外伝5、家康の八丁味噌と、ドロドロお味噌のちゅるちゅる。
ーーある日の夕方、お蕎麦屋さんのテラス席。
徳川家康「(大浴場から上がってサッパリし、大きな木箱を抱えてドヤ顔で座りながら)がははは! 松千代様! 見てくだされ、三河の我が城から、最高に熟成された自慢の『八丁味噌』を大量に運ばせてまいりましたべ!」
本多忠勝「(黒い防弾チョッキを着て横に控えながら)応よ! このお味噌、大豆の旨味がギッシリ詰まって、三河の武士の力の源にございまする!」
徳川家康「松千代様、あのお札の箱(券売機)のちえを使って、この味噌を美味いちゅるちゅる(蕎麦)に変えることはできぬべか? たまには三河の故郷の味も恋しいのだべぇ……(うるうるした目でおねだりする)」
松千代「おじさん、お味噌持ってきてくれて、ありがとぉなのぉ! うんとねぇ……あ! パネルの文字が変わったぁ! ぽちっとなー!」
液晶パネル:【3,000PT消費:家家の八丁味噌を自動補充し、新メニュー『特製・みそ煮込み蕎麦』を開放しました】
ピピッ♪ と軽快な音が響き、券売機の『かけ蕎麦』の斜め下に、新しく『みそ煮込み蕎麦八文』のボタンが眩しく点灯する。
徳川家康「おおっ! 地蔵尊(券売機)に新しいボタンが灯ったべ! 頼次殿、急ぎ拙者の分の食券を『ガチャガラ』だべ!」
ーー家康、お使い代を含めた現金を村の係に渡し、記念すべき最初の一枚を購入する。
松千代「お札ありがとぉなのぉ! ーーおはちゅ、土鍋ならべてぇ! ーーいくよぉ、ふんっ! (湯切り網をぎゅっと握る)」
徳川主従「(小窓から松千代の手元を見て、一斉に固まる)」
松千代「ちゃっ! えっしょ、ちゃっ!」
本多忠勝「(胸を押さえて身悶えしながら)う、うぬぬ……! 今日のお尻ふりふり湯切りも、心に沁みるほど可愛らしい……っ! (思わず手を合わせる)」
松千代「できたぁ! いえやすおじさん特製、みそ煮込みそばだよぉ! どろどろして、すっごく熱いから、ふーふー、してねぇ!」
ーー松千代の手から差し出されたのは、現代の『みそ煮込みうどん』の技術を応用した、熱々の土鍋。
蓋を開けた瞬間、ドロドロとした濃い茶色の黒味噌スープから、大豆の香ばしい濃厚な匂いと、お葱、鶏肉、そして隠し味の現代の旨味出汁の香りがテラス席全体にブワアアアッと広がった。
織田信長「(横の席から生ビールを片手に覗き込み、鼻をヒクヒクさせて)ぬ、ぬおおっ!? なんだこの暴力的なまでの濃厚な匂いは! 儂の嫌いな三河の味噌のはずだが、なぜか猛烈に美味そうじゃぞ……!」
徳川家康「では……いただきますだべ! ーー(土鍋から熱々のお蕎麦をハフハフとすする)ーーずずずっ、ずずっ。……ッッ!!!!? (一瞬で全身の動きがピタリと止まり、目から大粒の涙をポロポロと流す)」
本多忠勝「と、殿!? もしや自前の味噌で腹を下されましたか!」
徳川家康「(大号泣しながら土鍋を抱えて)ち、違う……! 美味い、美味すぎるぞおぉぉぉ!!! 儂の知る八丁味噌は、塩辛くてボソボソしておるが、松千代様の神の出汁と合わさることで、驚くほどまろやかで、奥深いコクが無限に広がっていくお汁に大進化しておる! このドロドロが太めの麺に絡みつき、お腹の底からじわ〜っと力が満ちてくるようだべぇ!」
織田信長「(我慢できず横から一口横取りしてすすり、目を見開いて震えながら)むおおおおおっ!? なんじゃこれは! 悔しい……! 悔しいが家康の味噌、松千代のちえと合わさることで天下無敵の馳走に化けておるわ! 儂の財布から八文をあの地蔵尊へぶち込め! 儂も今すぐこれを一杯食うぞ!」
信玄「がははは! 儂の『かれーなんばん」に並ぶ、新たなるドロドロ麺の傑作じゃな! ーー(ジョッキを掲げて)家康、これまた生ビールに合うではないか! 乾杯じゃ!」
徳川家康「応だべ! 乾杯だべぇ! ぷはぁーっ!」
松千代「あはは、おじさん、お髭のまわりに、茶色いおミソがいっぱいついているよぉ! にこにこ仲良しで、おいしいねぇ!」
三河の誇りである八丁味噌が、松千代の現代チートによって究極の『みそ煮込み蕎麦』へと進化を遂げた夜。
徳川家康はテラス席の真ん中でドヤ顔を見せながら、信長や信玄公、お父さんたちと一緒になって熱々の土鍋を囲み、初秋の夜風の中で幸せそうにビールを煽るのでした。
(外伝・八丁味噌蕎麦プロデュース回・了)




