03 毒殺か
――女官が倒れただと??
刺激が足らないだなんて思っていた矢先、レイレイの前にはあまりにも刺激的すぎる事件が発生した。偶々(たまたま)立ち寄った手習い所で一人の女官が倒れている。
ギャラリーが多く、遺体には安易に近づけない様子。隙間から見えたのは、若い女官が床にバッタリと倒れていたということ。傷はなく、血などは流していない。これは――、
――毒殺??
レイレイの脳裏によぎったのは、一つの仮説。手習い所という場所で起きたこの事件。教育係の宦官が常に監視をしているこの場所で、安易に物理的に犯行を及ぼすとなると、すぐさまバレてしまうに違いない。故に、犯人は毒を使用し殺害したか――、否、今はまだこれを『殺人』と断定することはできない。
そう――『自殺』、この可能性もある。だが、なにか妙だ。
レイレイには時々、何か妙に思う瞬間があった。これは、そう――女の勘ってヤツだ。
ひとまず、状況を整理する。レイレイは現場に居合わせていた一人の宦官に話しかけた。
「現場にいたのは、共に勉強をしていた女官数人と教育係の宦官二名。ですよね?」
「っへ? ああ、そうだが」
「失礼。私レイレイと申します。下女の身分ですが、推理は得意なので何卒」
「ほう。そりゃ面白い」
まず、レイレイが話しかけたこの宦官――現場に居合わせていた教育係の宦官の一人――まるで女性のような、綺麗に整った顔立ちを持ったこの男。怪しい。いや、なんとなく、だけども。
「その。失礼ながら、名を伺ってもよろしいでしょうか」
「私か。私の名はリンシだ。コウリン妃様のとこで宦官を務めており、教育係としてたまに手習い所に御呼ばれすることもあるのだ。今のように、な」
「なるほど。コウリン妃様のとこ…ですか」
コウリン妃――レイレイはまだ彼女に実際にお会いしたことがない。だが、後宮に住まう四妃の中で最もお若い方だと噂に聞く。なにかと他の三妃から好かれておらず、訳アリのように思われるが――、




