38 スイセン
園遊会の毒見にて、毒草を食い、リンシに連れられ厠へと向かったレイレイ。事前に準備していた催吐薬を用い、彼女は毒草を吐き、一命を取り留めた。だが――、事件はまだ終わっていない。
「リンシ様…話があります」
「なんだ?」
「私がさっき食った毒草、アレはスイセンです」
「スイセン…だと?」
そう――レイレイは先ほど小鉢の中に含まれていた毒草――スイセンについて説明した。
一見、まるで葉が野菜のニラのように見えるこの毒草は、葉、茎、そして花にも強い毒性を持つれっきとした毒草である。そして質の悪いことに、誤って食べてしまう事件が多発してしまうほどに、この毒草はニラに似ている。
「なるほど、な…スイセンには毒が含まれているという訳か…」
「ええ、そうです。そして、スイセンがニラに似ていて危険だってことは、料理などをする人にとっては常識中の常識。誤って妃の召しあがる食事に混入するなど、決してあり得ない話なのです」
「さすれば…これは故意に毒を盛ったと、そう考えてよいという訳か?」
「ええ、そうです」
と、久しぶりにミステリー色の強くなる展開っ!! これは熱いっ!! と、テンション上げている場合じゃない。これは事件だ。なにせ、妃を殺そうとしているヤツがいるってことなんだから。
レイレイは考えた。まず考えなきゃならんのは、誰が毒を盛ったか、だ。
「考えうる候補は主に二つ。園遊会で食事を作るのは後宮や宮廷に属する厨師達です。彼らが毒を盛ったという可能性は大いにあります。なにせ、彼らが料理するのですから、調理中に毒を盛るのは一番簡単でありバレにくいはずです」
「なるほど…だが、候補は二つあると、そう言ったな?」
「ええ、リンシ様。そうです…候補はもう一つあります。それは料理を配膳しに行った侍女達の内の誰かが毒を盛ったという説です。毒を盛った小鉢を事前に用意し、厨師の作った料理と器を入れ替えるというタイミングも大いにあったはずです」
「なるほど…では、犯人は料理を作った張本人である厨師か…あるいは、料理を運んだ配膳係である侍女か…どっちかという訳か」
「ええ、そうです」
とまあ、犯人は絞られた。残るは、誰が犯人か、証拠を推理するだけだ――!!




