第31話『義妹、二学期初日に登校バトルロワイヤルを始める』
9月1日――
新学期初日。
俺――篠原悠真は、目覚ましの音より早く目を覚ました。
時計を見る。朝6時半。
(今日は……きっと静かな1日になるはずだ……)
そう思った自分を、ぶん殴りたい。
なぜなら、階段を降りた瞬間。
玄関前に――
“登校装備フルセット”を身に着けた義妹・篠原咲良が立っていたからだ。
「お兄ちゃん、おはよう! 今日から“通学ダンジョン・二学期編”スタートだよ!」
「お前、ランドセルに水筒2本と双眼鏡って、どこの冒険家だよ!!」
「今日は“登校途中に待ち受ける影の怪人(=先生)から逃げつつ、先に学校にたどり着いた方が勝ち”ってルールだから!」
「それ普通に遅刻するやつだよね!?」
◇
【登校ダンジョン・ルール(義妹脳内)】
◎ ミッション①:いつもより5分早く家を出発せよ
◎ ミッション②:指定の路地を3つ経由(=ショートカットという名の遠回り)
◎ ミッション③:ライバル(=兄)より早く校門を通過せよ
※ 失敗したら“消しゴム没収”という謎ペナルティあり
そして、母まで
「咲良、行ってらっしゃい! ……あ、悠真。負けたら妹におやつ分けてあげてね」
と“全面協力モード”で見送ってきた。
◇
結局、俺も荷物を背負い、
咲良と並んで朝の住宅街に飛び出した。
・近道のはずがネコに塞がれて遠回り
・近所の子どもに「咲良ちゃん、また何かやってるの?」と絡まれ足止め
・学校手前で咲良が「ここがラストゾーン!」とか言いながらスプリント
そして――
「ゴール!!!」
俺:「くっ……数歩差で……っ!」
咲良:「ふふん、登校バトル、妹の勝利だね♪」
俺:「俺、朝から何してんの……?」
◇
だが教室に入ると、
咲良は真顔で俺の耳元に囁いた。
「ねぇお兄ちゃん。明日は“忘れ物をしたら即罰ゲームダンジョン”だよ」
「……また始まるのか、サバイバル生活……」
こうして、二学期の初日から――
俺の平和な日常は、当然のように崩壊した。
(つづく)
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