第25話『義妹、旅館の朝食を“究極の食材争奪バトル”に変える』
最終日の朝。
旅館の朝食会場に入った瞬間、俺――篠原悠真は悟った。
(ああ……今日も、戦いが始まる……)
なぜなら、席に着くなり義妹・篠原咲良がこう宣言したのだ。
「お兄ちゃん、今日の朝食は“究極の食材争奪バトル”だから!」
「……朝ぐらい、静かに食わせろ」
「ダメ! 朝は一日の始まり。つまり、最初に勝った者がその日を制する!」
どんな理論だよ。
◇
【朝食バトル・ルール】
① ごはん、お味噌汁、焼き魚、小鉢類は通常配布
② だが“玉子焼き・焼き海苔・明太子”の3点だけは限定数量!
③ ジャンケン or 知識勝負で勝ち取ること!
父:「玉子焼き、1個……」
母:「明太子は私の分、取っておいてね」
俺:「え、親まで参加すんの!?」
咲良:「旅館サバイバル、最終決戦編だよ♪」
もうこの家族、全員サバイバル脳じゃねぇか……。
◇
第一ステージ:ジャンケンバトル(玉子焼き争奪戦)
→ 俺、1回戦敗退
第二ステージ:早押し常識クイズ(焼き海苔)
咲良:「“納豆に含まれる発酵菌の名前は?”」
俺:「……知らねぇ!!」
第三ステージ:お箸を使った器用さ勝負(明太子)
→ 父、異様にうまくて全勝
◇
俺:「……何も取れなかった……」
咲良:「お兄ちゃんには“おかわり自由のごはん”があるよ!」
優しさゼロのフォローありがとう。
◇
だが、食後。
咲良がそっと俺の皿に、
自分の玉子焼きを1切れ、そっと置いた。
「ありがとう、お兄ちゃん。
旅館ダンジョン、付き合ってくれて」
「……そういうの、ずるいんだよ」
でも俺は、黙ってその玉子焼きを食べた。
◇
こうして、
義妹による“旅館編ラスダン”は終了した。
――だが俺は知っている。
帰ったら、今度は“自宅ダンジョン夏休み編”が始まるのだと。
(つづく)
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