ⅩⅤ
『知の者』
エルフェンリート王国において『聖騎士』と並ぶ程に誉高いその称号を与えられた者たち
こちらは代替わり制なのだが、国内でも特に優れた5人の賢人にのみ与えられるとされ、その紫の衣を纏うことが許されているのもこの5人のみ
この称号を持つものは王国の重要な役職に就くことをその生涯約束され
また同時に唯一、陛下や国の方針に忌憚なく意見あるいはそれを評することが許される
自身が得意とする分野においては時に国王陛下以上の権威を持つことすら認められるという王国の学問の頂点と言っても等しい者たち
他の国で言えば枢密院や元老院などといった機関に相当すると言える役割を持っている彼らだが、決して国王陛下と同じような力を持つには至らなかった
曰く、「権利を持たず、権威を持つ」
最終決定権は常に王にあり、彼らはあくまでその知で王を助けることのみを目的としていた
そしてそんな偉大な臣である彼らは知の者となる以前より常に数多くの功績を打ち立てており、多くの詩や芝居の題材ともなっているためにそれぞれ2つ名や異名などを持っているのだ
無論、シリアの目の前にいる男たちもその例には漏れない
好々爺然とした『天眼のギルマン』は内政の天才であり、また用兵術に関しても一流のものであった
彼は混沌とした戦場の中でなお地形や戦列などをまるで天から確認したかのごとく全て把握することができたのだという
また紫の髪を持つ『巧緻者』アイゼルはあらゆる戦略、知謀に長けることで有名であり、まるで一遍の詩を諳んじるがごとく先の展望を語り、その意のままに掌握して見せるのだという
シリアはどうしてそんな方々がここに、などと言いたくなる
先程から扉が開くような音は聞こえてはいない
これは彼女がジーウェインに気を取られたせいで完全に失念していたことだったのだが、先程シリアとその叔父がこの部屋へと足を踏み入れた際にはもうそこにいたということに他ならない
つまりは先程のシリアの不敬極まりない発言も全て聞いていたということでーー、
「というわけで、私とファーレインからは彼女を推そうと思うんだけど、どうかな?」
ぱくぱくと口を開け二の句を告げないでいると、笑顔のままのジーウェインは彼らにそんなことを告げた




