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戦国ちびっこ店長  作者: 東のマ王


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外伝10、深夜の秘密の帳簿と、大人たちのにんまり。

ーー夜九時、松千代が20時の運行スケジュール(完全消灯)通り、お座敷風呂に入ってぐっすり夢の中に入ったあとの居間。


外のテラス席の明かりも消え、静まり返った部屋の中で、お父さん(頼重)、お母様(お艶)、そしてじい(作左衛門)の3人が、一本の蝋燭を囲んでひっそりと集まっていた。


頼重「(声を潜めながら、冷え冷えの生ビールのジョッキを大事そうに握りしめて)……おい、作左衛門。松千代はもうスースーと可愛い寝息を立てておるな? お艶、今月の我が遠藤家の『帳簿(売上)』のまとまりはいかがじゃ?」


作左衛門「(顔を真っ赤にして興奮で震えながら、厚みのある大帳面を机にドンと広げ)……殿、お方様。ここに、お館様(信玄公)の本隊、および信長殿や家康殿の軍勢から回収した宿泊費、お使い手数料、そして大阪の港へ夏野菜を売ったすべての現ナマ(純銀・純銀)の数字をまとめましたぞ……!」


お艶「ふふふ……作左衛門じらすのはおやめなさい。さあ、遠藤家の儲けはいくらになりましたの?」


作左衛門「ハッ! ーー(帳簿の最後のページを開き、ソロバンをパチパチパチッと一回だけ小気味よく鳴らして)ーー今月の当家の純黒字、なんと『五万貫文(現在の価値で数十億円)』を超えておりまするーーーっ!!」


頼重・お艶「「…………ッッ!!!! (一瞬で息を呑んで硬直する)」」


頼重「ご、五万貫だと……!? 我が遠藤家は、つい数ヶ月前まで、毎月数文のお小遣いにも困って『今夜の食券が買えんべぇ』と泥水をすすっていた、南信濃で一番貧乏領主だぞ!?」


作左衛門「左様でござる! それが今や、お艶様の『牛乳やお団子の倍額転売』に加え、信長や家康を船の使い走りにした夏野菜の港湾貿易により、日本中の金貨や銀貨が、この山奥の金蔵へ津波のように押し寄せておるのです! 遠藤家はもう、織田の全盛期をも遥かに凌ぐ、日ノ本一の超絶大富豪にのし上がりましたぞ!」


お艶「(帳簿のピカピカに書かれた黒字の数字を愛おしそうに撫でながら、にんまり)と最高にたくましい笑顔を浮かべ)……ふふ、ふふふふふ……。私の目に狂いはありませんでしたわね。あの信長様や家康様が、毎日お風呂上がりのプリンと生ビールのために、喜んで汗を流して金を稼いでくるのですもの。これほど効率の良い商いはありませんわ」


頼重「(帳簿を見つめ、生ビールをグイッと煽って、にんまりと悪い顔で笑いながら)がははは! お艶、お主は本当に恐ろしい妻じゃ! 天下の魔王(信長)をトマト売りの小作人のようにコキ使って、国家レベルの現ナマを毟り取るとはな! ーー(プハァァァーーッ!)」


作左衛門「(お猪口をキュッとりやながら、にんまりと目を細めて)殿、お方様。これで次の冬の備えはもちろん、村の若い衆(作兵衛)へのボーナス(お給金)も、周辺の大名の何倍もの額をダイレクトに現金で払えますぞ。領民たちの忠誠心は、すでに天を衝くほどカンストしておりまする!」


お艶「ええ。みんなで汗を流して豊かになって、我が家も潤う。これほど素晴らしいことはありませんわねぇ。松千代が『みんなでニコニコお蕎麦作ってるのが楽しいのぉ』と言ってくれたからこそ、私たちはこのお金で、この平和な隠れ里を絶対に誰にも手出しできない楽園にして守り抜くのですわ」


頼重「うむ! 天下統一などという面倒な戦は、甲府のお館様に全部丸投げじゃ! 儂らはこの山奥で、松千代の美味い蕎麦を食い、毎日生ビールを飲んで、にんまりと大金持ちのまま暮らそうではないか!」


大人3人「「「ひっひっひ……がはははは! (声を殺して、にんまりと悪い顔です笑い合う)」」」


深夜の静まり返った遠藤領。

押し入れの千両箱が重みでみしりと音を立てる中、大人たちは黒字の帳簿を前に、最高に幸せでたくまりし「にんまり」を浮かべ、明日もまたやってくるであろう大繁盛の朝に向けて、贅沢な夜更かしの盃を交わし続けるのでした。


(外伝・ひみつの黒字帳簿回・了)

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