外伝4、お昼寝のサイレント防衛戦と、最強のふたり。
ーー午後一時半、お昼の営業が終わり、松千代が調理場の横で「すー、すー……zzZ」と気持ちよさそうにお昼寝している、完全閉店中の『湯そば庵』。
お初が松千代の頭を優しく撫で、テラス席の引き戸をそっと閉めたその時、庵の斜め後ろの薮の中から、怪しげな足音が静かに近づいてきた。
織田の落武者「(小声で)おい。聞いたか。この山奥の物置の裏に、美味い酒と食い物を無限に吐き出す『鉄の宝箱(券売機)』があるらしい。領主どもは畑仕事で不在、3歳の小童が寝ている今こそ、あの箱を強奪して一攫千金だべ!」
野盗「へっ、楽な仕事だ。邪魔な小娘(お初)ごと、力づくで……」
ーーその時、野盗の頭上、杉の木の枝から、漆黒の装束に身を包んだ千代女が音もなく舞い降りた。
千代女「(いつもの冷徹な眼光でクナイを構え、声を潜めて)……そこまでだ。神童・松千代様のお昼寝の時間を汚す不届き者め。我がクナイの錆にしてくれる」
本多忠勝「(木陰から、黒い防弾チョッキに身を包み、愛槍・蜻蛉切を構えて音もなく現れ、低い声で)おいおい千代女どの、儂を忘れてもらっては困るな。松千代様から魔法のチョッキを貰った恩、この本多平八郎、命に代えても果たす所存!」
野盗「ひっ!? なんだあいつらは! ーーおのれ、出会え、者ども!(刀を抜い斬りかかる)」
千代女「(一瞬で間合いを詰め、野盗の顎に鋭い後ろ蹴りを叩き込む)ーーせいッ!」
ーードカッ! (野盗、声を上げる暇もなく白目を剥いて気絶する)
本多忠勝「(残りのゴロツキの刀を透明な防御盾で『カン!』と受け止め、槍の柄で鳩尾を鋭く突く)ーーふんッ!」
ーーバキッ! (ゴロツキ、うめき声すら上げられず床板に沈み込む)
お初が窓から恐る恐るのぞき込む中、戦国最強のくのいちと鬼神・本多忠勝の圧倒的な連携により、十数人の野盗の軍勢は、わずか数十秒の間に、誰一人として悲鳴を上げることすら許されずに全員気絶させられ、山道の彼方へと文字通り「ポイ(排除)」されていった。
千代女「(クナイを懐に収め、ふぅと息を吐きながら)……終わったな、本多どの。松千代様を起こさずに済んだ」
本多忠勝「うむ。さすがは武田の千代女どの、見事な身のこなしであった。よし、我が主君(家康公)に頼んで、この不届き者どもは捕虜(畑仕事の手伝い)として三河へ連行させよう」
松千代「……う〜ん……むにゃむにゃ……ちよめおねぇちゃん、がんばれぇ……zzZ」
調理場の中から、松千代が寝返りを打ちながら可愛い寝言を呟く。
千代女「(一瞬でキリッとした顔がデレデレの笑顔になり、窓に向かって両手を合わせて拝みながら)おおお……! 松千代様が夢の中で私の名前を……! なんという尊さじゃ……!」
本多忠勝「(同じくデレデレになり、胸のチョッキを抑えて涙を流しながら)儂の防衛の頑張りも、きっと夢で見てくださっているはず……! よし、千代女どの。防衛祝いに、お初殿にお願いして、あの『おろなみんCとシュークリーム』を出してもらおうではないか!」
千代女「応よ! ミストサウナで一緒に乾杯じゃ!」
お初「ふふふ。千代女お姉様も、本多様も、松千代様のことになると本当にそっくりですね! はい、お疲れ様の冷たいオロナ◯ンCです!」
松千代の眠る平和な午後。
その絶対的なお昼寝の時間は、お蕎麦と現代の極楽に魂を救われた、最強の影の守護者コンビの圧倒的なサイレント武力によって、今日も何一つ壊されることなく美しく守り抜かれるのでした。
(外伝・お留守番防衛戦回・了)




