Ⅵ
「本当は私が側でシリアを守ってあげたいんだけど、そうするとシリアへの手出しをやめさせるための準備が滞ってしまう
だからこちらの準備が整うまではシリアには安全な場所で過ごして貰う方がいいんだ」
確かにその言葉には納得できる部分もある
だが、そうなるとひとつ疑問なのは果たしてこの屋敷と、それを取り囲む庭園が王弟殿下の手の届かない安全な場所なのかということについてなのだが、しかしファーレインはこちらを安心させるような笑顔で確りと頷いてみせる
「この国において、陛下の私室とこの場所以上にあれの手が届かない場所はないよ
王都の私の屋敷にいるよりもよっぽど安全で、だからこそ本当に運が良かった」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。間違いないよ」
再び頷き、そして彼女の叔父はそれから、と続けた
「それから、シリアの身がどれだけ珍重されているのかが伝わるようにと陛下のご裁可を賜って役職を付ける事にした
本来は『知の者』を引き継いでからそうするはずだったんだけど、暫定的にということで、一先ず今後は『国王後見役付き連絡役』として務めて貰うことになる
悪いけどもちろん従者代わりに副官も付けるよ
これも本来は『知の者』の介添人として付けるはずだったんだけどね」
「う、はい……」
シリアとしてもその原因を作ったのは自分であるため、渋々頷き返すしかない
役職の方は問題ないだろう
国王後見役付きということは叔父の部下ということになる
連絡役という名前からして情報を集めたり、上がってきたものを精査し、それらに優先順位を付けて喫緊なものや急を要するものから報せるというのが主な役どころとなりそうだ
そして、どちらかと言えば問題なのは従者の方
本来は領主であり、そして貴族令嬢でもあるシリアノルに従者がいないというのは少々問題でもあるのだが、できる限りは何でも自分でやるというリスクラッド家の教えや彼女の気質の問題もあってか今までは見逃されてきていた部分もあった
従士は付いていたし、リスクラッド邸があまり大きくはなかったことで、常に誰かしらが側にいたというのも大きかったかもしれない
あとは保護者代わりの叔父がたいそう姪に甘く、彼女の望みはほとんど全て叶えてしまおうとしていたというのもあるのだが……、
故に彼女が煩わしいと感じていたこともあって、従者は今までは見逃されていたのだが、やはり王城の中にあって、そして問題が起こってしまった以上それは認められないということなのだろう
それでも従者ではなく、副官というのはまだ温情なのかもしれない
仕事上の間柄であるため、私生活までは関与しないということではあるのだから




