07 トンだ無礼者
「墨を使って指紋を確認しますので、汚れてしまいますがここに指を突っ込んでくれますか」
「何を言い出すんだ、この下女」
「あっ、大変失礼いたしました。ですが、これを拒否すればあなた方を犯人と見なしますので」
「ぬぬ~」
と、こヤツ――レイレイってヤツは全く、トンだ無礼者かもしれない。なにせ、下女という身分でありながら、高貴な宦官に指示を出しまくっている。だが、今はそんなことを言っている場合ではない。犯人探しをするには、この方法しかないのだから。
墨によって指紋を確認する。そして、現場にあった筆からも指紋を採取する。そして、その二つの指紋を照らし合わせ、合致すればソイツが犯人だって分かる。言葉にすれば単純なモンだ。
「仕方ありませんね」
と言い、早速、リンシの方から墨に指を突っ込む。その間、レイレイは筆の方の指紋を採取する。筆の方の指紋は指の指紋と違い墨では採取不能。よって、粉のようなもので採取を行う必要がある。
「アイシャドウを持っている。私は女子だから、な」
そう言って、レイレイはパウダータイプのアイシャドウをポッケから取り出した。いや、なぜそんなもん持ってんだよと、そうツッコミたくなるのも無理はない。んじゃ、説明しよう。
以前、後宮にやって来た商人のキャラバンから買い取ったのだ。無論、レイレイは貧しいので金なんてほとんど持ってはいなかったが、じゃどうやって買ったかというと、それはもちろん物々交換だ。
「あのとき、親父にもらったかんざしを売ってしまったが、それが役に立つ時が来るなんて、トンだ幸いだ」
とまあ、なんと平然ととんでもないことを言うもんだ、このレイレイってヤツは。だが、それが事実だった。このレイレイ、もしもに備えてアイシャドウが必要だと思い、親父にもらった大切なかんざしを売ったそうな。なんとまあ親不孝ったらありゃしない。んでも、そんな彼女だからこそ、今この場で事件解決をできるという訳なので、ここはまあ大目に見ておくことにしよう。
そして、ついに――、
「さっ。採取した指紋を見比べるとしよう」




