12 紅玉宮へ
リンシという宦官の容姿は完璧だ。それ故、後宮内の下女や女官の間でもさぞかし噂になっていた。イケメンの宦官が紅玉宮のコウリン様のとこに仕えている――などと。
それもそのはず、女性のように綺麗な顔立ち。美しい長い黒髪とぱっちりとした目。長身で細身で筋肉質。肌は雪のように白く、声質さえも優しく、どこか儚い。
ったく、このリンシって宦官、欠点はないのかよと、そうレイレイは思っていたが、やはりどんなに世間で完璧だろうと思われている方であっても、欠点の一つくらいあるものである。
この宦官――トンだナルシストだそうな。いやまあ、こんな美貌をお持ちなのだ。そりゃ鏡を見るたびに自分の容姿を自画自賛してしまうのには無理はない。いやだが――、正味キモイ。
「レイレイ、着いたぞ」
「っあ、はい」
とまあ、なんやかんや言っているうちに、レイレイとリンシはコウリン妃のいる紅玉宮へと到着した。紅玉宮とはその名の通り、赤を基調とした優美なお屋敷である。ここに賢妃であるコウリン妃が住んでおられる。とまあ、コウリン妃については以前紹介した通り、非常にお若い訳アリプリンセスである。
「お邪魔しま~す」
と、早速、お屋敷の中へと入る。そこには侍女が三人と、例のあの妃が座られておられた。
「なるほど。あのお方がコウリン様か」
「レイレイ。妃の前だぞ、少しは態度をわきまえろ」
「失礼いたしました、リンシ様」
とまあ、レイレイはコウリン妃とは初対面。はじめてお目にかかる後宮の高貴な妃に緊張する――どころか、なぜかニヤけている。いやはや、なんでだよと、そうツッコミたくなるが――、
――道理で、だ。先帝がなぜこの幼い妃に性癖を曲げられたか。レイレイはそう、今はっきりと理解した。いや、なにとんでもないこと考えてんだよと、またツッコミたくなるが――、
そう――先帝――幼きコウリン妃と夜伽をし、そして体を悪くして崩御してしまった哀れだがロリコン癖のあるそのお方。彼はなぜ、コウリン妃に惹かれたのか、その答えは彼女の容姿を見ればすぐに分かる。
「貴方が…私の新しい侍女…名は確か…」
「失礼いたしました。自己紹介がまだでしたね。私、レイレイと申します」
「そう…貴方がレイレイね…」
年相応の優しい声。だが、その美貌はそれ以上に魅力的だ。
――コウリン妃、このお方、かなりの超絶美少女だぞ。




