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色館  作者: 雪華97/SekkaKuna
第二章「扉は開かれる」
16/18

第一話

再投稿です。

 耳が痛くなるほどの静けさに包まれている館で、何者かが一人、とても大きな扉の前で立っている姿があった。

 その人物は、仮面をつけていて顔を見ることはできない。服装も黒を基調としていて、執事を連想とさせる。


 仮面をつけた人物は大きな扉の前で、小声で呪文のようなものを唱えていた。


沈黙の開門(ウーヴル・せランス)


 その人物が呪文のようなものを唱えると、辺りはいっそうと静まり返り、ゆっくりと、その大きく、重厚な扉が開いた。

 その人物は、扉が完全に開くと中に入っていき、奥に姿を消すと、大きく重厚な扉は静かに閉じていった。


 その人物は、無数に広がる本棚や本があるそこで、迷う素振りも見せずに真っ直ぐ歩いていった。

 突然立ち止まると、その人物は一冊の本を手に取る。

 その本は、前も手に取っていた本だった。その人物はまた、最初からページをめくる。


「滅亡した国〜魔法大国ラ・ファン〜」


 時は9世紀頃…

 遥か昔からその地を統一してきた魔法大国ラ・ファン。

 資源が豊富な豊かな国で、魔法文化が主流とされたその国。

 しかし、何十年にも及ぶ諸外国との戦争により、魔法文化は廃れ果て次第に魔法が使える者も減っていった。

 いつの日か、その国は自然と滅亡しかつて世界を震わせていた魔法も消えた。

 そんなラ・ファンの跡地では今でも様々なものが見つかっている。

 例えばだが、無限の時間を刻む館などだ。


 そもそも、魔法大国ラ・ファンの存在が発見されたのは最近のことだ。

 石碑を数十年かけて解読した先の発見で、石碑の内容は驚くべきものだった。

 それこそ、歴史が塗り替わった瞬間と言っても過言ではないだろう。

 今まで空想の存在とされていた魔法が実在したこと、そして現在にも存在していることだ。

 なぜ、現在にも存在していると言えるのか。

 最初にも言ったが、無限の時間を刻む館の存在が確認されたからである。 

 館内に入ったものは、未だに帰ってきていない。

 中はどうなっているのか。どうして、無限の時間を刻んでいるのか。その謎はまだ解明されていない。

 この本は、そんな謎だらけの魔法大国ラ・ファンについて語るだけの本である。


 著者:サヴァン(1242~????)

 発行年月日:1628年12月20日

 発行:ラヴニール



 パタンっ


 静かな場所に、本を閉じた音が鳴り響いた。

 その人物は、本を閉じると、元の場所に戻し、大きな扉を開い外へと出る。


 扉の外へと出ると、後ろ向き、呪文を唱えた。


静寂の封印(せランス・セーレ)


 呪文を唱えられると、開いた扉は静かに閉じられた。

 そして、その人物はもう一つ呪文を唱える。


禁忌の境界リミット・アンテルディ


 その呪文が唱えられると、扉には大きな魔法陣が発現し、扉の前に見えない壁を作り出した。

 壁を作り出すと、魔法陣は次第に薄れていき、視認ができなくなった。


 その人物は視認できなくなったのを確認すると、扉から離れ、長い廊下の奥へと歩いていった。

  

 ______________________


 サヴァン


 12世紀頃に活躍した学者。

 魔法大国ラ・ファンについて研究していた学者の一人で、石碑解読の第一人者。

 現在、彼の書いた物は殆ど残っておらず、原本は勿論、模写本すら見つかっていない。

 この本は、見つかっている三冊のうちの一冊を編集したものである。

 彼は、自宅に無限の時間を刻む館に行くとだけ書かれたメモを置いて行方不明になった。

 

 ラヴニール


 15世紀半ばから本などを販売している会社で、世界的にも有名。

 何世紀もの間、大陸で一番の技術を誇っている。

 

 いつまでも、その人物は〜、その少女は〜、その少年は〜などと、登場人物を呼んでしまっていてすみません。

 今回の作品は三人称であることから、確定な情報というものを出していません。

 一応、彼ら、彼女らには案内人や聖女という呼び名はあります。

 ですが、この何なのかわからない三人称でその名を呼ぶことはない。ということを、心の中に置いていただくよう、お願い致します。

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