16 出世
――命は平等に軽い。
なにかとポエムみたいな、痛い台詞を吐いたレイレイだったが、これぞ主人公って感じの風格だ。とまあ、またもそんな作者のメタ発言はさておき、レイレイは早速、毒見の仕事へ向かう。
「待っていたわ…レイレイ。さて、毒見をしてちょうだい」
「かしこまりました。コウリン様」
テーブルに並べられているのは、木製の食器に盛られた料理の数々。とまあ、別になんてことないように思えるが、名探偵・レイレイは早速、なにか不思議に思った様子。
「コウリン様。何故この食器は木製なのです…いや、なの?」
「おっとレイレイ。さすが貴方、鋭いわね」
「当然です。なにせ、木製の食器では毒見に適しておりません」
「理由は説明してもらえるかしら」
なにやら高度な話をしている。いやはや、このレイレイ――出身の村で散々毒に関する事件は見てきたもんだ。故に、木製の食器では毒が見抜けないことは重々承知なのだ。
「木製の食器は、ヒ素や青酸カリなどの毒物に触れて色が変わったり泡立ったりする性質は持っていません。また、使った後に濡れたまま放置すると、カビや雑菌が繁殖しやすくなるのです」
「さすがね…分かっているじゃない。それじゃ、代替案はあるかしら」
おっとまあ、このロリ妃ってヤツは結構と人を試すじゃねぇかと、レイレイは思った。なにせ、妃が自分を試すため、わざと木製の食器を予め用意したことに気が付いた。そして、その代替案について聞くというのも、この妃のシナリオ通りの演出である。
ったく、やってくれるじゃねぇかよ――と、こりゃまたレイレイは調子に乗った。
「コウリン様。代替案は銀製の食器…いや、ホントはいつも銀製を使っているんでしょ?」
「おっと…やってくれるじゃない。お見通しのようね」
「当然。銀製の食器には暗殺用の毒、ヒ素化合物などに反応して黒く変色する性質があるので」
「流石だわ。リンシが言った通り、貴方ってばホントに毒見の知識があるようね」
とまあ、コウリン妃に褒められて鼻を高くするレイレイ――こうして、レイレイは本格的に紅玉宮の毒見役として出世したという訳である。ちゃんちゃん。




