21 ジンとバルーサ
「私の胸には、西方の国の禁術によって造られた、人工心臓が入っているの」
「…詳しく、教えて頂けますか」
コウリン妃の胸には人工心臓が宿っている――妃自身の口から衝撃の事実を聞いたレイレイは戸惑う。だが、同時に慎重に真実に耳を傾ける。果たして、コウリン妃――彼女に隠された秘密とは一体――?!
* * *
レイレイらが住まうこの国・ジン国から陸続きにシルクロードを渡って西方、バルーサと呼ばれる国がある。その国こそ、ジン国で『西方の国』と称される国である。
この国では、古代の時代から禁術――ジン国では錬丹術と呼ばれる術が存在していた。この術は様々な用途で使われていたのだが、主に戦争などで悪用されてしまっていたため、後に禁止される術――禁術として封印されてしまっていたのだった。
だが、その封印と呼ばれるのも、あくまでただの見かけ上の抑止力に過ぎず、一部の悪党達は依然としてその術を使用していた。そして、その術を悪用する者達によって国内での内乱などが勃発した。
国内での内乱から逃れるため、バルーサの一族の一部はシルクロードを渡りジン国へと移住を試みた。だが、バルーサの移民達は移民を拒むジンの民と対立したため、中世より差別の念が絶えなかったよう。移住の際には幾らばかりか内乱も発生したようで、ジンの人々はバルーサの移民族を大勢殺したそうな。そして、そのうちの一人に彼女――そう――自分らが良く知る彼女、だ。
* * *
「私…コウリンには西方の血が混じっている。それは古来、シルクロードを渡ってバルーサからジンにやって来た少数移民族の血が混和しているからなの」
「そ…そうだったのですか。だから、コウリン様はそのミルクティブラウン色の髪の毛をしている、と」
「そうよ。そして、私はジン国によるバルーサの移民族大虐殺に巻き込まれ、そして…死亡した」
* * *
コウリン妃の口からまたも衝撃の事実が明かされる。コウリン妃――彼女はバルーサから移民した移民族の一人であった。移民の際はまだ幼子であった彼女は両親共に戦場でジンの兵士に殺されてしまう。だが――、
* * *
「私の実の父は最期の力を振り絞り、禁術を使用した。まだ幼子であった私はそれだけを唯一覚えてる。そして、私は人工心臓を手に入れた。本物の心臓を無くして、ね」
「って…なんだかめっちゃこの小説、急にむっずいすね」
って、レイレイ!! 深刻な話をしているのに、メタ発言すなっ!!!




