53 少年漫画的な胸熱展開
一体――いつから感情的に思考が動くようになってしまったんだよと、レイレイ自身思っていた。いやはや、確かに村にいた頃は、こんなにも感情で物を言うようなことはしてこなかったはずだ。
そうだ――レイレイはふと、師匠に言われた言葉を思い出した。『レイレイ、感情で物を言っちゃいけないよ。どんな事象の原因にも何かしらの根拠があるのだから、それを科学的に、地道に導いていくってのが薬師としての信念ってもんだよ』と――。
師匠の言っていることは確かに正しい。感情で物を言うな――確かにそうだ。例えば、数学の図形の問題で、なんとなくこのくらいの大きさっぽいとかで答えを出しちゃいけないように、ちゃんと計算をしてから答えってのは出さなきゃならないのだ。
どうやら自分でも不思議なことに、レイレイはコウリン妃に対しては、その考えに盲目的になっていたようだ。そう――一体何がレイレイをそのように変化させたのか。それは分かりきっている――そう――それはコウリン妃への、無償の愛である。
(悪いな師匠――今は、今だけは、この無償の愛ってのを…信じたいんだ)
らしくないな、レイレイよと、作者もそうツッコミたくなる。が、この主人公の言動ってのは創作者である私自身にも止められない。レイレイは進み続ける――たった一人の主のために――、
「私は、コウリン妃を信じます」
「毒見役…今なんと?」
案の定――だ。突如口出すをするもんだから、冷静なシードゥ妃も首をかしげる。そりゃまあそうだ。なにせ、ただの妃の毒見役――捨て駒の身分であるレイレイが妃同士の会話に口出すってのは、葬式で発狂するのに等しい。って、なんだよその例えと、またもツッコミたくなる。
が、今はそんなことはどうでも良い。ただレイレイは怯えるコウリン妃のことを救いたかった。いやはや、このヤレヤレ主人公にいつからそんな正義感が芽生えたんだよと、作者も驚くのだが、レイレイは自分がどう思われたっていいご様子だ。たとえ自分を犠牲にしたって、主を守る。そんな少年漫画的な胸熱展開がこのクソみたいな小説にあったのかよと、作者は我ながら誇りに思う。
とまあ、メタ発言がやや多くて、せっかくの素晴らしい展開であるのにやや冷める。てな訳で、だ。次回はついに決戦の時――シードゥ妃VSレイレイ――二人のバトルが繰り広げられる――のか??




