48 茶化す
甘い紅茶が好みなコウリン妃は、無糖のアールグレイ紅茶に口が出せない。その様子を見て、おこちゃまだと茶化すオウラン妃(茶だけに)。果たして、コウリン妃はこの状況、どう抜け出すか――。
* * *
とまあ、この状況、ただコウリン妃が無糖の茶を我慢して飲めばすぐに解決するだろうと、レイレイは辛辣ながらそう思った。だが、コウリン妃にはやや我儘なところがある。彼女――どうやらどうしても甘い紅茶しか飲めないらしい。そりゃ、困ったもんだ。
日頃から、甘味料や砂糖が多く含まれるジュースを飲み続けていると、舌にある味蕾が強い甘みに慣れてしまう。その結果、無糖の水やお茶を飲んだときに『味がしない』『苦くて美味しくない』と感じ、体が拒絶反応を示すようになるという場合は多々ある。
または、日ごろの鬱積によって、脳が強い疲労を感じると、手っ取り早くエネルギーを補給しようとして『糖分』を激しく欲するという。糖分を摂取すると、脳内で快楽物質が分泌されて一時的に不安やイライラが和らぐため、体が『甘いもの=安心できるもの』と学習し、甘くない飲み物を受け付けなくなることがあるらしい。
だが、上記の二つのケース共々、今回のコウリン妃には当てはまらないように思える。そう――コウリン妃はただ単純に、甘いものがお好きなだけなのだ。それではオウラン妃におこちゃまだと、そう思われても致し方ない気さえする。
果たして、そんな我儘プリンセスなコウリン妃に、救済はあるのだろうか――? と、その時――、
「あら、オウラン。コウリンにそんなに強く言わなくてもいいじゃない」
「あっ??」
とまあ、コウリン妃に優しく手を差し伸べたのは、やはりまたもアイリン妃であった。彼女は優しいお姉さんって感じで、まるでコウリン妃のことを妹であるかのように接してくれる。
だが、そんな彼女の優しさもあっけなく終わる。なにせ、オウラン妃は依然として納得がいっていないよう。胡坐した脚を細かくゆすりながら、狼のような目つきでこう言い続ける。
「なあ、アイリン。この我儘お嬢様の肩を持つのはやめろよ。コイツがただ単純に無糖の茶を飲めれば、話は終わるはずだ。なっ、さっさと飲め、お・じょ・う・さ・ま♪」
と、まあ、皮肉なことに、オウラン妃の考えはレイレイと同じであった。そうだ――コウリン妃が無糖茶を飲めさえすれば、話は早く終わる。だが、最悪なことに、事態はさらに悪化していく――。




