外伝9、山奥の極楽旅館、敏腕女将とちっちゃな若女将!
ーー午後二時、お昼寝タイム(13:00〜15:00)で『湯そば庵』が静まり返っている間の、お隣の二階建ての木造旅館。
そこは、湯治や出陣の準備で滞在している武田信玄、織田信長、徳川家康、そして本多忠勝や羽柴秀吉といった名だたる名将たちで、連日満室の大盛況となっていた。
お艶「(ピカピカに磨かれた畳の廊下を、優雅に着物の裾を揺らしながら)さあ、鈴。松千代がお昼寝をしている今のうちに、お客様たちの『お部屋の衣替え(アメニティの補充)』を済ませてしまいましょうね」
鈴「はーい、お母様! 鈴、ちっちゃいハブラシ(子供用)と、おじさんたちのハブラシ(ミント味)、いっぱいカゴに詰めたよ!」
お初「お方様! お館様(信玄公)のお部屋の『ふかふかの雲の寝床(羽毛布団)』の敷き直し、完了いたしました!」
お艶「ふふ、よくやったわ、お初。さあ、次は信長様のお部屋へ行くわよ。あの方はこだわりが強いから、現代のハブラシが一本でも足りないと『折檻じゃ!』と騒ぎ出しますからねぇ」
ーー信長のお部屋の前。ガラガラと引き戸を開けると、浴衣姿の信長が頭を抱えていた。
織田信長「お、お艶殿! 待っておったぞ! 儂の部屋の、あの触ると気絶するほど気持ちよい布団の四隅が、ほんの少しズレておるのだ! これでは今夜、ぐっすり眠れぬではないか!」
お艶「(にっこりと完璧な女将の微笑みを浮かべ)あらあら、信長様。大変失礼いたしましたわ。……鈴、信長様のお布団を、あの『ちえの業(シーツのピシッと張り直し)』できれいキレイにして差し上げて?」
鈴「お安い御用だよ、信長おじさん! ーーえいっ、えいっ! (ちっちゃな手足で、ベッドのシーツを現代のホテルのようにピシッと引っ張って整える)」
織田信長「(一瞬でシーツが真っ直ぐになったのを見て、目を丸くして震えながら)お、おお……! 皺一つないこの寝床、天下布武の陣形よりも見事ではないか! 鈴、お主、ただの幼子ではないな、天才の若女将じゃ!」
鈴「えへへ、ありがと! 信長おじさん、お礼に『宿泊代の十文』、ここにぽいしてねぇ!」
織田信長「おうともさ! 鈴の頑張りへのチップじゃ、二十文受け取るが良い! (現ナマの銅銭をカゴへじゃらじゃらと入れる)」
ーー続いて、お隣の徳川家康と本多忠勝のお部屋。
徳川家康「(お座敷風呂上がりでツヤツヤの顔で)お艶様、鈴ちゃん! 拙者の部屋のハブラシの、いちご味の練り物がもう無くなっちまったべ! 早くお代わりをくれべぇ!」
本多忠勝「(黒い防弾チョッキを着たまま平伏して)私も、湯船に浮かべる黄色い小鳥が、一匹きゅ〜♪ と鳴かなくなってしまいました! 急ぎ新しきアヒルちゃんを!」
お艶「ふふ、徳川の皆様、ご安心くださいな。鈴、おじ様たちにアメニティをどうぞ」
鈴「はい、家康おじさんにはいちごのねりもの! 忠勝おじさんには、すっごくよく鳴くアヒルちゃんだよ! はい、きゅ〜〜〜っ♪」
本多忠勝「(新しいアヒルを受け取り、可愛すぎて涙をハラハラ流し、お母様に銀貨を手渡しながら)おおお……よく鳴くアヒルちゃん! これで今夜のサウナも安泰じゃ! お艶殿、宿泊費と代行手数料、ここに置いておきまするーーーっ!」
お艶「(ずっしりとした銀貨を優雅に受け取り、ソロバンをパチパチパチッと弾いて)まぁ、本多様、毎度ありがとうございますわ。これで遠藤家の今月の儲けが、また一段と跳ね上がりましたわね、ふふふ(完璧な敏腕女将の微笑み)」
ーー午後三時。松千代がお昼寝からむにゃむにゃと起きてきて、お蕎麦屋さんの小窓を開けた。
松千代「ふわぁ……よくねたぁ。あっ、おかあたん、鈴ねぇね! お家(旅館)のお掃除、がんばってくれて、ありがとぉなのぉ! まつちよから、ごほうびだよぉ! ぽちっとなー!」
液晶パネル:【500PT消費:現代の高級パティスリーの『贅沢イチゴパフェ(特大サイズ)』を女子組の人数分取り寄せました】
ーーピピッ♪ と音がして、お母様、鈴、お初の前に、きらきら輝く大きなガラスの器に盛られた、生クリームとイチゴがたっぷりの『現代の特大パフェ』が出現する。
鈴「きゃあああーーーっ!? なにこれ、すっごいきらきらしてて可愛い! もぐもぐ……ふにゃあぁ、甘くて美味しーーーい!」
お初「(スプーンでひとすくいして、あむっ)……っ!? ーー(美味しすぎて目がハートになる)お方様、お布団をたくさん運んでヘトヘトだった体に、この冷たくて甘いクリームが染み渡りますぅ!」
お艶「ふふ、本当ねぇ。松千代、本当にありがとう。外の男たちが生ビールを飲んで威張っている間に、私たちだけでこの世界一のおやつを独占できるなんて、旅館の女将をやっていて本当に良かったですわね」
松千代「あはは、おかあたん、鈴ねぇね、おはちゅも、お口に白い生クリームがいっぱいついているよぉ! にこにこ仲良しで、おいちいねぇ!」
テラス席では、信長や家康たちが「若女将の敷いた布団は最高だべ!」と大酒を飲んでワイワイ盛り上がっている。
その賑やかな声をBGMに、現代の究極のパフェをスプーンで突っつき合う遠藤家の女子たちは、お互いの口の周りを白くして、いつまでもいつまでも、楽しそうに笑い合うのでした。
(外伝・旅館を切り盛りする女将回・了)




