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URIEL【4つの神話と月人の双子】 ~ある日、大切な親友と離れ離れになった少年が身を投じたのはカラフルな電子海か、支配者を決める戦いか、永い過去の清算か……あるいはその全てか~  作者: リプラ
2大勢力編「その名は」

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第62話「人の形をしているだけの」

「ま、待ってくれ……!家族がいるんだ!!両親も妻も、子供だっている……殺さないでくれ……!!!!」


 ブライツ本部から少し離れた海上。

 何隻かのボートが風と煙を散らしながら沈んでいく。


「家族?エーット……俺ガ人間ジャネーノ見レバ分カルヨナ?」


「分かるさ!それでも……君にも創造主という家族がいるはずだろ……?」


 唯一残ったボートの上、2Eは目の前で命乞いを続けるブライツの調査員を見つめ続けていた。


「アー……確カニ作ッテクレタ人ノ事()()()ッテ呼ンデルシナ。」


「そうなんだろう!?なら分かるはずだ!!家族の大切さ、失うことの辛さが――」


 海中に紅を散らしながら調査員の頭が転がり落ちる。


「ウンウン分カル分カル、俺ヲ作ッテクレタマミィハ大切ダゼ?ダカラ命令ニシッカリ従ウンダワ……ジャアナ馬鹿野郎。」


 残った体も蹴り落としながら2Eが針のような足でボートの床に切り傷をつけた。


「……ン。」


 分離した頭と体の間を弾丸が通過する。

 四肢と共に浮き上がった胴体が頭部と共にサブカメラでB.7を睨んだ。


「遅カッタナ!時代遅レノ産物。」


「……分析開始。」


 風力と巨大なグライダーによって空を舞うB.7へ2Eの尖った足が襲いかかる。

 グライダーを畳んだB.7が風に乗りながらその足を蹴り飛ばした。


 蹴り飛ばされた足はよろけながらも再び浮きあがる。

 背後からB.7を突き刺しにかかる足へ合わせるように、2Eの片腕が紫雷球を乱射し始めた。


「回避ルート分析完了、Uパターンでの戦闘を推測。」


 風の放出を止めたB.7が落下を始める。

 それに向かって放たれた紫雷球を爆発的な放出を使って回避していく。


「(あの足遅いな、小回りは効くが。)」


 足を見つめていたB.7の背後へ回ったもう一方の足をノールックで躱しながら、B.7は両腕をライフルへ変形させた。


「……そこだ。」


 B.7が反動を制御しながら正確に放った弾丸は2Eの腕に命中したが、腕も咄嗟に向きを変える事でダメージを最小限に抑えている。


「損傷率……期待値を大幅に下回った。」


「オ互イ様ダナ、モット避ケレルと思ッテタゼ。」


 真下から聞こえた2Eの音声へB.7は咄嗟に風力を噴出させた。


「【滅光ノ導ク道(収束スルチェレンコフ)】。」


 (ひるがえ)した体のすぐ横を通過する青い光を見つめながら、B.7が本部へデータを送信し始める。


「滅光か。」


「正解、生物ヲ分ケ隔テナク殺ス滅ビノ光ダ。」


 データの流れを睨みながら、2Eが空中で胴体や手足と合体する。


「見るだけでも危険だ……お前はココで破壊する。」


「機械ナンダカラ出来ル事ダケイイヤガレ!!嘘ツキハポンコツノ始マリダゼ!!!!」


 両手、胴体のサブカメラ、口部を同時にB.7へ向けた2Eの中から聞こえる冷却装置の稼働音が大きくなる。


「【蒼眼(ソウガン)(ロー)】。」


「!!」


 B.7を囲うように放たれた紫雷球の弾幕と口部およびサブカメラから放たれた滅光のレーザーが海面を吹き飛ばした。


「……消エタ!?」


 海面を見つめながら蒸気を漏らす2Eは、カメラを回転させてB.7を探す。


「(海中と温度を合わせる……隠れるだけならそれでいいが……どうやって倒す?)」


 沈みながら、B.7が身体を回転させた。


「……!」


 海底に輝く巨大な紫の塊。

 ソレを見つけたB.7はその腕先をライフルから手指に戻し始める。


「(……勝負は一瞬で決めなければ。)」


 鯨が遺した死月鉱の塊を掴みあげ、B.7が吹き飛ぶような急浮上を始めた。


「熱源反応……?何デアイツハ自分カラ位置ヲ晒シタ……?」


 突如発生して自身へ迫り来る熱源へ2Eが口部や両腕に加えて尖った両足の先を向ける。


「……マサカ!?」


 思考回路を高速回転させながらサブカメラと腕部の先を紫に輝かせて、2Eは頭部と両足を分離させた。


「【蒼眼ノ狼・Null(ヌル)Pawn(ポーン)】。」


 胴体と両腕から放たれる紫雷の弾幕とレーザーが海中に伝播した直後、B.7が放り投げた死月鉱の塊がそれらを吸収する。

 激突し片足と胴体を巻き込みながら海へ沈んでいく塊を睨みながらも、2Eは口部装甲を大きく開いた。


「小癪ナ……!」


「分析完了。」


 2Eが放った滅光のレーザーを躱しつつ、B.7が海中を舞う。

 ソレが次に掴んだのは、大破した2Eの足であった。


「お前は私から逃げられない。」


「元カラ()ーヨ!!!!」


 2Eはもう一方の足と頭を浮かせながら、B.7は新たに手に入れた鋭い死月鉱の塊を構えながら。

 互いを『自身に並ぶ、唯一のヒューマノイド(人型機械)』として認め始めていた。


 2Eの放った滅光が、ソレに急接近し始めていたB.7の頬とカメラの一部を焦がす。

 視界を覆う青い光に体を仰け反らせながらも、B.7はそのままの勢いで回転を続けた。

 右腕をライフルに変形させ、背後から迫りつつあった最後の足を撃ち落とす。


 スラスターを破壊された2Eの足が最後に爆発的な加速を繰り出して、B.7の左腕を貫いた。


「チッ……人ナラザル者ナラデハノ戦イ方ッテヨ、ヤラレル側ニナルトメンドクセー!!」


「同感だ。」


 2Eの口部から弾けるように蒼い光が飛び出す。


「【滅光ノ照ラス世界(弾ケロ滅光)】!」


「!!」


 視線を2Eへ向けたB.7の周囲をいくつもの滅光の粒子が掠めていく。


「……分析……完了……!!」


 煙を吐きながら再び滅光を放とうとする2Eに向けて、B.7は死月鉱の塊を振りかぶった。


「【滅光ノ導ク道(収束スルチェレンコフ)】!!」

「落ちろ!!!!」



 海上に光を反射させながら死月鉱の刃と滅光がすれ違う。



「「!!」」


 滅光がB.7の右腕と足を貫き、死月鉱が2Eの頭を砕いた。

 姿勢制御を失ったB.7は海へ沈みながら通信をB.13と本部へ繋ぐ。


「分析……完了……コレは……。」


 ノイズが広がっていくカメラの奥で、B.7は海面に広がる光を見つめていた。


「……来てくれたか。」


「遅くなってすまない!まさか君が相討ちになるなんて……。」


 海上に現れたアイギスの中で、B.13が粘液を伸ばしていく。



 ­­­――­­­――­­­――­­­――



 獣粘彩、スティッキー(こう)にて。


「「「「オーダー!!オーダー!!オーダー!!オーダー!!オーダー!!……」」」」


 人々の歓声を浴びながらもオーダーはその表情(かお)を曇らせていた。


「(……誘い出されたな。)」


「オーダーさん!」


 ブライツ隊員の1人が海を睨む彼女の背を見つめる。


「宇宙アメジストの調査隊が全滅したようです……。」


「なんだと?」


 オーダーが動揺から発生させた威圧感が歓声をあげていた人々を黙らせた。


「っ……彼らが海上にて宇宙アメジストの調査を始めた所、突如現れた人型機械(ヒューマノイド)に襲われたようで……ヒューマノイドはB.7が撃破しましたが、B.7も酷いダメージを負ったようです。」


「出自も分からない単機のヒューマノイドがB.7や調査隊と相打ちとは……信じられんな。」


 振り返ったオーダーに見つめられながら隊員が報告を続ける。


「それとほぼ同時に……パピリオンにてB.Xを名乗る存在と、B.3が共にピューパッドと交戦を開始したとの事です。また、ブライツ本部へ連行されていた死神部隊の隊長が失踪……失踪直前に虚像のような物が目撃されていた事から、B.4に連れ出された可能性が高いです。」


「……B.X……懐かしい名だが……恐らくはアスク・スーリエルだろうな、ライムならやりかねない。」


 周辺に武器を舞わせ始めたオーダーが再び海を見つめ、靴を履き直す。


「加えてB.4『メイフライ』と木槿の接触……まぁ、今はコチラを優先できる状況ではなさそうだ……B.1、今よりパピリオンへ急行し、事態の鎮圧を行う。」


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