第12話
「チィッ!シールドなんぞ付けやがって!《斜線表示機》も付けといたからな!良いか!シールド使うなよ?」
「くびっ、ふらっ…わっ、わかった!わかったから!」
「徹夜で拡散機能を付けた!やっぱり古いのからのアイディアも大事だな!」
「凄くトンガリね…」
あれから3日経ち、受け渡しの日がやって来た。
「この3日の練習の成果見せろよ?避けろよ?」
「あうあうあう…なっ、何でそれ知って…」
「3日間傭兵ギルドのシュミレーターに入り浸ってたよな?それはつまりこの船のコンセプトを守るってことだよな?」
そう。俺はこの3日間傭兵ギルドに入り浸っていたのだ。
なんか買う予定の船の操作体験できるって聞いてたし、ローズも傭兵ギルドのライブラリに入り浸るって宣言してたし、ちょうど良いかなと。
そのお陰で、初級の戦闘技能である《平行移動》や、《斜め移動》が出来るようになった…彼の言う回避など夢のまた夢である。
「取り敢えず、慣らし運転だ!調整は俺に言ってくれたらするから、まず1度飛んでみてくれ!」
そう言うが早いか、開発担当に船の中へ叩き込まれる。
「ここの社員どうなってんだよ…」
「凄くトンガリね」
だだっ広い貨物庫を抜け、居住区へ、そこも通り抜けてコックピットへ入る。
「おぉ!」
その中には1つの操縦席と4つのサポート席、合計5つの椅子が並んでいる。
勿論、無理矢理くっつけたベットも無いし、仮設のシャワーも、壊れかけのフードプリンターも無い。
「広いな!」
「大きさは前と変わらないのだけどね」
「住めそう!」
「住んでたのよ!」
そんなやり取りをしつつも、操縦桿を握り、深呼吸を1つ。
「よし!行くか!」
『此方トンガリ造船所、慣らし運転の区切りまで行ったと思うが、どうだ?調整いるか?』
飛び立ってから30分、ペトラちゃんにもらった、《宇宙船基礎動作虎の巻》に書かれている動作を一通り終わらせた俺は…
「ああ…なんと言うか…寸分違わずシュミレーター通りだよ」
傭兵ギルドのシュミレーターの精度に恐れ戦いていた。
『そりゃあフルダイブ式のシュミレーターだからな、再現度はバッチリだろうさ』
「マジか…お金貯めて買お」
『それなら、うちと提携してるところを幾つか教えてやるよ。
星系幾つか跨ぐが…こっちで買うとバカ高いからな』
「それはありがたい」
『うし、調整は要らないってことで良いんだな』
「ああ、後は俺が上達するだけだな」
『ハッハッハッ!良いじゃねぇか!それじゃあ1度降りてきてくれ!部品の消耗具合から、大体のメンテナンス間隔を算出するからよ!』
「わかった」
『おーい!ドックの指『緊急事態!緊急事態なのです!』…ん?』
『緊急事態につき、ステップ宙域首都コロニー近隣宙域にオープンチャンネルで警告なのです!
現在、レーダーに数千規模の宇宙生物を探知!コロニー接敵まで残り20分!』
「ファッ!?」
「ちょっと!?この声ペトラじゃない!?軍は何してるのよ!」
『緊急事態要項に従い、戦闘の出来る船には強制依頼が出されるのです!接敵までの期間に指定の宙域に集まるのです!これを断った場合、各ギルドより重大なペナルティが課されるのです!』
「あっ、依頼来た」
「行きましょう。腐っても首都コロニーだし、守りは万全なはずよ」
『尚、軍関係者は休暇により不在、ギルド長は隣の星系に出張、副ギルド長他上司は連絡不通のため、要項に従い担当者である私、ペトラが責任者となり、指揮をとるのです!』
「は?………は?」
「ローズ、目がキマッちゃってるぞ」
「………はぁ…平和ボケここに極まれりね…大方、トンガリ造船所があるから、問題ないとか判断したんでしょうけど…」
「造船所があるから?傭兵が来やすいとかか?」
「そっちじゃな『ここまでがマニュアルなのです』…何か始まったわね」
『ここからが本音なのです…ウミャー!?こんなの1人で対処できるわけ無いのです!マニュアルですら5人要求してる内容1人は無理なのです!
ヘルプ求むなのです!指揮経験者…この際犯罪者じゃなければ所属も気にしないのです!報酬は最悪チューの貯蓄から出せるだけ出すのです!このままだとコロニー陥落しかねないのです!』
「Oh…ローズ行ける?」
「私?私に指揮経験は無いわよ?あぁ、修理部隊の指揮位ならあるけど、戦闘は無理ね」
『傭兵のカラカサンだ!うちの艦隊で普段指揮してる奴を向かわせる!座標をくれ!』
『ありがとうなのでずぅ!』
さあて、段々場が混乱して参りました。
「ほら、そろそろ敵影が見える頃じゃない?」
「おっ、本当だ…見えて…き…なんじゃこりゃあ!?」
見えてきたのは、大量の推定スライム。
コアを光らせながら、此方に向かって進んできている。
「あれは…イナゴね」
「イナゴ!?明らかにスライムですけど!?」
「ん?同じ…あぁ、あれよ、翻訳インプラントの仕様」
「…なにそれ?」
「一番近しい言葉に変換するってやつよ、見た目なのか特性なのかはマチマチだけど…スキャルの驚き方的に今回は特性だったのでしょうね」
「つまり、イナゴの特性を持ったスライムの集団と…」
「そうそう。因に1つ目のはどんな見た目なの?」
「虫だなバッタの一種の」
「なるほど…確かにあれで虫って言われると違和感凄いわね」
『感謝なのです!取り敢えず頭数は揃ったのです!法律上直接指揮をとれるのはチューだけだから、音声は引き続きチューが担当するのです!』
「この短時間で集まったのか…凄いな」
「戦力はなんとかなるでしょうし、船を放置して走ったんでしょうね」
「ほえー、そんなに傭兵がいるのか」
指定宙域に到着…あっ、ここの地点担当ですね、了解です。
「15分も経ったし、そろそろ来るわよ」
「そうだな。気合い入れないと…」
レーダーを見る限り、集まった傭兵は数十隻、聞けば近隣の宇宙生物が休漁期なんだそうで、ここにいるのは休暇中の傭兵ばかりらしい。
「1人頭100体倒せば行けるはず!」
新機体の初陣で、やられてたまるか!




