第13話
『接敵まで5分切ったのです!各自持ち場を守『ヒ『ヒ『ヒ『ヒ『ヒ『ヒャッハー』』』』』』のです!』
「なっ、なんだ急…コロニーからなんか出てきたぁ!?」
『実験!実験!実験!』『俺の…俺の考えるコンセプトが最強なんだぁ!』『ストレス発散じゃァ!』
レーダー上に現れる点、点、点、その大量の船達は、陣形なんぞ知らんとばかりに敵へと殺到していく。
『この砲の威力なら!』『ラムアタックこそ至上!』『15連勤の恨みィ!』
「うわぁ…」
『君!チャージ型だよね!チャージ型だよ!チャージしとくね!エネルギー補給艦最高ゥ!』
「…主砲と副砲のチャージが完了したわ」
「えぇ…」
ビームで、ミサイルで、体当たりで、なんかよくわからない攻撃で…次々に屠られていくイナゴスライム達。
「もう、アイツ等だけで良いんじゃないかな」
『ウミャァァァ!?マニュアルが!機能!しないのですぅ!?』
「可哀想に…」
『トンガリ造船所から連絡なのです?…はい…はい?はい!?ちょっ、待つのです!待って!待てやコラァ!話聞け…うわぁぁぁん!上司の真似が通用しないぃ!』
「斜線表示機の反応?…避けるのね…はい」
『ご協力感謝します』
「ああ、いえご丁寧にどうもぉぉぉ!?極太レーザー!?」
慌ててコロニーの方に目を向けると…
「はっ?社屋が浮いて…えっ?あれ船?船!?まるごと船なの!?」
『トンガリに不可能の文字なしィ!』
『ウミャァァァ!?最早戦線なんて存在しないのです!?えっ?もう無理?俺達には制御できない?うっ、うわぁぁぁん!もう各自好きに突っ込むのです!指揮隊はその尻拭いするのですぅぅぅ!』
『おっしゃ!許可出たぞ!』『入れ食いじゃァ!』『ボーナスヒャッホーイ!』
今まで一応隊列を守っていた傭兵達も、各々が好き勝手にイナゴスライムへと突っ込んでいく。
「ほら、私たちも行くわよ」
「おっ、おう…」
『指揮個体の撃破を確認!俺が首級だ!支部長!ボーナスは?』
『船ぇ採用してやる!』
『ヒャッホーイ!最高だぜぇ!』
『あっ、テメェやりやがったな!』『実験対象が逃げるじゃないか!』『ストレス発散!』
コイツらだけでなんとかなっちゃったよ…
『新人!コイツらはもう組織だった動きはしねぇ!新人でも大丈夫だ!1体倒せば50エネの賞金と素材代が手に入る!お前も稼いどけ!』
「はっ、はい!」
そんな先輩の言葉に押されて、スライム地帯へと突き進む。
「イナゴは、身体の半分を消し飛ばすか、体内の核を破壊すれば動きを止めるわ。
素材としては核の値段が一番高いから、身体を狙うのがおすすめね」
「了解!」
船備え付けの端末で検索してくれたローズの言葉を元に、まず目の前のイナゴスライムに照準を合わせる。
「副砲Aファイア!」
『シュン』と言う音と共に、左方の副砲が火を吹き、イナゴスライムを全て吹き飛ばす。
「イナゴ撃破確認したわ。
疑似音声も起動したわよ」
「ありがとう!」
疑似音声…宇宙空間で聞こえないはずの音を擬似的に発生させて、索敵能力を向上させる機能だ。
ニコイチ宙賊船な前の船には付いていなかったが、この船には付いており、達人クラスになると、音でレーザーを避けたりするのだとか。
まぁ、現実には疑似音声を誤魔化すサイレンサーやら色々あって、音に頼りきるのも良くないらしいが…とは言え、目以外の索敵方法か増えるのはとてもありがたい。
「前回を考慮して…副砲Bファイア!」
今度もチャージ済みの右副砲が放たれ、目の前のスライムの半身を吹き飛ばす。
「まだ動いてるわよ!」
「副砲Aファイア!」
反対側の胴体を狙うも、これは外す。
「副砲B発射可能まで残り12秒!Aは30秒!」
「水平移動でお茶を濁す!」
「副砲Cと主砲は?」
「念のために残しとく!」
「了解!」
本当は後退しながら引き撃ちでも出来たら良いんだろうけど、俺にそんな技術はない!
そんな思いから、横にスイーっと移動していたのだが、イナゴスライム君的には何の意味もない行動だったらしく、そのままシールドへ突っ込んでくる。
「シールド減少1%未満、スキャル!ちょうど良いから、冷却してる間に回避の練習しちゃいなさい!」
「了解!」
確か、ロックオンしながら横移動すれば、相手を中心にぐるっと回れたはず!
「さあ、イナゴが突っ込んでくるわよ!」
「引き付けて…ブースト!」
イナゴスライムを中心に、回転するように船が移動する。
「若干カスったけど、これで良いはず!」
「Bの冷却終わったわよ」
「ファイア!」
チャージしていない一撃が、しっかりと吹き飛ばしていないもう片側を吹き飛ばしていく。
「イナゴ撃破確認したわ」
「よし!次!」
その後も、チャージしていない副砲で核ごと吹き飛ばしたり、チャージ済みの主砲で前方全てを吹き飛ばしたり、定期的に来るエネルギー補給艦により、チャージが回復したりしながら、時は進んでいった。




