20 秘密
ここ――後宮には、四人の妃が住んでいる。
総称で四妃と呼ばれ、彼女らは皇帝の正室である皇后のすぐ下にある『正一品』という地位の最高位側室である。また、本来は皇后が担う後宮の管理や儀礼などの職務を、四妃が分担して代理を務めることもあったそうな。
最上位の貴妃、二番目の淑妃、 三番目の徳妃、そして最下位の賢妃という、この四つの位によって彼女らは分類されている。
そして、この最下位の賢妃こそ、侍女・レイレイが仕えている紅玉宮の妃――コウリン妃なのである。彼女、コウリン妃は最下位であるが故、他の妃から好かれておらず、ちょっぴり訳アリといった感じである。
また、コウリン妃が好かれていない理由は単に最下位であるからだけではない。彼女は元は先帝の妃であったため、他の三妃とは少し毛色が違う。とりわけ幼いし、それに容姿もミルクティブラウン色の髪など、やや西方の国の血が混じったような見た目をしている。
また、幼いながら胸も大きいため、女の園であるここ・後宮では嫉妬の的である。
* * *
「私は一度、死んでいるのよ」
と、コウリン妃は確かに言った。レイレイはその言葉の意味がすぐには分からなかった。が、流石は名探偵。すぐに察した。
コウリン妃のその容姿や彼女自身の経緯から察するに、彼女はまだ何か隠し事をしている――そして、その隠し事は彼女の侍女となった自分がすぐにでも知らなければならないものだと、そこまで瞬時に理解したのだった。
「理由を教えていただけますか」
「あら、レイレイ。私には堅苦しい言葉遣いでなくて良いと言ったのに…中々治らないわね」
「失礼…しかし、私は貴方様にタメ口はできません」
「…そりゃそうよね。私は貴方の妃だもの、ね」
とまあ、なにかともったいぶるコウリン妃。ったく、このロリ妃といったら、どうしてこうも自分の侍女に対してちょっかいをかけたがるんだか。と、そんなことはひとまず――、
「私こそ失礼だったわね…レイレイ。早く理由を説明しなくちゃ、ね」
「…はい。教えて下さい」
覚悟を決めた顔で、コウリン妃は言った。彼女の胸に隠された、とある秘密を。
「私の胸には、西方の国の禁術によって造られた、人工心臓が入っているの」




