外伝8、遠藤家のにぃに達、宝の畑を死守せよ!
ーーある日の夜九時、お蕎麦屋さんが完全閉店した直後の遠藤領の野菜畑。
大人たちがテラス席で生ビールを飲んで出来上がっている裏で、深い山道の闇から、抜き足差し足で近づいてくる怪しげな軍勢がいた。
近隣の強欲な地侍「へへへ……おい、者ども、静かにしろ。遠藤領の夏野菜(トマト、キュウリ)は、大阪や京の市場で金貨や銀貨に変わる『南蛮の宝玉』だべ。今のうちに畑の野菜を箱ごとすべて略奪し、我が領地のものにするのだべ!」
野盗「へっ、お安い御用だ。3歳の小童や泥酔した大人どもなど、俺たちの敵じゃ……」
頼武「(闇の中から、漆黒の防弾チョッキを着込み、透明な防護盾をガチッと構えて立ちはだかり)そこまでだ、不届き者ども! 松千代が一生懸命お水をあげて育てたトマト畑に、一歩たりとも、指一本触れさせんぞ!」
頼次「(頼武の背後から、同じく黒いチョッキをキリッと着こなして冷静に現れ)兄上、敵の数は三十四。狭い一本道に密集しています。松千代がくれたこの防具があれば、僕たちの知略と武力で一網打尽にできますね」
強欲な地侍「な、なんだあいつらは!? 怪しげな黒い羽織を着て、南蛮のガラスの壁を構えておるぞ! ーーおのれ、弓矢を放て、放ちまくれーーーっ!」
ーービュン! ビュビュビュン!! と、地侍が放った無数の矢が二人に降り注ぐ。
しかし……。
頼武「カン! カーン! (透明な盾で矢をすべて弾き飛ばし、不敵に笑う)」
頼次「(盾の透明な視界から敵の動揺を見抜き、冷静に指示を出す)兄上、今です! 敵が矢を番え直す(装填)の隙を突いて、右の崖の上から村の若い衆(作兵衛たち)に、丸太を転がせます! ーー作兵衛、やれ!」
作兵衛「(崖の上から)がってんだべぇーーーっ! ーー(ゴロゴロ、ドカーン!)」
強欲な地侍「ひ、ひえぇぇっ!? 崖から丸太が降ってきたべぇ! 陣形がバラバラだべ!」
頼次「仕上げです。兄上、正面から機動隊の『壁』で一気に押し潰してください!」
頼武「おうよ! お風呂上がりの無敵の体力、思い知るが良い! 遠藤家の長男・頼武、参る! 突撃ーーーっ!」
ーー頼武、透明な防護盾を身体の前にガチッと構え、時速五十キロの肉弾戦車のように山道を爆走!
ーードガッ! バキッ! ドゴーーーーン!!!
強欲な地侍「ひ、ひゃあああ! 盾で撥ね飛ばされたべぇ! 化け者だべぇーーーっ!」
頼武の圧倒的な突進力と、頼次の完璧な罠の指揮により、三十人以上の襲撃大軍勢は、わずか数分の間に、かすり傷一つ負わない兄弟コンビの前に完膚なきまでに叩き潰され、縄でぐるぐる巻きにさて生け捕りにされていった。
ーー翌日、午後五時。お蕎麦屋さんのカウンター席。
松千代「よりたけにぃい、よりつぐにぃに! 昨晩、お外のわるいひとポイして、トマトさん守ってくれて、ありがとぉなのぉ! まつちよ、すっごく嬉しいから、にぃに達に『ごほうび』だよぉ! ぽちっとなー!」
液晶パネル:【1,000PT消費:現代の男気溢れる『特大ガッツリ・チャーシュー麺(蕎麦アレンジ)を2丁取り寄せました】
ーーピピッ♪ と音がして、頼武と頼次の前に、どんぶりからはみ出るほどの分厚い豚肉が山盛りになった、ボリューム満点の熱々のお蕎麦が出現する。
頼武「う、うおおおっ!? なんだこの肉の塊は! いただきます……ガブリ……もぐもぐ。……っ!? ーー(美味すぎて筋肉を震わせながら大号泣)」
頼次「(同じくハフハフとすすり、目を輝かせて大号泣)う、美味い……! 昨晩の戦いの疲れが一瞬で吹き飛ぶほど、スープが濃厚で、この柔らかいお肉の旨味が五臓六腑に染み渡ります……っ!」
頼重「(横から羨ましそうに覗き込みながら)ぬぬぬ、頼武、頼次、儂の生ビールを一口やるから、その肉を一枚おくれ……」
頼武「父上、これは松千代が俺たちの頑張りをねぎらって出してくれた特別なご褒美です! 一枚たりとも渡せませぬ! ずずずっ!」
松千代「あはは、にぃに達、お口のまわりが油でツヤツヤで、かっこいいねぇ! いっぱいたべてねぇ!」
お初「ふふふ、さすが遠藤家の若様たちですね、松千代様! 宝の畑も、これで安心ですね!」
松千代の知らないところで起きた畑の防衛戦は、武力満点の長男・頼武と、知略満点の次男・頼次の「自慢のお兄ちゃんコンビ」の圧倒的な活躍により、遠藤領の豊かな実りが完璧に守り抜かれたのでした。
(外伝・兄たちの大活躍回・了)




