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第二話 距離を詰めて来るって事は、そう言う事よね?スキンシップ(意味深)だってOKでしょ?

前回のあらすじ『幼馴染で初恋の相手で今も好きで仕方ない真が何故か女の子になってしまったので、本物かどうか確かめるために、過去の恥ずかしい話でセクハラしてみた』


……さて。

今、私のベッドに座っている女の子が、幼馴染の真だという事はわかったけど、どうして女の子になったの?


「そんなの……俺が知りたいよ…」


私が、本当に真だと信じたからか、それとも落ち着いてショックが襲って来たのか、俯いたまま服の裾を握りしめている。

見れば、服には濡れた後が。

真の頬を流れる涙が、その胸元へと……ひと粒、またひと粒と。


「……そうだよね、ごめんね。…わかんないから、助けを求めてるんだもんね」


小さく頷く真。

そうだ、これってきっと想像してるよりずっと大変な事だ。

今までの人生そのものが根底からひっくり返ってしまったようなものだから。しかもその原因もわからない。姿形がこれほどに変わってしまえば、親兄弟…あ、真はひとりっ子か…親でもわからないのだろう。

だから、私に助けを求めてきた。


……うん。 私が力にならなきゃ。



それにしても…



真が泣いてるところなんて、いつ以来かな?

中学の時は……剣道の試合で負けても、『次には勝つんだっ!』って笑ってたっけ。

それより前だと……小学生の時も、高学年になったら泣いてた覚えってないんだよね。

じゃあ、低学年の頃かな?


あ、確か運動会の時に転んで泣いてたんじゃなかったかな?

あの時って、膝を盛大に擦り剝いてたから、結構な怪我だったんじゃ……。

え?そんな昔から、真ってひと前で泣いたりしてなかったって事?


…すごいなぁ。

やっぱり、私が好きになるだけの事はあるわよね。

もう、カッコいいんだから…。


「…瑠璃?」


突然、真の声を間近に感じた。

見れば、涙に潤んだ瞳で私を見詰めている。

しかも、息を感じる程近くで……。


こ…これって…



OKって事ですよねっ!?


真からこんなに近くに来てくれるって事は、キスしてもいいって事ですよね!?ね!?(超重要)


これは、仕方ない事なの。

真は今、不安で不安で仕方なくって、私に心の安らぎを求めてるの。

私が近くにいるから、きっと真は少しでも安心できるのね。

きっと抱きしめてあげれば……そして、その柔らかな唇を重ねれば、落ち着いてもっと話が出来るはず。

そう、きっとそう。

うん、だからこれは仕方ない事なの。

けっして私が真とキスしたくて仕方ないとか、そういう邪な気持ちじゃなくて、純粋に彼の……あ、いや、今はもう彼女か…ああもう面倒…真のためなんだから、うんっ!


「どうしたの?さっきから黙り込んで……やっぱり、まだ信じられない?」


唇を噛みつつ、目を伏せて両手でその身体を抱きしめる真。

俯き、強く…より強く身体をこわばらせ、その身を屈めてしまう。


あぁ……私は何をしているんだ…


これほどまでに真が苦しんでいるのに、なのに……その心に寄り添ってあげる事もしないなんて…。


私は…まだ彼女として失格なのね。


「大丈夫…大丈夫よ、真。私は信じてる…あなたの言う事、信じてるから」


そっと肩を抱きつつ、耳元でそっと囁く。


女の子になった真の髪。

柔らかくて、細くて…少し癖はあるけれど、桜のような甘い香り。

ああ…私の好きな香り…。

あ、もしかして、私が好きな香りだって言ったの覚えてくれてたのかな?

え?やだ、もしかして真も私に気があったとか?


私たちって両片思いだったの!?


ああ、嬉しい。

今日って私の人生で最高の日じゃないかしら?

さあ、このまま唇を重ねて……。


「瑠璃ってば、ちょっと痛いよっ」


はっとしてみれば、私は真の肩を強く抱きしめていた。

身体の前後両方から腕を回し、胸を押し付ける様にして。


「え?あ…あぁ、ごめんね、真」


腕の力を少しだけ抜いて、僅かに隙間が出来るくらいに身体を離す。

私と真、お互いの胸がくっついているのは変わらない。

ぽよんとした真の胸の感触が伝わって来る。

…柔らか~い…


「…ちょっとっ!瑠璃!?」

「ごめんごめんっ…泣いてる真見てたら、つい力が入っちゃって…」


…もう女の子同士なんだから、そんなに恥ずかしがる必要なんてないのに…。

そうよ、胸が触れ合うくらい、大したことじゃないでしょ?

それくらいスキンシップの一環。


…ん?胸?

ぽよんぽよんの…胸。


ふと気が付き、私は真の胸元に目をやる。

真が今着ているのは、男の頃のシャツとズボン。

先程、玄関先で会った時に思ったけど、背丈は私と変わらないくらい……つまり、小さくなってる。

抱きしめた時も、余裕があったって事は…細くなってる。

そして真は、元々男の子。ブラなんて持ってるわけもない。


つまり。


え?


ちょっと待って!?


真…えっち過ぎない??

私よりも大きい胸で、しかもノーブラで抱き着いてくるなんて(違う)、これはもう絶対OKって事じゃない!?

こんなの『プレゼントはわ・た・し』な状態よ!?


あぁもう、真のえっちっ!

わ…私はまだそ…そこまでの覚悟は出来てないって言うか…。

ううん、真が望むなら、大丈夫。

いつでも大丈夫よ?


「…瑠璃?」

「えっ?…はっ!…だ、大丈夫よっ私、いつでもいいわっ」

「………何が?」

「…何がって…その…」


あれ?

真から誘ってるんじゃ…??


…


…


ふたりの間に、流れる無言の間。

少し呆れ気味な真。

ちょっとだけ先走りがすぎた私。


そうよね。

女の子同士になって、遠慮がいらなくなったからって、いきなり関係を…なんて事、真がするわけないか。


そうだよね、うん。

……そうだよね。


先程までのハイテンションが嘘みたいにしぼみ、私は猫背になって虚空の一点を見つめていた。

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