↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/11

第六章 強くなり過ぎた伯爵

 ルール穀倉地域を得たことで、ロール領の性質は大きく変わった。


 プリストンだけなら港湾領である。


 輸出入を担い、船を受け入れ、関税や港湾使用料で収益を得る。


 だが、ルールが加わった。


 大量の穀物を生産する土地。


 そして、その穀物を国外へ運び出せる港。


 生産地と輸出港を同じ領主が持つことになった。


 さらにソフィアは陸上警備団と海上警備団を持っている。


 経済力。


 軍事力。


 国外交易への影響力。


 その三つが一人の若い伯爵の手に集まった。


 王家としても、簡単に命令できる相手ではなくなった。


 もちろんソフィアに反乱の意思などない。


 父ウィリアムと同じで、王家と争うことに利益を感じていない。


 むしろ安定した王国の中で商売をした方が儲かる。


 それでも、発言力というものは本人が欲しがらなくても、持っている財産とともに付いてくる。


 ソフィアは十六歳になる頃には、国政上も無視できない領主になっていた。


 ところが王都社交界での評価は、少し違った。


 事情を知る大貴族はソフィアを警戒している。


 スチュアート家の娘。


 プリストンの領主。


 ルール穀倉地域まで持っている。


 その意味が分かる者は、若いからと侮らない。


 しかし、大多数の貴族はスチュアート家の本当の規模を知らなかった。


 王都から遠すぎるのである。


 地方の伯爵家。


 その程度の認識だった。


 第一王子に嫁いだが、すぐ離縁された。


 王家が気の毒に思って伯爵位と港町を与えたらしい。


 次にミラー公爵家の長男と結婚したが、それも失敗した。


 男運の悪い娘。


 若くして二度離婚した女伯爵。


 その程度に考えている者が多かった。


 ダニエルとポールが社交界から消えた理由についても、詳しくは知られていない。


 王家もスミス侯爵家もミラー公爵家もマルタン侯爵家も、積極的に話したくないからである。


 ソフィアも訂正しなかった。


 誤解されて困ることがない。


 むしろ、自分を大したことのない伯爵だと思ってくれていた方が楽だった。


 そんな十六歳の秋。


 ソフィアは王都で開かれる望月祭へ招待された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。