二話 魔法は棒を使って
「やぁ、木村さん。久し振りだね。元気そうでなにより。ところで隣の山に見慣れないものがあるようだけど、報告する気あるのかな?」
村に戻ったら知らないおじいちゃんがいた。そのおじいちゃんは村長を見つけるとニコニコ笑いながらそう尋ねた。
「ないわい。言ったらいろいろ面倒なことになるやろ?吉岡、不可侵協定忘れとらんよな?わらわらと政府の人間がこの村にでばって来たらと考えるだけで、嫌気がさすわ」
「もちろん覚えているから私一人で来たんだよ?いやぁ、久し振りにヘリの操縦をしたよ。無事についてよかったよかった。
ところで知ってるかい?あの異物なんだけど衛星の画像に写っていないのだよ。試しにスマホで撮ってみたのだけど、やはり異物がないことになっている。
ということでね、政府はいまだにあの異物を知らないのさ。この地方に大きな地震が起きたとしか思っていないんだよね」
なにそれ!気になるから僕も後で撮ってみよう。
謎のおじいちゃんは、後で挨拶した時に吉爺でいいと言ってたんでそう呼ぶね。吉爺は元々この村の出身で、日本政府の関係者らしい。
大きな地震が起きたので、確認に来たら、変な城が隣山に生えてたので驚いたみたい。
「ふむ。さすがファンタジーじゃな。とりあえず話しは後だ。先に魔物避けをたく」
「……魔物。魔物ね。長生きするものだね」
吉爺もまざって、村の周りにもらってきた魔物避けを燻し焚きする。
その後に村の集会場で詳しい被害報告会が行われた。
そして僕らからの報告は、
『あの空島が異世界産』で、『魔物という名の魔法が使えない変わった動物が襲って来るかもしれない』と
いう寂しいものだった。
みんなから激しいブーイング。異世界ものについて爺婆たちも詳しい。僕が布教したからね。魔法とかいろいろ聞きたいことあるよね、やっぱり。
「まぁ落ち着け。向こうに敵対意識がないのは確認した。魔物は襲ってきたら各自で対処。以上じゃ!今日は解散!あっちの人に聞きたいことがあるならそこのノートに書いてけ。どこかで聞いてくるわ」
村長が無理矢理話を終わらせた。
みんなわらわらとノートの周りに集まる。娯楽に餓えてたから、いろいろ書込みしてる。冒険者ギルドはあるのか?とか。
僕も最初はそっちにまざっていたけど、村長に呼ばれて青と一緒に、吉爺との話し合いの聞き役に。
話し合いの聞くのは将来を考えて。主に青がね。青は将来の村長候補だし、空島が落ちてきた隣山の地主。
僕が参加するのは神主代行だから。といっても今は神器を掃除してから、朝の挨拶で拝むくらいだけど。
僕の家は村にある小さな神社。本来なら僕の親が話し合いに参加するべきなんだけど、神社は継がず、両親ともに海外に移住しちゃってるからね。それで僕が神主代行ってことになっているの。
「あいつら楽しそうに馬鹿なこと書き出して……。あいつらの質問事項は余裕がでたらな。
まずは島の連中とどう共同生活を送るかを決めてからじゃ」
「共同生活?」
「元の世界にすぐに戻れるなら、わざわざ城壁なんて作らんやろ?ずっとなのかしばらくなのかわからんが、お隣さんってことになる。だから最低限のルールを決める必要がある。なにせ住んでた世界が違うんじゃ、常識が違うやろ」
「常識のすり合わせか。難しいね。地球上でも国が異なれば考え方が違うし。
ましてや空島の人たちと揉めても仲裁してくれる第三者もいないしね。まぁもし仲裁できる第三者がいるとしても神様くらいなものか」
「こっちに迷惑かけて本当に申し訳ないとおもってるようやし、わしらとうまく付き合っていきたいと言っとるし、なんとかなるやろ」
「少ししか話してないんでしょ?本当にそう思っているかわからないんじゃない?」
「問題ないわ。話し合い中に太一が一度も泣かんかったからな」
村長がちらりと僕を見て言う。
「なんで泣くのさ!僕は赤ちゃんでも、泣き虫でもないよ!」
黙って聞いてたけど、思わず割り込んじゃった。ひどくない?村長がすまんって謝ったから引き下がったけど。
「……へぇ。太一君が今の神主なんだね」
吉爺は僕をじっくりと眺めた後、にんまりと笑った。
「代行だけどね。……僕なんにもできないし」
じいちゃんが生きてたときは、正月とか行事ごとに祈祷とかしてたけど。今はなし。
なにせじいちゃんがなくなったとき、僕はあまりにも小さくて、その辺りのことを引き継ぐ前だったので、作法とか知らないんだ。
村のみんなは勝手にお参りするからやらなくていいって言ってくれる。
「肝心なところが引き継がれてるから問題ないわ。朝の掃除だけは頑張るんよ」
肝心なところ?掃除かな?うん。頑張るよ。
「あっちの領主は貴族だが、ざっくばらんに話しても気にするようなそぶりなかったわ。無礼打ちなんて時代錯誤なもんはなさそうやな。
あの島の中の問題は治外法権を認めるとして、わしらとの間との取り決めやな」
「六法全書を持っていって一つずつ相談するかい?いやどちらかというと、国際法かな」
「最低限だけ決めて後はなにかあったら……そんときはしょうがない。なるようになるやろ」
「……まずは国際人道法からかな」
なんか難しい話が始まった。この辺りの話し合いは全くわからなかったので、寝落ちしたよ。
難しい話し合いが終わった辺りで、青に起こされた。難しい話は吉爺が得意らしいので、村長と二人で明日男爵とつめてくることになったよ。
そして僕にもお仕事が!なんと親善大使に選ばれました!なにするの?って聞いたら仲良くするのがお仕事なんだって。僕の得意なことだから大丈夫だね。でも新しい情報を仕入れたらレポートが必要なんだって。それは苦手。だから青がサポートしてくれるんだ。
「報告まるっと丸投げする気だろ?」ってすぐにバレた。
とにかく明日は僕と青は村長たちとは別行動。絶対魔法を教えてもらうんだ。学校から帰ってきてからだけど。……学校サボっちゃダメなんだ。残念。
次の日。地震の関係で今日の学校はお昼まで。
学校で地震の話題が出たときに、空島の話をしたくなったのだけど、お口にチャック。僕だって秘密は守れるよ。
学校からダッシュで戻ると、すぐに青をせかして空島の男爵領へ。
空島の近くまで来たところで、一旦立ち止まる。玄関がないから呼び鈴が押せない。勝手に入っていいのかな?昨日はイーズと一緒だったから問題なかったけれど。
昨日の監視場所から牧場を見てみる。すると牧場の敷地内に、なんか牛っぽい生き物が何十頭か放牧されているのが見えた。あれがモーモーなのかな?昨日は見かけなかったけど。
モーモーたちに混ざり、柵の中に銀色の毛玉も寝そべっていた。すぐにイーズは僕らに気づいて、駆け寄ってきた。
「あ、イーズ!こんにちは!気がつくの、早かったね。僕は太一だよ。名前覚えている?」
「こんにちは。俺は青です」
「よぉ!そっちの村長から来ることは聞いていたから、牧場で待っていたぜ。名前は覚えているぜ。お前たちの今日の担当は俺だ」
「今日はいろいろ聞きたいことがあるんだけど、大丈夫?」
僕はみんなの質問が書かれたノートをリュックから出しながら聞く。青もメモ帳をとりだした。
「まずね、僕にも魔法って使えるかな?」
僕は一番聞きたかったことを聞いた。忍者なら忍法があるだろうって突っ込みはしないで。
忍術の基本は体術で、クナイや小太刀とかの武器の技と、軽業や走法など。忍法で有名な火遁の術は火薬とか火種で煙を使った技で、魔法みたいになにもないところから火が出るわけじゃない。
「どうだろうな。とりあえず魔力があるかどうかだ。魔力を図れる魔道具を牧場に持ってきたぜ。それで見てみようか」
「やったー!」
「太一、待て。牧場は村長や男爵たちが話し合いで使っているんじゃないのか?邪魔するわけにはいかないよ」
「アオは真面目だな。今日は城で話しあいだから大丈夫だぞ。ただ牧場は本来の持ち主が帰ってきている。頼んで食堂を間借りしているから、行儀よくしろよ」
「はーい」
「わかりました」
僕らは元気よく答えて、イーズの後について牧場に向かった。牧場に近づくとモーモーの大きさが普通車並みに大きいことに驚いた。
「モーモーは魔物だって言ってたよね。獣人じゃなくて」
「そうだぞ。この島に獣人は俺ともう一人くらいしかいないから魔物と間違えるなよ」
「あ、僕太一です。十三歳です。よろしくね」
牧場の中に入ったら、ふっくらとしたおばさんがいたので、すかさず挨拶。
「え……ああ」
おばさんはびくびくしながら僕と青をみた。
「黒色の人間は見慣れないからな。びっくりしたんだろう。悪気はないから気にすんな」とイーズがフォローしてくれた。
黒髪黒目の僕らが、異世界人だって聞いてたのかな。それだと緊張も無理ないね。
僕は怖がらせないようにニコニコ笑いながら、おばさんに手を振ってそのまま食堂に。
食堂のテーブルには昨日なかったピカピカした水晶玉が置いてあった。
「これが魔力を測る魔道具だ。手をのせてみろ。お、光ったな。タイチよかったな、魔力はあるみたいだ。ただあんまり光ってないから、それぼど魔力量はないな」
「えっ、そうなの?魔法使えない?」
「簡単なもんなら使えるぞ。アオも手をのせてみろ。タイチと同じくらいだな。よーし、生活魔法を試してみるか」
「いいの?」
「ガキでも使えるもんだからな」
テーブルあった木の枝みたいな短めの棒を、イーズはてしてしと肉球で叩いた。
イーズの説明だとこの棒は魔法の補助具で魔法になれてない子供が使うものなんだって。
魔法の発現に必要なのは魔法の位置やサイズ、完成した魔法のイメージと燃料となる魔力。
この棒には魔方陣が書き込まれていて、魔法をイメージさえできれば、勝手に魔力が吸い出されて棒先に決まった大きさの魔法が発現する。つまり魔法の位置と大きさの指定は考えなくていいんだ。
魔法のイメージは、他の人が実際に目の前で発現して、見本をみれてくれるからやりやすいみたい。今回の場合はイーズね。
補助棒を使わずに全部自力でやる場合、その空間の位置に発動する魔力イメージをしつつ、その位置、大きさ分を体外放出した魔力で編み込まなきゃいけないそうだ。
体外に魔力を放出するのにも鍛練が必要だし、その魔力を細く編み込むのも練習が必要。つまりめちゃくちゃ集中力と根気も必要。
うん。すぐにできないのはわかったよ。
「棒で頑張ります!」
「んじゃ、見本を見せるから外だな」
そう言われて、ずらずら並んでお外にでたよ。
また途中でおばさんにあったけど、さっきよりは落ち着いてたみたい。あとで僕らにモーモーのミルクの差し入れしてくれるって。嬉しいな!
外にでてイーズが試しに魔法を使ってくれた。
「火よ!」
イーズの肉球でうまく掴んだ棒の先から、ライターくらいのちいさな火がぽっとついた。
「おー!火がついたよ」
「チャッカ○ンみたいだな。……これ覚える必要あるか?」
コソコソ小声で青が僕に囁いた。
あるよ。魔法だよ、ロマンだよ!
「消えろ」
「おお、消えた」
「生活魔法は誰でも使える魔法だから、期待されても困るぜ。やらんのか?」
「やるやる。えっと、火よ!」
借りた棒を握り、さっきのイーズの魔法をイメージすれば、ぽっと小さな火が灯った。
青も問題なく火の生活魔法が使えたので、村の爺婆でもいけそうだ。
「ねぇ、この棒っていくらするの?僕らのおこづかいで買えるかな?」
「そんなにしねぇな。銅貨十枚くらいか」
「銅貨?十円玉でもいいの?青、十円十枚ある?僕十円は六枚しかないや。百円じゃだめかな?」
「ダメに決まってるだろ、太一のお馬鹿!」
「へぇ、これがそっちの硬貨か。アオが言うとおり今はだめだな。売買の仕方については、城で今話し合ってるからな」
「じゃあ、これ買えないの?」
「今日はな。それにこれくらいのものなら、詫びの品として、男爵がただで渡すと思うぜ」
「本当?みんな喜ぶよ!ね、青」
「ああ。ただしこの棒が使えるのは空島だけだから、みんなが入ってきていいかの確認が必要だな」
「わかった、その辺もアルに言っとく」
「じゃあ続きいい?他の生活魔法はまだある?」
「あるさ。ちょっと水を出す魔法だ」
「教えて!」
親切なイーズがその後に「水よ!」とか魔法を披露してくれた。なんとか僕たちは棒があれば、生活魔法が使えるようになった。
僕は楽しくなって、何度も魔法を出したり消したりしていたら、イーズがハシッと棒を咥えて取り上げた。
「あんまり慣れてないのに、魔法を連続で使うんじゃねぇ。タイチ達は魔力が多くないし、魔力不足でぶっ倒れるぞ」
「あぁ、やっぱり魔力不足あるんだ」
本でよく出てきたやつだ。
「あるぞ。魔力は魔法を使った分だけ、最大容量がちょびっとだけのびる。だからそれ狙いで子供が無茶して、魔力不足になることが多いんだ」
「質問!魔力は使ったらいつ回復するんだ?」
珍しく青からの質問。
「一晩寝れば容量が少ないやつは全快する。基本休むことで、ちっとずつ自然回復する。
でもな、魔力不足を繰り返すと、魔力が自然回復で追い付かない病気になる場合があるんだ。
この街にもその病気なやつがいる。そいつは魔力不足でそうなったわけじゃねぇが。ともかく魔力が少なすぎると、体に弱っちまって寝たきりだ」
「魔力が自然回復で追い付かない……?勝手に魔力が体から流出してしまうのか?」
「そうだ。俺らの地では微量だが、毎日魔力が体外に出ていってる。人だけでなく魔物や植物からもだ。その集まった魔力で新しい命が誕生するんだ。
その流出魔力より自然回復が下回る病で、魔力失調症という。魔力の流出さえ止まれば、回復できそうなんだが……。世界の摂理はどうにもできねぇ」
しょぼんとニーズが立てていたしっぽが下がる。
寝たきりはつらいよね。うちのじいちゃんも最後はずっと寝たきりで……。思い出してなんか悲しくなってきちゃった。
「ごめんね。あんまり魔法使わないようにするよ」
「三回くらいなら大丈夫だぞ。ん?アオどうした?考え込んで」
「……流出を止める……うちの村ではどうだ?空島と違って魔法が使えないから、世界の摂理が違う可能性はないか?」
「えっ?!ああ、あるかもしれない。ちょっと待ってろ!」
そういってイーズは城の方に慌てて走り去って行った。
「凄いね、さすが青!僕そんなこと全然思いつかなかったよ」
「それより太一、その棒貸してくれ。試したいことがある」
僕は太一に棒を渡すと、ワクワクしながら見守った。わざわざイーズがいなくなってからやるんだ。青の試したいことはきっと面白いに決まってる。
「火よ!」
青が棒を突きだしそう唱えると棒の先にぽっと小さな火が灯る。さっきまでと大きさ、展開位置は同じ。だけど火が青白くなってた。
「消えろ!ふぅ。さっきまでより魔力が多めに引っ張られた気がする。イメージ次第では、少し別なものを出せることがわかったな」
「えぇ!青ってばもう魔力感知できてるの?凄いね!僕に教えてよ!」
「目をつぶってやってみれば、太一にもわかるよ。俺らの『気』がこっちでは魔力って呼ばれてるものだから」
『気』。僕らは呼吸法や瞑想などで、体内の『気』を廻らせて健康を維持している。また体外に『気』を放出し、それを治療として使う、または敵に攻撃することもある。
『気』かぁ。気がつかなかった。青から棒を借りて目を閉じる。
「火よ」
うん。廻らせていた『気』の一部が棒に向かって出ていったのがわかった。
「青正解だね!たしかに『気』が不足しすぎているなら、病気になるのもわかるよ」
「棒を使ってなくとも、『気』がほんのりと勝手に放出されるのも確認した。普段、瞑想して『気』を廻らせてるときに、勝手に放出が起きたことはない。やっぱり、うちの村ではそんな摂理は適応されていないな。
しかし、この程度の量が回復しないってよっぽどだぞ。『気』の廻りがどこかで止まっている」
「山爺ならわかるんじゃない?気功使いのお医者さんだしね」
「そうだな」
僕らはその後、魔法は使わずに牧場の近くの、草むらで座ってイーズの帰りを待った。
ちなみに僕らの魔力量が少ないのは『気』をおさていたせい。試しにぐるぐると『気』を大きく廻らせた状態で、水晶を触ったら眩しいほどに光った。
青は魔力が『気』ならなんで村だと魔法が使えないのかを一生懸命考えてた。
「『気』が世界に還元される量が全くないからなのか?ああ、世界の摂理なんて神様に聞かなきゃわかんねー!太一、神様に聞いてこい!」
「やだな、何言ってるの。そんなことできるわけないじゃない」
「太一ならいけるかもしれない」
「無理でーす」
と、悪ふざけに入った頃に、牧場のおばさんがミルクを持ってきてくれた。
「うまぁ!普通の牛乳より濃厚で美味しい」
「そりゃよかった。
あんた達、向こうの人だろう?黒の見た目はともかく、他はこざっぱりした普通の子供にしか見えないね」
「僕、普通の子供だよ?」
「そうかい、そうかい。暇ならモーモーに乗ってみるかい?」
「いいの?」
「ああ、いいよ。こっちへおいで」
近くで見たモーモーはやっぱり牛に似ていて、くりくりとした目がとてもかわいい。モーモーには鞍をつけないようで、そのまままたがるそうだ。
「この子はマーガレット。うちのモーモーたちのボスだよ」
「マーガレット、こんにちは!僕は太一、十三歳だよ。こっちは青。同じ年なんだ」
マーガレットはもしゃりしゃと草をはみながら、じっと僕を見た。
「触ってもいいですか?」
「ゆっくり触るなら大丈夫だよ」
「はーい。ゆっくり、ゆっくり」
僕はマーガレットの角の間の頭部を、ゆっくりと撫でた。
交代で青も撫でた後、モーモーにライドオン!この高さならささっと飛び乗れる。モーモーが大きいので、余裕で青と2人乗りできた。
さて、手綱もないし……お願いするか。
「マーガレット、発進!前進お願いしまーす」
マーガレットはしぶしぶと前にゆっくり歩き始めた。
僕はそのあとも、右だの左だの、マーガレットにお願いしまくる。最後は本当に嫌になったのか、マーガレットは立ち止まって、牧草食べてたけど。
「すごいな、言葉が通じてる。魔物はみんなそうなんですか?」
「いいや、話しがわかるのは、マーガレットだけだよ。マーガレットが特別なんだわ」
青の問いに、別のモーモーのブラッシングしているおばさんが答える。
「凄いね、マーガレットは特別なんだね。頭がいいからボスなの?力も凄いの?」
「ブモッ」
「そう力も凄いんだー」
「太一、マーガレットの鳴き声で会話できるの?」
「やだなぁ、青。なんとなくだよ、なんとなくそう言ってそうな感じ?」
「家猫と同じか」
「そうそう」
うちのみかんは、チャームポイントが二本映えている尻尾で、ニャゴニャゴよく話す、オレンジのふわふわな猫なの。かわいいよ。
マーガレットの頭わポリポリ掻いていると、銀色の毛玉がこっちに向かって走ってくるのが見えた。




