外伝3、女子会の夜更かしと、ひみつのココア牛乳。
ーー夜九時、お蕎麦屋さんの内湯エリア。
外のテラス席からは、信玄や信長、家康たちが「プハァーッ! 枝豆もう一皿!」と生ビールを片手に大騒ぎしている賑やかな声が響いてくる。
そんな男たちの喧騒をよそに、3畳のしゅわしゅわジャグジー風呂では、遠藤家の女子組が贅沢な時間を過ごしていた。
お艶「ふふ、今夜も外の殿方は随分と賑やかねぇ。お初、千代女ちゃん、湯加減はいかが?」
千代女「(頭に手ぬぐいを乗せ、ジャグジーの泡に体を揉まれながら顔を真っ赤にして)ははっ……奥様! おなごの身である私が、こうして奥様や鈴様と一つの湯に浸かるなど、未だに夢のようでございます……。しかしこの『じゃぐじー』の泡、一日の隠密任務の疲れが吸い込まれるように消えていきますな……っ!」
お初「ふふ、千代女お姉様、堅苦しい挨拶は抜きですよ! ここは松千代様が作った女子だけの秘密の空間なのですから!」
鈴「そうだよー! 千代女ちゃん、これ持って一緒に遊ぼう! ーー(黄色いアヒルちゃんを差し出す)」
千代女「む? これは噂の……。きゅ、きゅ〜っ♪ (お腹を握って鳴かせてしまい、きりっとした素顔をフニャケさせる)ーーうおっ、やはり何度鳴かせても愛らしい……っ!」
お艶「あらあら、千代女ちゃんもすっかりアヒルちゃんの虜ねぇ。さあ、みんな、お湯か上がって脱衣所へ行きましょう。松千代が寝る前に、私たちのためだけに『ひみつのごほうび』をパネルで用意してくれたのよ」
ーー女子4人、お風呂から上がってピカピカの肌で脱衣所へ。
そこには、松千代が寝る前にポイントで出してくれた、ガラスのトックリに入ってキンキンに冷えた、濃厚な茶色い飲み物とガラスのコップがポワンと置かれていた。
液晶パネル:【500PT消費:女子会専用アメニティ『キンキンに冷えた贅沢ココア牛乳(大容量)を取り寄せました】
鈴「わぁぁい! 松千代が言ってた『ココアぎゅうにゅう』だ! お初ちゃん、早く注いで!」
お初「はい、鈴様! ーー(コップにとろ〜りとした濃厚なココア牛乳を注ぐ)」
お艶「千代女ちゃんも、どうぞ。外の男たちには内緒のご馳走ですわよ」
千代女「ははっ、恐れ多くも頂戴いたします……ゴク、ゴク、ゴク……。……っ!?
(一瞬で美味しさに目を見開く)」
お初「ふふふ、千代女お姉様、おめめがまた凄く大きくなっていますよ!」
千代女「(コップを両手でガタガタ震わせ、あまりの濃厚な甘みとコクに大号泣して平伏しながら)な、ななな、なんじゃこの美味しさはーーーっ!!! 以前いただいた白い牛乳も美味しかったですが、これは南蛮の『ちょこれーと』という秘薬の甘みと乳のまろやかさが合わさり、冷たさ、甘さ、濃厚さ、すべてが天上の味にございまする……っ!」
鈴「もぐもぐ(お口のまわりを茶色くしながら)。でしょー! 鈴、これだーいすき!」
お艶「ふふ、外の殿方は生ビールを必死に買い占めておりますが、このココア牛乳の極楽には絶対に気づいていませんわねぇ。これぞ女子だけの夜更かしの特権ですわ」
お初「はいお方様! 毎日お給仕をがんばって、本当によかったです……! 染み渡ります……!」
千代女「(手ぬぐいで口を拭きながら、しみじみと感動し)お艶様、松千代様……。私は戦国乱世の中、ずっと闇に隠れて生きるだけのくのいちでしたが、このような温かいお湯に浸かり、おなご同士で甘きお乳を飲んで笑い合える日が来るなんて、思ってもみませんでした……。私、本当にこの遠藤領の常連になれて幸せにございます……っ!」
お艶「ふふ、千代女ちゃん。これからはもう、一人で寂しく天井に張り付いていなくていいのよ。毎日お風呂に入って、お肌をピカピカにして、一緒に美味しいものを食べましょうね」
千代女「ははーっ! どこまでもお供いたしまするーーーっ!」
外のテラス席からは、相変わらず「信長、お主のトマトは美味かったべ! ビールお代わり!」と大人たちがワイワイと盛り上がっている声が聞こえてくる。
その賑やかさを遠くに聞きながら、白い湯上がりの脱衣所の中で、女子4人はココア牛乳のコップを傾け、お口のまわりを茶色くして「あはは!」と、いつまでもいつまでも、優しくてユルい秘密の夜更かしを楽しむのでした。
(外伝・ココアミルク女子会回・了)




