25 入浴剤
コウリン妃へのマッサージを済ませた後、レイレイは再び事件のあった大浴場へと向かう。女官の水死体は浴槽から引き揚げられ、痛ましい姿ながら残されていた。
十八話でも述べたように、水死体から殺人の証拠を特定するのは困難。レイレイは困った。コウリン妃の知識も借りたいとこだが、幼い妃は惨い死体に目を向けるだけで精一杯な様子。
「私の大好きなお風呂でこんな事件を起こすとは…とても悲しい」
「コウリン様…お風呂がお好きなんですか??」
「うむ。なにせ、風呂に入っている間はなんだか身体が軽くなるからね…」
「ああ…そういうことですか…」
と、レイレイはまたもコウリン妃のそのたわわに実った果実を直視した。って、今はそんなエッなことを考えている場合ではない。確かに、横にロリで巨乳な美少女がいるということは推理の邪魔になってしょうがないが、そんなことで冷静さを失う名探偵ではないはずだ、レイレイというヤツは。
てな訳で、だ。気を取り直し、レイレイは推理する。そういえば、この湯殿に来たばっかの際、噂好き下女――セイランが何か言ってたような――と、ふとレイレイは思い出す。
そう――あの時、セイランはこう言っていた。良い入浴剤の匂いがするよ、と。
否、お風呂である以上、入浴剤の匂いがするってのは別に対しておかしいことじゃないし、むしろ自然なことじゃねぇかよと、そうツッコミたくなる気持ちもあるが、なぜだろう。レイレイにとって、どうしてかこの『入浴剤』ってのがなにか鼻に付く。
一般的に入浴剤ってモンに毒は入っていない。しかし、それは『一般』的に、だ。入浴剤の中に入っているプロピレングリコールに代表される化合物が一部の過敏な肌の人に刺激になる場合もありうる。さすれば、あの死んだ女官もこのような感覚過敏を持っているとすれば――、
レイレイは再度、女官の水死体を確認する。やはり肌は爛れ、長時間水に浸かっていたからこのような姿になったとぱっと見は思えるが――、
「この死体、やはりただの水死体ではない。赤みというか…炎症反応が起きている」
「と、言うと…?」
レイレイはなにか気が付いたようだ。これはそう――西洋の国で俗に『アレルギー』と呼ばれるものによるかぶれ――、
「アトピー性皮膚炎で、間違いないです」




