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旅人は乗り換えの夢を見る  作者: ライスパディ


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第15話

 手料理ステップに行ってから1週間が経った。


 その間、大量の監査の役人がこのコロニーに降り立ち、軍施設や傭兵ギルドへ立ち入りの調査を行っている。


 その影響からか、防衛報酬の確定にとんでもなく時間がかかっており、それならばと改造に余念のないトンガリの技術集団が、俺の船に新技術を乗せまくり…俺はと言うと、実験に付き合わされている。


『ヒャッハァー!どうやら軍が居ねぇら「宙賊来たぞ!」『おう!やってくれ!』「マーク!」ギャァァァ!』


 今回の実験は《マーカーと追従》で、マーカーを付けた相手を、自動攻撃するシステムの試験導入だ。


「宙賊船撃破確認したわ」


『ッカァー!想定よりコンマ秒遅い!』


『おうおう!やっぱり自動判定からの攻撃の方が良いんじゃねぇか?』


『それだと砲の振り分けが出来ねぇって結論だろ?』


『そもそも初心者に振り分け出来んのか?』


『だよなぁ…』


 なんでも、全くの素人が個人で船に乗って…というのはなかなかに珍しいらしく、そういう人に向けた装備やシステムを作ってる会社も無い…ならばチャンスでは?という考えのもと、新規参入してみるそうだ。


「俺みたいなのが珍しいのなら、そもそも装備作っても売れないんじゃないかなぁ…」


「さあ?銀河単位で売れば、そこそこ売れるんじゃないかしら」


『次は俺の緊急回避機構だ!』


「ん?次か」


「宙賊船ワープアウト来るわよ!」


『ヘイヘーイ!エンジントラブルですかぁ?』


『相手に撃たせろよ!』


「了解」


『じゃあちょっと…俺にくれないか…なっ!』


「「うぐっ」」


 相手の弾が発射されると同時…少し前くらいに強烈なGが身体へとかかり、船が高速で動く。


『避けたぁ!?』


「主砲ファイア!」


『ギャァァァ!?』


「ローズ!大丈夫か!宙賊船は撃破シグナル確認!」


「うっ…大丈夫…」


「こちらスキャル!一度帰還する!」


『トンガリ了解!担当者は縛り上げとく!』


「スキャル了解!」


 取り敢えず港でローズを介抱して…




 …なんて思っていた時代が私にもありました。


「つまり…なに?カウンターの自動重力機構は、どの船にも入ってると考えてたと?」


「…はい」


「船のスペック確認せずに乗せたわけね…それでも技術者?」


「…はいぃ」


 港に着くや否や、介抱に向かう間もなく飛び起きたローズが、工具箱持って外へ突進!


 介抱をしようと集まっていた開発担当の内、ベテランとおぼしき集団が気配を全力で消しつつ逃走を図るものの、確保され、即座に土下座の体制に入る。


 それを横目に辺りを見回したローズがストンピングを1つ。


 土下座の体制になりながら何かしらの回避を行ったベテランと、船から出れていなかった俺以外の開発担当の面々が、ふらりと身体を揺らして倒れていく。


 それを船外カメラで見ながら、念のためにと救急セットを出していた俺が、救急セット片手にたどり着いて…今です。


「教育担当!」


「ハッ!」


「戦場に未完成品は?」


「極刑ものであります!」


「実験は何処でするのかしら?」


「シュミレーターか模擬戦であります!」


 辺りが死屍累々であります!


 まさか、ローズの為に持ってきた救急セットを、ローズの被害者に使うことになるとは…


「所で…随分と質が落ちたわね?」


「もっ申し訳ありません!」


 本当、漫画のボスキャラの登場シーンみたいな絵面に…ん?何か乗り物が近付いて…


「何事だァ!家の社員に………失礼しましたなんでもないです」


「「「しっ、支部長!」」」


「シーッ!シーッ!気付かれるー!」


「気付いてんのよ!降りてきなさい!」


「ヒィィィ!」


 そのまま逃走を図る支部長に対し、ベテラン勢が連携して確保を図る。


「てっ、テメエら!どうせテメエらがなんか問題起こして、そこの軍人さんキレさせたんだろ!俺は関係ねぇ!関係ねぇ!」


「ヘイ、姉御、望遠機であります」


「ありがとう。

 …と言っても、流石に500年も経ってるから見覚えは…有るわね。

 推進機のトンガリ!降りてきなさい!」


「ゲェ!?その呼び方はマズい!?誰…なっ!?大姐さん!?生きてたのか!?」


「「「確保ォ!」」」


「あっ、マズッ…やめっ…イヤァァァ!」


 結果、少女のような悲鳴を上げる髭もじゃ男ドワーフは、マグネット的な道具に捕らえられ、説教の一団に加えられるのであった。





「以上!復唱後腕立て10回3セットで解散!」


「「「ありがとうございます!」」」


「「「あっ、ありがとうございます!」」」


 その後、なんか標語的なのを復唱させられた一団は、腕立て伏せをさせられて解散していく…支部長むちゃくちゃ早いな!?


「オメェら終わったら集まるぞ!試作品全部洗って明日までに完成だ!」


「「「おう!」」」


 一般開発員は死にそうな顔をしているが、ベテラン陣の顔の輝き方がヤバイ…なんか数百年分若返ったような顔をしている。


「ふぅ…スキャルごめんね?暇だったでしょう」


「いや、全然暇じゃなかった」


 倒れた人の介抱マニュアル暗記するくらいには忙しかったです。


「あらそう?なら良かったわ」


 良くないです…全然良くないけど今のローズに言える度胸など俺にはねぇ!


「「「オオー!」」」


 遠くの方ではなんか円陣組んでるのが聞こえる…


「明日から忙しくなるわよ。

 今日はしっかり休みましょうね」


「…ひゃい」


 怖いよ!俺なんかもう怖いよ!

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