ⅩⅡ
もちろんそんな彼らの思いなど知ってか知らずか聖騎士卿は淡褐色の瞳に喜びの色を湛え、にこやかな笑顔を浮かべたままにシリアへと歩み寄る
「ああ、会いたかったよ愛しいシリア。もうしばらくは会えてなかったけれど、最後に会った時よりもさらに綺麗になったね」
うっとりとした様子でそう告げるこの国のNo.2に対し、シリアは先程までとはうってかわって貴族然とした微笑みを浮かべると小さく裾の端を掬い、流麗に上流貴族もかくやというような淑女の礼をしてみせる
「ご無沙汰しております閣下。閣下におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
貴族の教科書があれば100点満点は取れるであろう受け答えと流れるような所作に傍にいた衛兵たちは息を飲んだが、それを受けた側の当の本人は彼女に些か不満があるとばかりに口を尖らせた
「シリア。昔みたいにファルにーさまって呼んでくれても……」
「閣下。わたくしは先日14になったのですよ」
「14なんてまだ……」
「……」
子どもじゃないかと言いかけたファーレインを冷たい視線で制す
彼女は私はもう立派なレディーですとでも言いたげに軽く頬を膨らませ、先程の聖騎士卿そっくりに口先を尖らせていた
「それで、閣下はなぜこちらに……?」
小さく息を吐き出しながらのその少女の疑問に聞かなくてもわかるだろうと衛兵たちは思う
が、しかし女心というのは複雑なものであるとも聞く
おそらく少女はわかっていてもなお、この男の口から答えを聞きたいのだろう
「1の門にシリアが来たら報せを届けてくれるように頼んでいてね。歩いていたと言うからこちらに来ると思っていたんだ。」
金に近い明るい麦穂色の髪を持つ聖騎士卿と夜明けの髪を持つシリア
先の様子とは一転して親しげな笑みを浮かべ合う彼らはとても絵になっていた




