20話、ぼくのいそがしいまいにち。
村のみんながお芋さんを作って余裕ができて、ぼくの『湯そば庵』は大繁盛。
でもね、ぼくはまだ3歳のちっちゃな幼児。
大人みたいに朝から晩まで、ずーっと働くなんて、絶対にムリなんだじょ!
だから、ぼくの一日はすっごくキッチリきまっているの。
【あさ(6時)】
松千代「ふわぁあ……お天道様、おはようなのぉ」
朝起きて、お初ちゃんと一緒にイチゴの歯磨き粉でゴシゴシ歯を洗ってお顔もツルツルに洗うと、家族揃って朝ご飯をたべるの。
七時になるとお父たんや家老のじいと一緒に、お部屋でお勉強や習字のお稽古ごとをして。
その後、九時くらいになるとお庭でよりたけにぃにとよりつぐにぃにと「武芸」のお稽古をするんだよ、3歳児の運動神経だからすぐに転んで泥だらけになっちゃうじょ。
【おひる(11時)】
お稽古が終わったらお腹ペコペコのみんなのために、お昼のお蕎麦屋さんを開店するじょ!
戦国時代は朝と夕の2回しかご飯を食べないから、お昼はお腹がぐーぐー鳴るんだじょ。
だから小窓を開けると、午前中お仕事を頑張った村の人たちが「若様、お腹と背中がくっつきそうだべ!」って6文を握りしめてたくさん並ぶんだお。
この時にお母たんと鈴ねぇねが隣の領地に転売する『牛乳』と『みたらし団子』を券売機から大量に仕込んで、誰もいないタイミングを見計らってお初ちゃんとこっそりプリンとかおやつを食べちゃうんだじょ!
【ひるさがり(午後1時)】
お昼の部が終わったら、ぼくの最大のお仕事がやってくる。
松千代「う〜……おめめが、くっついちゃうのぉ……すー、すー、zzZ」
そう、お昼寝だじょ!
ぼくが『湯そば庵』の床にゴロンと転がってスースー寝息を立て始めると、お初ちゃんが小窓を閉めてみんなにピシッと言うの。
お初「皆様、松千代様がお昼寝に入られました。松千代様が起きるまで静かにしてくださいね!」
頼重「うむ、松千代が寝ている間は絶対に庵に近付いてはならん、起こしたらお湯が出なくなるから……静かにな!」
ぼくの快眠のために、領地全体がめちゃくちゃ協力的になるんだじょ。
【ゆうがたの部(午後3時)】
目がパチっと覚めたら、夕方のお蕎麦屋さんを開店だじょ!
夕暮れ時、畑仕事や一日の仕事を終えて共同風呂で汗を流したみんなが、テラス席に座ってかけ蕎麦とかお団子をドバドバ買ってくれる。この時間が一番賑やかなんだお。
【お夕食(午後5時)】
暗くなったら小窓をパタンとしめて、いったん休憩。
遠藤家のみんなで「きつね蕎麦」とか「月見蕎麦」を囲む幸せな家族団らんの夕飯タイム、その後にお風呂にも入ってアヒルちゃんを浮かせて遊ぶんだじょ。
【よるの部(午後6時半)】
夕食が終わったら、最後のお仕事「夜の部」開店だじょ!
お仕事が終わって夜のお風呂に入りに来たお父たんや家老のじい、村のおじさんたちが、テラス席に座って焼き鳥を齧ったり冷え冷えのお酒を飲む、大人の癒し時間なんだじょ。
だけど、夜の8時を過ぎると……。
松千代「うぅう……おめめが、ねむねむ、なのぉ……」
ぼくの3歳児の体力が限界になっちゃうんだじょ。
頼重「(大慌てで)し、しまいじゃ! 松千代がおネムだ! 後少しで庵が閉まってしまうぞ!」
権三「なんと!? おい、お前たち! 最後の焼き鳥と冷えた酒の食券を急げ! 券売機に突撃じゃーー!」
お初「はい、夜の部、これにてオーダーストップです。どんぶりを片付けてくださいねー!」
みんな大慌てで後片付けを始めるんだじょ。
【夜(午後8時10分頃)】
ぼくが目を閉じると同時に、庵の現代的な照明やシステムが、ウィーン……と静かにフェイドアウトして完全に消灯するの。
ぼくはお家のお布団に運ばれて、一瞬で夢の中スースー可愛く寝息を立てて寝ちゃうんだじょ。
松千代「うぅん……おやすみなさい、なのぉ……すー、すー、zzZ」
遠藤領の一日は松千代の可愛いルーティンを中心に、今日も平和に更けてゆくのでした。




