19話、お座敷風呂とぷかぷかアヒルちゃん。
ーー昼下がり、誰もいない『湯そば庵』の脱衣所。
松千代「うんとねぇ、おはちゅ、みんなでお芋さんを育てて、お外で牛乳もおだんごもいっぱい売れたからねぇ、ポイントがメーターからぴょーんって溢れそうになってるのぉ!」
お初「ぴょーん、ですか? 確かに液晶パネルの数字がとんでもない事になっていますね。松千代様、次はなにを新しく(解放)するのですか?」
松千代「あのね、ぼくたちが入るほうのお風呂、もっとカッコよくしたいのぉ! 床も滑らなくて、ごろんってできる、すっごいお風呂にするのぉ。ぽちっとなー!」
液晶パネル:【10,000PT消費:内風呂を『畳敷き・お座敷風呂』へ小改造しました】
液晶パネル:【200PT消費:お風呂の相棒『ラバーダック(黄色いアヒルちゃん)』を3個取り寄せました】
ーーピピッ♪ っと音がして、のれんの奥のお風呂場から、ほわん、と温かい光が溢れ出る。
お初「わ、わわわ! 松千代様、見てください! お風呂の床一面に、緑色の綺麗な『畳』が敷き詰められています!」
松千代「できたぁ! お座敷風呂っていうんだよぉ。この畳ね、お水に濡れてもへっちゃらなのー!」
お艶「(のれんをくぐって入って来て)あらあら、松千代、お初、なにやらお風呂から楽しそうな声が聞こえると思ったら……まあ! お風呂に畳がしいてありますわ!」
鈴「すごーーーーい! お風呂なのに畳の匂いがする! 踏んでも足の裏が冷たくないよ、お母様!」
お艶「まぁ本当ね。大抵のお風呂は床が板張りで滑りやすくて危ないのに、これなら小さな松千代や鈴が走り回っても安心ですね。……さあ、みんなでサッパリしましょう」
ーーザブーーン。お母様、鈴お姉ちゃん、お初、そして松千代が湯船にのんびりと浸かる。
お初「はぁ〜〜、極楽です。床が全部畳だから寝そべる事も出来そうですね。お殿様たちの大きな共同風呂も良いですが、やっぱりコッチの内風呂の方が一番落ち着きます……」
松千代「えへへ、そうでしょー? あっ、そうだ! お母たん、これ、なーんだ!」
ーー松千代、ちっちゃな両手で、ほわんと出現させた鮮やかな『黄色いアヒルのおもちゃ』を三匹、湯船に浮かべる。
鈴「きゃーーー! なにこれ可愛い! 黄色い小鳥さんがお湯の上にぷかぷか浮いてる!」
お初「ガラスでも木でもない、不思議な柔らかい手触りがしますね。……あっ、お腹をきゅっと、握ると……」
アヒルちゃん「きゅ〜〜〜〜♪」
お初・鈴「「ひゃあぁあああ! (可愛すぎて飛び上がる)」」
お艶「あらまあ、鳴きましたよ。なんて可愛いらしい仕掛けかしら、ふふふ」
松千代「あひるちゃん、およげ、およげー、なのぉ! (おててでバシャバシャとお湯を叩いて、アヒルちゃんをぷかぷか泳がせる)」
鈴「待て待てー! 鈴のアヒルちゃんが突撃するぞー! きゅ〜、きゅ〜♪」
お初「ああっ、鈴様、お湯を跳ね散らかしてはいけません。私のアヒルちゃんが溺れてしまいます! きゅ〜♪」
お艶「ふふ、あなた達お行儀が悪いですよ。でも……お口の中も歯ブラシで綺麗になって、毎日美味しい物を食べて、こんなに温かいお風呂に浸かれるなんて。松千代、我が家に生まれて来てくれて、本当にありがとうね」
松千代「(お母様の胸にお湯の中でペタッと抱き付きながら)まつちよも、お母たんだーいすきなのぉ! ずっとみんなで、にこにこするのぉー!」
お艶「ええ、ずっとみんなで一緒にいましょうね(松千代の濡れた髪を優しく撫でる)」
外のテラス席では父親や家臣たちが焼き鳥を片手にお酒を飲んで賑やかに笑っている。
その楽しそうな声を遠くに聞きながら、四畳半のきらきらなお座敷風呂の中で、松千代たちは黄色いアヒルちゃんを浮かべ、いつまでもいつまでも温かい極楽の湯に包まれるのでした。




