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ジーウェイン・ガイウス・フォン・エルフェンリート
前国王陛下の第1子であり、第1妃であったデリラ妃との間に生まれた嫡子
妃は産後の肥え立ちが優れなかったのか彼を産んですぐに亡くなったために彼女の御子は彼だけだ
正当な血筋を持ち、幼い頃より様々な分野で才器を見せ、そして現在もなお稀代の賢君として名高い人物
国を継ぐものとしてこれ以上の才能はないと前国王陛下も民たちも喜び、その成長を見守った
そんな誰からも愛されて育った国王陛下は現在『変革王』との名で呼ばれている
けれど、それは今もなお一様に愛されているということではない
遥か悠久の、遠き歴史を誇るエルフェンリート王国の中で、彼が王太子の頃よりが掲げる理想は新しかったーーいや、革新的すぎた
彼が唱えたのはすなわち国民の、民の自立
ーーただ父祖の功績に驕り高ぶるではなく、その正しきを以て導となし
ただ誰かに阿り隷属するではなく、自らの歩みを以て繁栄とす
王族が、貴族が、平民が
それぞれの力で、それぞれを支え合う、真の共存共栄
『王がいるからこそ国があるのではない。民がいて、国がありそれを守り導くから王なのだ』
平生からそう語る彼はその言の通りに様々な改革に着手している
わかりやすいところで言えば彼が王太子の頃に行った爵位継承における性別、年齢等条件の撤廃などだろうか
まさに幼い貴族令嬢のシリアノルがメイフェルベリー領の領主となるのを助けたそれであるのだが、その前身となった優秀な者でさえあれば身分、立場、経歴、出身などを不問で取り立てる『機会の均等』という概念を彼が提唱したのはわずか7にも満たない歳の頃だったという
彼はこの概念を常日頃から唱え続け、即位して以降に行われた役人や文官の採用に関してもこの『機会の均等』が盛り込まれている
だからこそ、だろう
彼のそんな強い理想はだからこそ強い反発を産んだ




