♪」


「スキャルぅ…」


「ふんふ…ん?」


「スキャルぅ!助けて欲しいのですぅ!うわぁぁぁん!」


「ペトラぁ!?」




「美味しい…美味しいのですぅ…グスッ、グスッ…」


 ペトラ発見から1時間程、急いでローズに連絡し、ローズに指定されたアレコレを快適マートで買い込み帰宅した俺は、涙を流すペトラを横目にローズから事情を聞いていた。


「嵌められた?」


「ペトラ曰くそうみたいね。

 なんでも、あの猫お局だけじゃなく、もう数人からも目を付けられてたらしくて…監査が入ったタイミングで、そいつらの不正を押し付けられたと」


「なんでそこまで…」


「チューは…孤児なのです…だから、宙賊の仲間だって…」


「おいおい…」


 そんな子供みたいな…


「実際孤児から宙賊になる人は多いわ。

 親族からの助けがないから、1度の失敗でガラガラっと…ね?」


「マジかぁ…」


「とはいえ、そんなこともなく生活してる人が大半ではあるのよ。

 今回の件も、大っぴらになると中々大きな問題なのだけど…」


「アイツら…早々に逃げたのです…責任を取るって…不正を全部押し付けて!」


「おっふ…」


 キッツいなぁ…


「良かったのですスキャル…3万エネ帰って来るのです…チューはその着服がトドメで懲戒免職なのです!」


 うわぁ…うわぁ…あれかぁ…


「映像しっかり残ってたんでしょうね」


「証言も有りそうだなぁ…」


「うわぁぁぁん!」


 まぁでも、お局猫の指示っぽいのと…


「懐に入れてるのもお局猫っぽいよなぁ…」


「そうなのです!あの後ブランドのバック自慢してきたから、間違いないのです!」


 泣きながら怒り、ご飯を食べては大粒の涙を流すペトラを横目に、ローズへと集合をかける。


「…どうするよ?」


「…どうするの?」


「…選択肢有るかぁ?」


「一応、見捨ててペトラ宙賊へルートなら有るわよ」


「…この好景気効果で就職できたりは?」


「無理よ。

 口座が凍結されてるのを確認したわ。

 …有り体に言うと、信用無さすぎて論外ね」


「そっかぁ…」


 この前の《手料理ステップ》も、今回の《快適マート》もペトラに教えて貰ったお店だし、シュミレーターの利用やら、トンガリの実験体になる時の契約関係やら、結構世話になってるんだよなぁ…


「………はぁ…雇うかぁ」


「ふふっ、貴方ならそう言うと思ってたわ」


「…ふぅ…今回は部屋があるから気楽だな」


「あら?私はあの生活も悪くなかったわよ?」


「俺はドキドキが止まらなかったけどな」


「ふふっ………ふぇ?」


 なんかまたブツブツ言い始めたローズは一旦放置しつつ、ペトラの方へと移動する。


「ペトラ、俺に雇われる気はあるか?」


「グスッ…グスッ…」


「おーいペトラー」


「グスッ…グスッ…あぇ?」


「あー、あー、顔がグズグズに…」


 ティッシュ有ったっけ…取り敢えずハンカ「ぐふっ」…ペトラ強襲!?


「ある!あるのです!一生ついていくのです!」


 顔グリグリ止めて!?服が…服がぁ!?


「へっ?…あっ!雇うやつ?」


「なのです!スキャルは命の恩人なのです!」


「じゃあ条件の擦り合わせを…」


「衣住食!衣住食だけは保証して欲しいのです!」


「おぉぅ…押し強いな…衣はともかく、住と食は船に付いてるから大丈夫だぞ」


「全裸は!全裸は嫌なのです!」


「しねぇよ!?何処の好色貴族だよ俺は!?」


「よっ、良かったのです…」


 後ろの方で〔全裸!?〕と叫んだきりまたブツブツ言い始めたローズは、一体何なんだよ!もう怖いよ!


「とにかく、服は給料から買って貰うとして…給料は幾らにしようか…」


「チューの役職が決まってないから、ちょっと決めにくいのです…」


「それもそうか…とは言え、無しもマズいだろうしなぁ…」


「一応、チューの立場を元に言うと、利益の0.1%~1%が相場なのです」


 ペトラの目がキリッとしてる。


 仕事モードっぽいな…顔涙と鼻水でグッチャグチャだけど…威厳がねぇ…


「そうだなぁ」


 1%がどのくらいの負荷なのかも、いまいちわからない…


「後は固定給として支払う方法もあるのです。

 いずれにしても、衣住食を保証すれば桁が1つレベルで安くなるから、大抵の傭兵はそこを保証するのです」


「ほえー、なるほど」


「ぶっちゃけるのですけど、そこを保証しない傭兵はヤバイのです」


「…というと?」


「保証されてないから、食料を買い込んで、倉庫の隅を借りてテント暮らしなのですけど…大体、船長が洒落にならない利用料を取るのです」


「Oh…」


「最悪の場合、船長が敢えて寄港せずに餓えさせて、食費請求で借金地獄なのです」


「マジかよ…」


「この際、衣住食が保証されるなら暫く無給でいいのです。

 傭兵ギルドの統計的にも、大体1月くらいでポジションが定まるから…その時に決めればいいのです」


「うぅむ…じゃあ、それでいくかぁ…決まったタイミングで、遡って給料を支払うってことで」


「ラジャーなのです!」


 スキャル は ペトラ を 仲間にした


「よし!じゃあ俺達も晩御飯とするか!ローズ!食べるぞー!」


「………はっ!わっ、わかったわ」


 そうして、人数の増えた食卓は…やはりその分だけ輝きを増すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ