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お風呂にメロメロですわっ

街に戻ると、夕方になっていた。

レオたちは疲れていたので、食事場付きの宿を取り、そこで食事した後、客室に行く。

プルーンが、部屋のテーブルの上で休んでいると、レオが桶に入ったお湯を持ってきた。


「プルーン、疲れたでしょ?ここで体を洗うといいよ。」


「にゃー(ありがと、とても嬉しいわ。体が砂埃だらけな気がして、むずむずしてたのよね。)」


とプルーンは喜んだが、同時に疲労と街に戻って来れた安心感で、眠気が凄い。入るのが少々億劫になってしまった。体はまだ子猫のため、体力的にキツかったのかもしれない。

テーブルに置かれた桶の前で、お湯に癒されたい気持ちと、お風呂に入る面倒くささが相まって、心が揺れ動いている。



「桶に入るの大変?入れてあげようか?」


と、レオの両手がプルーンを持ち上げた。プルーンが桶の中に入るのが難しいと思ったのか、レオが桶のお湯に入れてくれる。プルーンは、びっくりして暴れて逃げそうになったが、お湯に入れられると、気持ち良さの方が勝ってしまい、大人しくなった。


「にゃ?にゃっ?!……にゃーん♪ (えっえっ?!ちょっとレオ何するの?!…あっ、気持ちいい〜♪)」


お湯の中は暖かくて、思わず至福な声が漏れた。


「にゃー(なんだか帰ってきたら体がだるくなって。動けなくなっちゃったの。)」



チャプチャプ…



「人間でも長旅はしんどいもの。本来は子猫なのに、長旅でだいぶ無理させちゃったね。」


レオは、プルーンが溺れないよう、支えながらお湯をそっと掛けてくれ、洗ってくれる。


「にゃ…(洗ってもらうなんて…レオも疲れてるのにごめんなさい。)」


「気にしないで。でもまだ眠らないでね、溺れちゃうから。」


「あっそうだ。僕が使ってる石鹸あるけど使う?」


(石鹸?!使いたいー!)


プルーンは、猛烈に頷くと、レオが魔法袋から石鹸を出して欠片をお湯の中に入れてくれた。

ラベンダーやミントのような、さっぱりしていて心地良い香りと泡に包まれる。


(とっても香りに癒されるわ。いくら浄化や防虫効果があっても、お風呂の気持ちよさには勝てないわ。)


レオは、されるがままのプルーンに、しっぽや体や顔の毛を石鹸でゴシゴシ洗う。一通り洗うと、もう一度お湯を入れ替えてくれ、体を温めた後、お湯から出してタオルで拭いてくれた。


水を入れ替えたり、水をお湯にしたり、体を乾かす魔法は、レオが使ってくれる。何気に、旅で使うような、料理や洗浄魔法など生活で便利な魔法をレオは知っていた。プルーンも、旅の間にその恩恵を受け、ぜひ人間に戻ったら習いたいと思っていた。


レオは、タオルで拭いたプルーンを、魔法で乾かしながらブラッシングしている。

プルーンは、ブラッシングの気持ち良さに身を委ねていたが、少しずつ体力が戻ってくると、ふとレオに意識が向いた。ランプに照らされキラキラと光る、今はオレンジやブルーが混ざり合う瞳、秀美な顔。その見つめる先には、自分しかいない。そしてレオの繊細でいて長い指先が、自分の毛をブラッシングしている。



(………)


「ん?どうしたの?」


急に体を硬くしたプルーンに、レオは尋ねる。プルーンは、なんだかその場から逃げ出したくなる。


「にゃっにゃっ(あ、あの、もう大丈夫。だいぶ動けるようになったし。自分で乾かせるよ。)」


プルーンは、そう言いながら前足でレオの持つブラシを押さえ、抜け出そうと体を動かす。


ガシッ…

「にゃう…」


「だめでしょ、動いたら。中途半端に乾くと風邪を引くし、ブラッシングは自分じゃできないでしょ?」


レオは、プルーンの首元をがっちりホールドし、続きを行う。


(えええー)


そこからは、逃げたい気持ちを抑えてなんとか耐えたことで、完全に毛も乾き、ブラッシングも終了した。

プルーンは、もふもふのツヤツヤになり、レオも満足そうだ。


「うん、綺麗になったね。そろそろ休もうか?プルーン、ベッド使っていいよ。旅で、ベッドで寝たいって言ってたでしょ?」


「にゃー…(えっそれは嬉しいけど…うーん)」


プルーンは、言葉を濁す。


(テントでは、レオと一緒に今まで寝てたけど、野宿と違ってベッドだとなんだか恥ずかしいわ。)


「あっ僕ちょっと下に桶を返しに行ってるから。先にベッドで寝てるといいよ。」


と、レオはさっさと部屋から出て行った。残されたプルーンは、そっとベッドに飛び乗る。


シーツはお日様の匂いがして清潔で、マットはふかふかだ。前足でトストス、シーツを踏み踏みする。


(この辺りなら問題ないかしら。)


とプルーンは、ベッドの枕元に丸くなると、重くなっていた瞼を閉じた。




「君は、人間なの?…」


微かに声が聞こえた気がして、目が覚める。

もうランプは消され、暗闇の中だ。

暖かい吐息がプルーンの耳にかかった。

プルーンは、まだ眠気から覚めないまどろみの中、くすぐったくて耳がぺたんとなる。

いつの間にか、レオの腕の中にプルーンはいて、毛皮を撫でられながら、レアに見つめられていた。


(どうして、レオはそう思ったんだろ…)

プルーンは思ったが、真実を話すことはできない。


「にゃん(レオ、それは答えられないの。)」


「ん、プルーン。起きてたのか…」


「にゃ〜(声が聞こえて目が覚めたの。)」


「何か力になれることがあれば、僕に言うんだよ。君の力になりたいから。」



(レオがいくら信頼できる人でも禁呪は話せない。でも私のことを気にかけてくれてるのは、とても嬉しいわ。)


「にゃん(えぇ、有難う。私、レオのことすごく信頼してるし好きよ。)」


プルーンが思ったままを素直に伝えると、また眠気に襲われ眠ってしまった。

猫耳からは、レオの鼓動が少し速くなった気がした。




翌日は、朝からババ様のお店に向かった。

ダンジョンについて報告する。


「力のある魂は利用されやすい。彼らの誰かが関わっている可能性が高いの。信仰を集める特性上、最近名を広めている者が怪しそうじゃの。そういう者を探すといい。」

ババ様は告げる。


「そういった者に心当たりはありませんか?」


「この国にはおらんのー。私は、元々女神がいる国の周りが怪しいと思うぞ。」


「仮想敵国として周辺の国々が、同等の戦力を上げたいと思うのは世の常。確かに考えられます。とすると、女神のいるキャンベル王国の隣国である、レンバー統治国家とリコス皇国ですかね。」


「国家とは限らぬ。キャンベル王国の神の力を知っており自身もその力を望む者もおりそうじゃ。」


「にゃー(キャンベル王国は、私もいたことがあるわ。国を守護する女神の信仰は圧倒的よ。)」


「ええっプルーン?!キャンベル王国にいたの?」


「にゃ(えぇ、理由は話すのを封じられて言えないけど、女神にここまで飛ばされたの。)」


「そうだったのかい…」


プルーンを膝に乗せたババ様は、毛皮を撫でながら答えた。

これで、レンバー統治国家とリコス皇国が次の目的地となった。どちらから行くかは、各国の情報を集めて決めることにした。



「ところでプルーンや。」


「にゃ(はい、ババ様。)」


「私の煎じ薬の実験台になってくれんかね。趣味の煎じ薬で作った、解呪の薬だ。まだ試作段階じゃから効果を見たくての。」


「にゃー(私にできることなら、喜んで。)」


(ババ様、前に来たときに、私に呪いがかけられてるって見破ってたのよね。さすが賢者様。) 


「おぉ、有り難い。では少し待つのじゃ。」


ババ様は、ちょっとワクワクした顔で小さな壺を持ってきた。飲んで効果を見るようにプルーンに指示する。舐めてみた。


(めちゃくちゃ苦い…)


すると、突然体が軋んだ感覚があり、煙に包まれる。



ボンッ



煙が晴れると、プルーンの視界が変わっていた。


「ガウッ…」


野太い鳴き声がした。


「おぉ、成功したかえ?」


「……プルーン、カッコいいね…」


プルーンは、人一人乗せれそうな程の大きな灰色のヒョウになっていた。


「…元の姿って、巨大なヒョウだったの?」


「ガウゥ!(違う違う!レオ勘違いしないで!ババ様、ハズレですよっ!)」


「ふむ、肉体のみに過剰反応して、一部の要素のみ蘇ったか…」


「ガウッ?(これって元に戻るんですか?!)」


「安心せい。舐めた程度なら1時間程で戻るじゃろうて。」


1時間後、子猫に戻ったプルーンとレオは、安堵した。


(ฅ•ω•ฅ):日本人だもの、お風呂にどうしても入りたくて、作者に頼んだわ!

( 'ω'):ニンゲンでも自分で洗うの面倒なのに、ペットって羨ましい!

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