11 礼賛
まあ悪く言えば捨て駒、良く言えば出世ってヤツである。
新米下女・レイレイは、コウリン妃に仕える首領太監・リンシに目を留められ、紅玉宮の毒見役という立ち位置にまで出世する。毒見役になったことによりレイレイの位は下女から侍女となった。
侍女とはまあ、簡単に言えば、妃など、身分の高い女性のそばに仕える女性のことである。妃に対する衣装の管理、化粧、食事の管理や私室の整頓など業務は様々であり、単純に妃のプライベートの補佐や話し相手を務めることもあったそうな。
って、レイレイが侍女になったって、そりゃまあこの小説にとっては大きな矛盾である。とまあ何故、この小説には作者のメタ発言が多いものかと、冷める。
いやはや、なにせ、この小説のタイトル――『新米下女の後宮スローライフ』だぞ。そそ――新米『下女』って、レイレイが下女じゃなく侍女になっちゃったらこのタイトル変になっちゃうじゃない。
とまあ、そんな些細な問題はどうでも良い。とやかく言う必要はないのだ。そんな感じで侍女――毒見役となったレイレイであったが、早速、リンシに連れられコウリン妃のいる紅玉宮へと向かうのであった。
「コウリン様に会ったらまず、自己紹介をしなさい」
「そのくらい重々承知ですよ、リンシ様」
相変わらず態度のでかいレイレイ。リンシは参ったなといった感じの顔をした。
ったく、この小娘は推理の腕は良いにしても、態度やらがなっていない。貧しい村の生まれであるからだろうか? 否、決してそういう訳でもないっぽい。このリンシとしたことが、やっぱり毒見役として推薦するお方を間違えてしまったか、などと頭を抱えた。すると――、
「リンシ様、せっかくのお綺麗な顔が歪んでしまいます。そう心配なさらずに」
「って、急にどしたっ」
突然の発言に戸惑うリンシ。そりゃまあ、急に自分の顔を褒められたら誰だって照れるさ。特に、普段あまり他人の顔を礼賛するような性格ではないレイレイに褒められたのだから、さぞかしリンシはびっくりしたことだろう。だが、このリンシという宦官――、なぜか自信にも満ち満ちている。
「そりゃ私、イケメン宦官と称されるほどのリンシ、褒められることには慣れておるっ」
「って、なんすか? ナルシストなんすか??」
「わわっ…決してそういう訳では…」
「やっぱりナルシストなんですね、リンシ様」
ジト目で冷笑するようにリンシを見つめるレイレイ。そして、顔を赤らめて照れるリンシ。そう――このリンシという宦官――トンだイケメンで、自画自賛のナルシストである。




