16話、お風呂上がりの黄金のコンボ。
ーーある日の夕暮れ時、お蕎麦屋さん。
頼重「(大浴場からあがってきて、腰に手を当てて牛乳を飲み干し)ぷはぁ〜〜、今日も男女別の大きな共同風呂は最高の湯じゃった。村の者たちもお湯にタダで入れるとあって毎日大喜びだな」
お初「はい、お殿様。皆さまお風呂に入った後はお腹が減るのか、小窓からお蕎麦やお団子が飛ぶように売れております!」
松千代「うん! みんながお風呂あがりにいっぱいちゅるちゅるを食べてくれたから、ポイントがドカンってたまったのぉ。だからね、新しいボタンを2つ、ぽちぽちっとなー!」
液晶パネル:【30,000PT&45,000PT消費:サイドメニュー『焼き鳥』『冷え冷えのお酒』を同時開放しました】
ピピッ♪ と軽快な音が響き、券売機の一番下の段に、新しく『焼き鳥 四文』と『冷え冷えのお酒 六文』のボタンが眩しく点灯する。
作左衛門「な、なんと!? 一度に2つも新しいボタンが灯りましたぞ! 松千代様! コレはどのような馳走で!?」
松千代「うんとねぇ、ひとちゅはね、鶏肉とネギを串に刺して、じゅーじゅー焼いた『やきとり』だよぉ! もうひとちゅはね、透き通ってキンキンに冷たーい『お酒』なのぉ!」
権三「鶏肉の炙り焼きに、冷たい酒……! 殿、拙者、1日の訓練と風呂上がりで喉がカラカラに渇いております! ここはこの権三にポチッとさせてくたされ!」
頼重「ずるいぞ権三! 儂が先じゃ! ……いや、二人の分をまとめて、ポチポチじゃ! ガチャガラ、チャリンチャリン!」
ーー父親と権三、じいの3人がこぞって小銭を入れ、焼き鳥とお酒の食券を次々と購入する。
券売機「ウィーーン……カシャ! カシャ!(食券が次々に吐き出される)」
ーーほわんと光が走り、調理場に炭火の焼き台が出現。香ばしいタレの匂いをさせながらジュウジュウと焼ける『焼き鳥』と、ガラスの徳利に入って表面に水滴を纏った『冷え冷えのお酒』が現れる。
権三「うぉおおおお!? なんだこの香ばしい匂いは! タレが焦げる匂いだけで、よだれが止まりませぬ!」
松千代「できたぁ! やきとりとお酒だよぉ! お酒、すごく冷たいから気をつけてね!」
頼重「では……風呂上がりの一杯、いただくぞ! ……(ガラスのお猪口に注いでグイッと煽る)……っ!? ぷ、はぁあああああああ!!!」
作左衛門「と、殿!? いかがなされました! もしや強過ぎる南蛮の毒酒では……」
頼重「(あまりの美味さに目を見開いて震えながら)ち、違う! どぶろくとは別物じゃ! 水のように透き通り、雑味が一切なく、そして喉が凍るほど冷たくて美味い!」
権三「拙者も我慢できん! 焼き鳥を……あむっ、もぐもぐ……うおぉおおおお! 鶏の肉が驚くほど柔らかく、この甘辛いタレとシャキシャキのネギが、冷たい酒に合いすぎて、美味さが暴風のように押し寄せてくるーーーー!!」
作左衛門「どれ、私も……(焼き鳥を齧り、お酒をキュッと飲む)……。はぁぁ、神よ、私は今日までこの一杯を飲むために生きてきたのですな……(カウンター席で骨抜きになってとろける)
お初「大変です松千代様! 外の立ち食いの小窓からも、お風呂上がりのおじさんたちが『オラたちにもその鳥と酒をくれべー!』っと、大騒ぎになってます!」
松千代「あはは、みんなの分もどんどん焼くからね! おはちゅ、お皿ならべてぇ!」
夕暮れの遠藤領。
タダで入れる大きなお風呂から上がってきた村人たちが、小窓から出て来る焼き鳥を片手に冷たいお酒をグイッと煽って「ぷはぁ〜〜」と笑い合う。
松千代の庵は、いつの間にか領民全員の疲れを癒す、戦国時代最先端の「極楽居酒屋」へと進化を遂げたのでした。




