44話、機動部隊の凱旋と、黄金の生ビール!
ーー三方ヶ原の戦いから数日後の夕方、お蕎麦屋さんのテラス席。
頼重「がははは! 松千代、お艶! 戻ったぞ! お館様の本隊とともに、徳川・織田の軍勢を完膚なきまでに叩き潰してやったわ!」
頼武「(黒い防弾チョッキを着たまま、透明な防護盾をドンと置いて)松千代のくれた魔法の盾のおかげで、敵の鉄砲の弾が面白いくらいカンカン弾かれてな! 我ら遠藤家の軍勢、誰一人として怪我すら負わずに大勝利じゃ!」
権三「いやぁ、戦場でもチョッキが軽くて風呂上がりのように体が動きましたぞ! お館様(信玄公)も『遠藤の黒き盾の者たち、化け物かッ!』と大絶賛でございました!」
お艶「まぁまぁ、皆様お怪我なくご無事でなによりですわ。松千代、お父様たちがこんなに沢山の現ナマ(敵から奪った軍資金や恩賞)を持って帰ってきてくれましたよ」
松千代「おとうたん、よりたけにぃに、ごんぞう! おかえりなさーいなのぉ! 誰も痛い痛いしないで、よかったぁ! まつちよ、すっごく嬉しいから、ポイントで、神様の『しゅわしゅわの苦いお水』と『みどりの豆(枝豆)』を大開放しちゃうのぉ! ぽちっとなー!」
液晶パネル:【50,000PT消費:冷え冷えお酒最高峰『現代の生ビール(ビールサーバー付き)』を開放しました】
液晶パネル:【1,000PT消費:お酒のお供『塩茹で枝豆(山盛り)』を開放しました】
ーーピピッ! と今までで一番神々しい音が響き、調理場にピカピカに光る金属製の『ビールサーバー』が出現!
松千代がハンドルをぐいっと引くと、ガラスのジョッキ(大コップ)の中に、黄金色の液体と、まるで雪のように真っ白でクリーミーな泡がトトトッと注がれていく。さらにテーブルの上には、ポワンと湯気を立てる『塩茹での枝豆』が山盛りになって出現した。
信玄「(甲府への帰路の途中で、お祝いのためにテラス席へ滑り込んできて)がはは! 儂も混ぜい! おのれ松千代、またしても南蛮地蔵尊(券売機)に見たこともないボタン(生ビール六文)が増えておるな! 頼武、急ぎ儂の分の食券を『ガチャガラ』と買い占めよ!」
ーー大人たちが競うように小銭をお使い係に渡し、生ビールと枝豆の食券を次々と購入する。
松千代「できたぁ! きんきんに冷えた『なまびーる』と『えだまめ』だよぉ! ジョッキがすっごく冷たいから、きゅっ、て持ってねぇ!」
ーー松千代とお初の手によって、大人たちの前に、キンキンに凍りついたジョッキになみなみと注がれた生ビールが配られる。
頼重「では……遠藤家の勝利を祝して、乾杯ーーーっ!! ーー(ジョッキを傾け、黄金の液体をゴク、ゴク、ゴクと豪快に煽る)」
信玄「(同じく巨漢を揺らし、ゴク、ゴク、ゴク……)」
大人たち「(プハァァァァァーーーーッ!!!! と、テラス席全体に響き渡る過去最大の咆哮を上げる)」
信玄「(ジョッキをテーブルにドンと叩きつけ、美味しさのあまり両目から大粒の涙を流しながら大号泣して)な、ななな、なんじゃこの喉越しはーーーっ!!! 以前の冷たい酒(日本酒)も美味かったが、これは麦の香ばしさと、このクリーミーな白い泡が喉をシュワシュワ駆け抜け、五臓六腑が歓喜の悲鳴を上げておるわ!」
頼重「(骨抜きになって長椅子に背中を預けながら)堪りませぬな、お館様! ーーおや、松千代、この緑の皮に入った豆(枝豆)は、指で端っこをぷちっと押すと……おっ、中から豆が飛び出てきたぞ」
権三「(豆を口の中に放り込み、ポリポリと噛み締めながら)むおおおっ!? この絶妙な塩加減と豆の旨味……! これを齧ったあとに、この黄金の水(生ビール)を流し込むと……美味さが、美味さが無限にループして、無限にお酒が飲めてしまうーーーっ!」
作左衛門「(お豆をぷちぷち飛ばしながらビールをキュッとやり)がはは! 神の豆に、神のビール! 織田信長がいくら三段撃ちを企てようとも、戦のあとにこのテラス席で夜風に吹かれながら生ビールを飲む極楽など、逆立しても知らぬわ!」
お初「あはは、皆様、大勝利したのに、居酒屋の酔っ払いのおじさんみたいになってますよ、松千代様!」
松千代「あはは、みんなお顔が真っ赤っかで、にこにこ楽しいねぇ! えだまめ、ぷちぷち、おもしろいねぇ!」
三方ヶ原の歴史的大勝利を収め、戦国時代の運命を完全にひっくり返した武田軍の将星たち。
だが今の彼らはただの「お風呂上がりのサラリーマン」のように、松千代の生ビールと枝豆の前に完全に骨抜きにされ、爽やかな夜風が吹くテラス席で、いつまでもいつまでも、幸せそうに勝利の美酒に酔いしれるのでした。




