ⅩⅡ
さて、では産業などに目を向けるとどうだろうか
まずエルフェンリート王国にはその広大な国土において肥沃な大地や穀倉地帯があり、東の地には冬でも凍らない港、そしていくつもの鉱山を所有している
友好国との貿易も盛んに行われており、外貨や品物も大量に入ってくる非常に豊かな国だと言える
さらにジーウェインが即位してからは学者やこの世界の真理を探求するという錬金術師、あるいは発明家などといった者たちにも支援を行い、その成果として生み出された最新の技術や仕組みを意欲的に取り込んでもいる
かつては常識だったはずの手順やしきたりが見直され、中には逆に危険を招く可能性が高いということで禁止となったこともある
いくつかの項目では目に見えて結果が出ている反面で、それは現場で働く者たちの混乱を招くこととなり、決して少なくはない数の不満の声が上がっていた
そして、この元より豊かな大国がさらに豊かになる兆しが見えたというのも問題なのだ
北のレグルヤ山脈の向こう、ルストエフ帝国
この大陸の覇権を狙う彼の国は大陸最大の国家であるエルフェンリート王国がさらなる発展を遂げることを是とはしなかった
しかも何を隠そうこの国、あのヘルメトラ妃の生まれ故郷なのだ
名ばかりの友好国として戦争回避のために送り込まれた王室の姫ヘルメトラがあろうことかクーデターを起こしたわけである
国同士の関係としてはもはや最悪と言っても過言ではない
彼らは王国の西に位置するセルフィト公国と同盟を結んだ
王国の西端、エルトラーデ辺境伯領の先であるセルフィト公国の国土のほとんどは土壌のせいで水はけが悪く、植物の育たない沼地が広がるばかり
そのため古くから豊かな王国の地を狙っており、王国を蹴落としたいルストエフ帝国とは都合がよかったわけだ
近年も帝国から支援を受けた公国により2度侵攻を受けていたが、どちらもエルトラーデ領に入る前に撃退をしているらしい
シリアもそれなりに調べてはみたものの、どうやら特殊な兵器でも用いられたのかこの戦闘に関する情報は勝敗以外は機密情報とされ全ての情報が伏せられていた




