ⅩⅦ
「よろしくお願いしますね、シェーナさん」
許可を得てからその首元を撫でさせて貰う
ふわふわの羽はとても軽くて暖かかい
小鳥のように目を細めたり手にすり寄って来るようなことはなかったものの、こちらの目をしっかりと見つめ、それから歌うようにひと鳴きした彼女の様子からどうやら受け入れて貰えたらしいということをフィギュラスが教えてくれた
そんな風に挨拶を済ませてからは手紙をシェーナに運んでもらう方法を詳しく教えてもらうこととなった
どうやら彼女伝手に届けた通信をフィギュラスが受け取り、それをまたシェイドへと手渡した後に彼がファーレインへと直接届けることになるのだという
そのためどんなに急いでも鐘1つ分はかかるだろうということと、シリアにもしっかりと封蝋はしてほしいということが伝えられ、同時にシリアが持っている封印がどんなものであるのか1度シェイドに見せて記憶してもらった
書類仕事の方が向いていると言うだけはあるのか、僅かばかりのうちに細部まで覚えてしまったあたりかなり有能な人物なのは間違いないだろう
諸処の説明を済ませた後には1度実際に試してみようということでシリアが書いたごく短い手紙をシェーナへと預け、すぐ近くにいるフィギュラスへと運んでもらった
笛を吹いて彼女を呼び、テルンザをいくつか与えてから手紙を預ける折にテルンザの他には何が彼女の好みなのかとシリアが尋ねてみたところなんとキルカの実なのだという
私とお揃いなんですねとシリアが笑みを浮かべてみれば、同じようによく似た笑顔を見せるその叔父とは対照的にフィギュラスはやや青い顔をしながら畏れ多いと呟いていた
それから、自分だけではなくシェーナに与える用にとまたあの市場の店に伺おうとシリアは口にする
シェイドが「でしたら私が手配致しましょうか」と提案してはくれたのだがメイフェルベリーの出ではない彼は───仮にメイフェルベリーの者であったとしても大半の者ではシリア程の目利きはできないだろうということで、彼やクロムを伴ってであれば外出しても良いという許可をファーレインが出してくれた
また、それならばということでシリアの案内とついでに街に薬を届けに行こうとクロムも同行してくれるらしい
軽はずみな発言が何とも大きなことになってしまったなとシリアは少し申しわけなくは感じるものの、息抜きに街へ出れるということと大好物であるキルカの実がまた手に入るということでシリアの気持ちは少しばかり浮ついてしまう
彼らが再び馬車に乗ってからも、彼らが立ち去った後に再びクロムの見学をしている際にもそのどこかふわふわとした気持ちはなくならず、結局それはシリアたちが街へと出かける約束をした当日の朝まで続くこととなった




