ⅩⅢ
さてここまでを総合して纏めれば
国内外問わず敵が多く、常に不安定な状態
決して手放しで喜べる状況などではないということがよくわかる
「私の知る限り『変革王』の評価は真っ二つに分かれます
歴代最高の賢君と称える者、あるいは国を破壊し混乱へと陥れる愚王だと評するものーー、」
そこまでを踏まえ、シリアは言葉を紡ぐ
青年は何も言わなかったがその眼差しは彼女に話の続きを促しているように見えた
「……たしかに現時点で言えば規定の仕組みを破壊した者と言われることでしょうし、現状起こった出来事だけを拾い上げてみればその評価は厳しくなるを得ません。ですがーー、」
それでもなお人々をしてジーウェインは賢君と呼ばれるのだ
ーーそれは何故か
「ですが、今は過渡期。変革の時期だからこそ、それを決してやめてはいけません」
制度はただ作ればいいというものじゃない
何かを変えるということは今まであった仕組みを壊すということ
それはまさに現在のようにその物事に携わってきた者たちの混乱を生み、反感も産むことだってある
何かを変えてすぐに結果が出ることなんて稀で、むしろそれに慣れるまでの数年は以前よりも数字が悪化することだってある
けれども、やはり何かを新しく作り直すには、今あるものを壊さなければならないというのもまた真理
そのために、より良い未来を掴むための変化の時が今だというのならば、それは今やるしかないだろうというのがシリアの考えだ
ーーここに純然たるひとつの事実がある
そんな激動とも呼べるような時代にあって、しかし人々の表情は明るかったのだ
若き王が説き、種を蒔いて示したものを、民たちには自らの手で育み、芽を出したという実感があったのだ
「種がやがて実りを迎えるまではかなりの時間を有します。おそらくは50か100年か、そこらはかかるでしょう。一度に蒔き過ぎれば栄養が行き届きませんし、根腐れしないように水をやりすぎてもいけません
その塩梅は見極めが非常に難しく、かつとても手のかかるものだとも思われます」
それでも決してやめてはいけませんとシリアは繰り返す
青紫の瞳の中に真面目な顔をした自分の顔が写って見えた
「けれどそれを成し遂げた時、後世に『変革王』はまさにこの国の繁栄の礎となった偉大な王だと語られることになると私は確信しています」
最後にそう告げると青年は少しだけ嬉しそうに目を細めてから小さく会釈をしてくる
「ありがとうございます姉上。とても参考になりました」




