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006-セイクリッドネスト

 調査の結果、新たに見つかった地下空間は地上と繋がっていた。

 町内にあった一軒の大きな家……その敷地内にあった井戸と繋がっていたんだ。


 まあ、それはそれでかなり問題だよね。

 でもね、もっと問題なのは、僕達が倒した怪物の正体なんだ。

 だってさ、戦闘があった地下空間を明るく照らした状態で確認してみたら……。


 怪物は全部で三体。

 最初の一体はマキア、二体目はアイネス、そして三匹目はルキアを纏った僕とアイネスが倒した。


 その三体の内の二体は、ファンタジー世界ならばリザードマンとかいう種族になるのだろうけど……。

 ここは地球だからね、レプテリアンとかいう宇宙人に分類されるらしいよ。

 僕はそんなのが地球に来ていた事すら知らなかったけどね。

 何故か優凛タンは地球に来てる宇宙人に詳しかったんだ。

 本当なのかどうかは知らないけどね。


 まあ、それはさて置き、問題はマキアが倒したレプテリアン……なんと半分人間の姿をしていたんだよね。

 身体には鱗があったけど、顔はほぼ人間。

 しかも、その顔には見覚えがあったんだ。


 実はね、僕が住んでいる町の町長さんとそっくりだったんだよ。

 しかも、アイネスの調べでは、あの地下空間と繋がっていた土地建物の所有者も町長さんだったんだ。

 そして更に、そこには町長夫婦と一人息子の三人で住んでいた、という事なんだ。


 何だか嫌な予感がするよね?

 だってさ、優凛タンによれば、レプテリアンってトランスフォームするらしいんだよ。

 となると、残りの二体も……。


 それに、この町以外にも結構居るかもしれない……よね?

 人間に成りすまして、何食わぬ顔で普通に生活しているかもしれないよね?


 僕はね、この国を愛し平和的に暮らしてくれるのなら、外国人でも宇宙人でも大歓迎って思っているんだ。

 でもね、違う価値観を強引に押し付けてきたり、殺意剥き出しで襲い掛かって来るような奴等とはとても共存できそうにないよ。

 それと、正体を隠した成りすましなんてのはもう論外……そういうバカチンにはね、何時か天罰が下ると思うんだ!


 まあ、そんなこんなで、一連の調査が一段落し、僕専用の部屋に入ると、ふわふわソファーに腰を下ろした。


 久しぶりに来てみたら、すっごく綺麗に仕上がっていた。

 もう此処が洞窟とは微塵も思えないよ。

 必要なものも大体揃っているみたいだ。


 多分ソファーとかテーブルとかその他諸々を作ってくれたのはドワーフ達だろうと思うけど……。

 でも、デザインしたのはきっとアイネスだろうね。

 何となくそんな氣がしたんだ。

 個性って結構出るでしょ?


 アイネスのセンスは僕と近いみたいで、ホント居心地が良いんだ。

 彼女に任せて大正解だったよ。


「むふふふ……完璧だ…………今後は、切り株山の地下空間をセイクリッドネストと呼ぶとしよう!」


 ああ~、もりもりに盛り上がるぅぅぅ!


 類稀なネーミングセンスだよね?

 自画自賛せずにはいられないよ!


「……さてと、漸く一人になれた事だし……」


 一時間程休む、とアイネスには伝えてあるんだ。


 別に家に帰ってもよかったんだけれど……。

 時間的にお姉ちゃんが帰って来る頃合いなんだよね。


 兎に角、誰にも邪魔をされずに済む確率が最も高い場所……。

 そんな場所を厳選してみたんだ。


「では――――――へ~ん身っ!」


 夢のような真実を知ってしまったのはあのトンカツ屋だ。

 エイリアスを纏えば、本人のような姿形になれるって……。


 偶然にせよ、意図的にせよ、そして真実を知らなかったにせよ……。

 愚かにも僕は、創造したエイリアス……その全てをイグジスト化させてしまった。


 あ、プレイアのを除いてね。

 あれはちょっと特殊だからね。


 けど、ルキアだけは僕の中に戻って来てくれた。

 きっと「ボクの全てを見てっ♡」っていう彼女からのメッセージだよね?

 少なくとも僕はそう受け取ったよ。

 

 今度こそは、君の全てをじっくりと見てあげるからねっ!


「むふふふ……」


 ルキアはボーイッシュな女の子。

 年齢はアイネスと同じ位……要するに、僕と大体同じ位の年の頃なんだ。


 見た目は痩せているけど、結構胸はあるタイプ……。


「あれ? ……この感じ、ボクって寄せて上げている……よね?」


 でもね、ガッカリしたりはしないよ。

 だって、そこそこも好みだからね。


 あの小説……【夜明けのストラーダ】の設定では、ルキアは王族の血を引く高貴なエルフって事になっていた。

 その辺の背景がちらりと垣間見えるのが装着しているビキニアーマー……青地に金の色使いがその証拠らしいんだ。


 個人的には、上から羽織っているベストみたいのは嫌いじゃないけど、短パンを穿いているのはちょっと減点かな。

 姉のマキアみたいなヒラヒラスカートも捨てがたいけど、アイネスのようなザ・パンツ的なのがやっぱりビキニアーマーの王道だよね。


「うーん……現時点では、アイネス姉がベストドレッサーかも!」


 ところで、本当の年齢はどっちが上なのかな?


 そうこうしている間にも、刻一刻と時間は過ぎてゆく……。

 あんまりのんびりしていると、目標って達成できないよね。


 扉を開け、脱衣所に入る。


「まずは鏡……ぐふふ……その後は、お風呂で手洗い手洗い、とっ!」


 上から羽織っていたベストを脱いだ。

 次に、ナイフやらなんやらの装備を片っ端から外して……。

 そして、いよいよ……。


「ん? これどうやって外す?」


 さすがはビキニアーマーだよ。

 簡単には外せないみたいだ。


 すると、ベルが鳴った。

 呼び鈴まで設置されていたんだね。


「はいはーい!」


「――ル、ルキアっ!」


 部屋の扉を開けたら、いきなりマキアが抱き着いて来た。


 ……そうだよね。

 僕……じゃなくて、ルキア死んじゃったからね。

 マキアにしてみれば、こうして抱き合える事自体が奇跡だよね。


 因みに、同い年位の女子に抱き着かれたのは生まれて初めてさ。

 だから僕にとっても、奇跡のような出来事だよ。


 この調子で更なる高みに挑戦してみよっと!


「マキア姉、どうしたの?」


「あなたを生き返らせてもらおうと、こうしてお願いに来たのだけれど……その必要はなかったみたいですね。さすがはわたくし達の創造主ステファン様ですわ!」


「えっへん!」


「え?」


 ――あ、やべっ!


 上手く誤魔化さないとね。


「そ、そ、そうだよね……ス、ステファン様バンザーイ……あははは」


「……生き返ったばかりで氣が動転しているのかしら?」


 動転はしていないけど、ちょっと舞い上がっているかもね。

 だって、この挑戦が上手く行けば一氣に二倍だよ?


「あははは……そ、そんな事より、折角だから一緒にお風呂に入らない?」


「まあ! それは名案ですわね。では、大浴場に――」


「そ、そんなものまであるの?」


「あら? 記憶も曖昧なのかしら?」


 ――げっ!


 またやっちゃったよ。


 さてはアイネスのやつ、情報を隠していやがったな。

 そして、今頃は大浴場で一人優雅にのんびりと……。

 きっと多分そういう魂胆だよね。


 ならば、ここは回避っと!


「えーと……あはは……そんなものより、このお部屋のお風呂で一緒に入りたいなって……そ、そう言いたかったの」


「うふふ……そうだったのですか。ですが、それではステファン様にご迷惑を――」


「大丈夫大丈夫、ステファン様はアイネス姉に話があるからって、さっき出て行った……よ」


「まあ、そうでしたか。では、久しぶりに一緒に入りましょう!」


 ――よしっ、これでおっぱいが二倍っ!!




~五分後。


 二人でソファーに座りながら紅茶を飲んでいる。

 急ぎ過ぎるとかえって不自然だよね。


 かと言って、時間は無限ではないからね。

 あまりのんびりしていると……。

 アイネスは時間に正確なんだよね


「マキア姉、そろそろ入ろうよ」


「そうですわね」


 マキアがソファーから立ち上がった。


 それだけの動作でしかないのに何ともエレガント……。

 エルフのお姫様ってだけはあるよね。


 でも僕は、クッションを利用して、跳ねるように立ち上がる。


「もう、ルキアったら……うふふ……こうして注意できるのもステファン様のお陰……あの御方には幾ら感謝しても感謝しきれませんわ」


「あははは……だね! ボクもマキア姉には感謝しているんだ」


「あら、どうしてかしら?」


「ぐふふふ……だって、もう直ぐ二倍二倍♪」


「……意味は良く分からないけれど、ルキアのウキウキした氣持ちは伝わってきましたわ」


「うふふ……じゃあ、マキア姉……この中に、ど・う・ぞ!」

 

 脱衣所の扉を開けた。

 すると、マキアは軽く笑みを浮かべ、その中に入っていった。


 またベルが鳴りやがった。

 誰だ、呼び鈴なんぞを設置したのは?


 タイミングが悪いと些細な出来事でも無性にイラッと来るよね。


 でも、これを上手く乗り越えれば、おっぱいは二倍二倍♪


「はいはーい!」


「あれ、ルキア様?」


 訪問者はドワーフだった。

 確か英単語――Dwarf――の”D”と数字の1~5をくっ付けて命名したはず……。


「えーと……ディーワンさん……だよね? 何か用?」


「はい、そうでやんす。アイネス様からステファン様宛のお荷物をお預かりしておりまして……」


「そうなんだ。じゃあ、ボクからステファン様に渡しておくね。ところで、アイネス姉は今何しているの?」


「優凛様と二人で大浴場に入って行ったでやんす」


 ――ラッキー!


 ならば、アイネスに邪魔される心配はないね。

 それに優凛タンにも……。


 全てが良い方向に進んでいるね。


「ふーん……じゃあ、あっちも二倍二倍だね」


「はあ?」


「あ、こっちの話。じゃあ、ご苦労様」


「はいでやんす」


 ああ、いつの日かあの二人とも一緒に入りたいっ!


 そんな事を考えつつ、脱衣所に戻った。

 すると、タイミング良くマキアの腰からスカートがヒラヒラと落ちてゆく……。


「――うほっ!」


「何をそんなに驚いているのですか? それより、用は済みました?」


「あ、うん……ボク宛の荷物を受け取ったんだ。アイネス姉からのね」


「その箱を? アイネスから?」


 マキアの目の前で箱を開けた。

 すると、なめこの大株が入っていた。

 それと紙切れが一枚……伝言かな?


 地下空間――セイクリッドネスト――での菌床栽培に成功したって事は耳にしていたけれどね。

 いやー、アイネスって氣が利くね!

 頼んでもいないのにさ!


 にしても、やっぱりブラジャーが外せない……。

 あ、ビキニアーマーだから胸当てって言うべきかな?


「あははは……凄く美味しそう! ところで、マキア姉、これどうすればいいんだっけ? ボク外し方忘れちゃった……あははは」


「……それはわたくしが収穫し、その箱に詰め、そしてアイネスに渡したものですわ。ステファン様の大好物と耳にしまして……」


「そうみたいね、この紙にもそう書いてあるし……それで、胸当てって――」


「ですが、今は毒を注入しておけばよかったと心の底から後悔しておりますわっ!!」


「……え?」


「ステファン様、わたくし――――成りすましは絶対に許しませんわっ!!」


 ――バ、バレ……てる?


 僕、何処でミスった?




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