ⅩⅣ
衛兵たちが気が気でない様子で見守る中、聖騎士卿は非常に手馴れた様子でその殻を外すと、中の果肉を口に含み、
「本当にいいキルカだね、今年の酒も期待できそうだ」
そして破顔した
「ええ、そうですね」
それにつられてシリアも微笑み、見守っていた衛兵たちもようやく気が抜ける
だが、そんな様子が聖騎士卿を羨んでいるようにでも見えたのだろうか
「あ、そうだ。よろしければ皆さまもおひとつずついかがですか?」
黄昏色の髪を持つ少女はとてもきらきらとした笑顔で衛兵たちにも赤錆色の実を差し出した
「あ、いえ、我らは職務中ですので……」
「気にする事はないよ。私の故郷の果物なんだがせっかくの機会だ。食べてみるといい」
ひとりの兵士が立場を理由に断ろうとしたものの、自分たちにとって王族にも等しい立場の騎士団長にそう言われてしまえば否はない
「いただきましょう」
意を決したのか真っ先に長を務める男が手を伸ばした
それを見てから他の衛兵たちもその後に続く
「殻が付いていますのでそれを剥がしてから中の果肉だけを食べます。お口に合えば良いのですが……」
さっきよりも少し緊張したような口調でシリアがつぶやく
その説明に従いおそるおそるといった具合に男たちは白く透明な実を口に運んだ
瞬間、口の中いっぱいに実の瑞々しい甘さが広がっていく
「む、いけるな」
「おいしい……ですね」
「めちゃくちゃうまいっすよこれ!」
「よかったです」
思わず溢れた彼らの感想に安心したのかシリアははにかんだような笑顔を浮かべた
その笑顔につい心を奪われた若い衛兵が自分を見つめて来たため、理由がわからないとばかりに彼女は人さし指を柔らかそうな唇にあて首を傾げたが、やがて得心したように小さく手を打つ




