31 園遊会
園遊会――コレは、事件の匂いがする。
名探偵であるレイレイがそう意気込むモンだから、さぞかし園遊会ってヤツは恐ろしいモンなのだろうと思うのだが、一体、この会の何がそんなに重要なのだろうか。
いやはや、それはこの会についてちゃんと説明しなければ、理解できないだろう。今からちゃんと説明するからさ、良く聞きたまえ。
園遊会――それは、皇帝や後宮にいる四人の妃、皇族や高官などが一斉に会する、後宮最大級の年中行事である。年に二回あり、夏季と冬季に分けられる。今回行われるのは後者であり、寒い中だが野外の広場にて行われる。
一見楽しそうに思えるこの園遊会とやらだが、実はただ単純に華やかにお茶をするだけの会ではなく、政治的な駆け引きなどを行う重要な場でもある。故に、なにか事件が起こりうる可能性もあるし、危険を伴う。
そして、この会の特徴としては、まだある。普段は男子禁制である後宮だが、この園遊会では、外廷――宮廷の中で君主が公的な政務を行ったり、儀式を執り行ったりする場所から来た男性の武官やら文官が赴き、女官やら侍女やらと顔を合わせるのだ。要するに、かなり貴重な機会である。
ちな、武官とは、軍事や警備などの武事を担う役人――要は軍人のことであり、文官とは、それ以外の一般政務や行政・司法などの文治を担う役人のことである。
そして、まあ、異性に飢えた後宮の侍女達と、同じく異性に飢えた外廷の武官、文官が顔を見せ合うのだから、さぞかし園遊会ってモンはお見合いの場になるというのが相場で決まっている。
とまあ、武官、文官達にとっては女の園である後宮に入れる二年に一度の貴重な機会だ。ったく、男ってヤツらはホントにどうしようもないもので、精力に従って生きているヤツらが大勢である。可愛くてむちむちとした、ぴちぴちの侍女を求めては、プロポーズをするに違いない――。
「ああ…園遊会って、ぶっちゃけダルくね?」
と、ヤレヤレ系女子のレイレイはふとため息をついた。まあ、無理もない。なにせ、レイレイは恋愛なんぞに興味ない典型的な陰キャ女子なのだ。それに、だ。彼女は自分の容姿に全く自信がないので、リア充の話はガチでマジで聞いててイライラするし、ホントに吐き気がする。
だが、園遊会は妃に仕える侍女であれば基本出席必須。否が応でも出席しなければならない。加えて、この会に出席するにあたり普段より煌びやかな衣装を着なきゃいけないもんだから、ファッションに対して興味のないレイレイにとって、この会はただのだるい朝の集会のようなモンだった。




