第32話『義妹、席替えを“運命の転校生サバイバル”に変える』
二学期が始まって数日。
俺――篠原悠真は、教室で静かにプリントをまとめながら思っていた。
(あれ? もしかして、咲良のサバイバルも少し落ち着いた……?)
だが――
教卓に貼り出された“座席表シャッフル予告”を見た瞬間、そんな甘い幻想は粉砕された。
咲良:「お兄ちゃん、**席替えってつまり“運命のダイスロール”だよね!?」」
「いやただのランダム抽選だよな?」
「ちがうよ! 今日の席替えは、“運命を変えるサバイバルゲーム”なの!」
「もうお願いだから、学校のイベントに勝手に背景つけるのやめてくれ!!!」
◇
【義妹脳内設定:席替えサバイバル】
◎ ルール:クラスの全員がくじを引いて新たな“運命の配置”へ
◎ ステージ1:“前後左右が誰になるか”で、生活の難易度が決まる(←ゲームのレベル分けっぽい)
◎ ステージ2:転校生(本当に今日来る)がボーナスキャラらしい
◎ ステージ3:席が黒板前の“特等席”になった者には“呪い”がかかる(義妹談)
案の定、咲良は――
隣の席になった男子・小田くん(人見知り)にこう言い放っていた。
「君は今日から、私の**サバイバル仲間**だからね!」
小田:「え……? なにその設定……」
そして――事件は起きた。
本当に転校生がやってきたのだ。
先生:「紹介します。今日からこのクラスに入る、速水レイくんです」
レイ:「……よろしく」
クール系男子、ゲーム強そう、身長高め――
女子のテンション↑↑↑
そして咲良は――目を輝かせていた。
「……きた。“風属性の旅人キャラ”だ……!」
俺:「ちょっと待て、義妹!!」
◇
その後、謎に速水レイを巻き込み、
・“席替え後の相性チェックバトル”(←ただの自己紹介ゲーム)
・“机の裏に貼られた属性シール”(咲良が勝手に貼った)
・“昼休みのパーティ強化作戦”(←班ごとの掃除の打ち合わせ)
……すべてが、咲良の冒険脳によって構築されていった。
だが――
意外なことに、クラスメイトたちは
「咲良ちゃんのって、ちょっと面白いよな」
「なんか最近、学校来るの楽しくなった」
「速水くん、けっこうノリいいよな」
と、徐々に義妹のサバイバルが“学校の空気”に浸透していく。
◇
帰り道、
咲良が俺に言った。
「ねぇ、学校って、ただの場所じゃなくてさ……
みんなで“冒険”できる場所にした方が、絶対楽しいよね」
俺:「……それを先生に言ったら、胃薬飲むと思うぞ」
でも、確かに。
義妹のせいで賑やかになった教室――悪くはなかった。
(つづく)
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